漢方治療の心得 1 〜先入観〜

2019年09月17日

漢方坂本コラム

治療という真剣勝負の中で、

これがあると失敗する、というものがあります。

先入観。

患者さまと問診をしている中で、

あ、この方にはこの処方が効きそうだと、途中から感じられることがあります。

それは確かに正解のこともあるのだけれど、

途中から生まれたその先入観に引っ張られることで、治療が混乱していくることもまたあるのです。

それしか見えなくなる。

この状態が最もこわい。

先入観に引っ張られ、なかなか効き目を感じてもらえない、

あれおかしいな、効いてこないな、この処方で良くなるはずなのにな、

そう感じた時は、必ず何らかの先入観によって、患者さまが見えなくなっています。

自分が感じていたことに背を向けて、もう一度フラットに患者さまを観る。

自分の考えに自信を持ちつつも、いつでもそれを否定する用意をしておくこと。

この感覚が、治療にはとても大切だと思います。



漢方治療の心得

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