気密性・断熱性ほぼゼロの木造貸家に住んでいる私にとって、
近年の夏の暑さは実に殺人的です。
今年も梅雨明けと同時に急激な暑さに見舞われているここ甲府。
私はまだ良いのですが、家族がへばってしまわないかを心配する毎日です。
妻はなんとか耐えてくれそうですが、
おはぎ(ネコ・兄)としらたき(ネコ・妹)はどうだろう。。。
今のところ元気ですが、毎日いつにも増してぐうたらしているのですでに辛いのかもしれません。
あと最近知り合いに頂いたアガベをせっせと育てているのですが、
この子たちも夏の暑さにやられてしまわないか心配です。注意深く水やりをしながら様子をみています。
夏になるとしばしば熱中症対策がアナウンスされます。
こまめな水分摂取が推奨されますが、
確かにそれは正しいのですが、ここまで暑くなると水分摂取は必ずしも熱中症対策にはなりません。
追い付かないのです。昨今の夏において最大の熱中症予防は、とにかく「暑い所に行かないこと」です。
しかし皆さんお仕事もあるし、ずっと家にいるわけにもいきません。
私のように家の中が暑い、という人もいるでしょう。
そうなると「上手に薬(漢方薬)を使う」というのも熱中症対策に大きく寄与できるはずです。
ということで、夏場に用意しておくと安心な漢方薬をいくつかご紹介いたします。
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■夏場の体力維持に・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲労回復の名方・補中益気湯は、夏になるほど使う場が増えてくる薬です。
汗による体力の消耗を回復させる際にしばしば使われるのが参耆剤(人参・黄耆を含有する方剤)です。補中益気湯は参耆剤の中でも特に夏場の体力回復に適している構成になっています。
そもそもこの薬は「体を温め過ぎないように体力を回復させる」という意図で作られた薬です。通常疲労回復を行うための処方には桂皮などの温薬が入っています。そうすることで血流を促す効能を付加しているのです。しかし補中益気湯はなるべく体を強く温めずに、穏やかに体力を回復させようとする効能があります。その処方の意図が、暑さによってやられる夏場にピタッとハマります。
この薬を寝る前に一包飲むようにするだけで、寝ている間の疲労回復が高まり、寝起きのすっきりさが変わってきます。夏場の疲労回復には補中益気湯を是非利用してください。疲れた時に薬局やコンビニで栄養ドリンクを買ったり、今流行りのエナジードリンクを飲むよりもよっぽどお勧めできます。
ちなみに、食欲がなく水っぽいものしか食べられない、咽の渇きが止まらない、暑い所にいくとすぐに疲れてしまう、体の芯が熱っぽくてだるいなどの症状が出てきたら、それはもうすでに「夏バテ」が起こっています。そうなったら補中益気湯では効かず、清暑益気湯(せいしょえっきとう)が必要になります。しかしこの薬はそのまま飲んでもあまり効きません。服用する際にコツが必要ですので、下記のコラムを参照していただくか漢方専門の医療機関におかかりください。
〇参考コラム
→《note》清暑益気湯エキス顆粒剤はこれをやると良く効くようになります
→【漢方処方解説】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・前編
■夏場の風邪に・藿香正気散(かっこうしょうきさん)
夏場に風邪を引くと最悪です。とにかく不快でしょうがない。これだけ暑い時に体温が上昇し続けるなど考えただけでウンザリです。ですので夏場に使いやすい風邪薬は知っておくと良いと思います。
有名な葛根湯などで改善することもありますが、それでも効かないという場合に藿香正気散が使えます。使えるというよりもこの薬ではないと治らない風邪があります。
それは湿気が強い時期にかかる風邪です。鼻水や鼻づまりがいつまでも治らない、とにかく体のだるさが取れない、微熱がいつまでも続き解熱薬や抗生剤を飲んでも治らない、時には何週間も続くような風邪、つまり「長引く風邪」を治す効果があります。
漢方の考え方では、風邪による発熱は初期であれば汗をかかせることで治します。しかし湿気の強い時期では体が自然発汗を行いにくくなるため風邪をひいても発汗がうまく行えません。こういう湿気の時期特有の水分代謝を改善するのが本方の主軸です。エキス顆粒剤であれば飲む時にお湯に溶かして服用すると、体が適度に温まりジワリと汗が出てスッキリするという治り方をします。
その他、湿気の時期特有の下痢にも効きます。すなわち夏に起こりやすい胃腸炎にも効果的な薬です。味もそれほど飲みにくくないのでお子様でも飲めると思います。この時期は是非ご家庭に常備しておくことをお勧めします。
〇参考コラム
→□梅雨の病 ~梅雨に起こりやすい症状と効果的な漢方薬~
■夏場の腹痛下痢に・人参湯(にんじんとう)
夏場に注意していただきたいのは熱中症だけではありません。暑い夏だからこそ「冷える」ことがあります。
特に冷えやすいのが「胃腸」です。そういう意味で、お腹を温めて腹痛や下痢を治す人参湯は夏だからこそ使う機会が増えてきます。
人体にとって最も冷やしたくないのは内臓です。ですので通常、冬になると人体はわざと血流を手足まで行きにくくさせて体の熱を外に逃がさないようにします。しかしこの働きが夏になると逆転します。体の中に熱を閉じ込めてしまうと、すぐ熱中症になってしまうからです。
そのため夏はわざと外に熱を発散させるよう、体の働き方が冬とは逆になります。熱を外に逃がすことで体に溜めないようにする、しかし逆に言えば内臓の熱を失いやすくなるということです。その状態で夏はどうしても冷たい飲食物が増えていきます。体の中の熱を外に逃がそうとする状態と、体の中を直接冷やす飲食物とが重なると、胃腸はすぐに冷えて活動を乱してしまいます。
冷たい飲み物やアイスで直接、またクーラーなどで間接的に胃腸が冷やされると、すぐに腹痛や下痢が起こり、それを繰り返しやすくなります。特に過敏性腸症候群などの持病がある方など、普段から胃腸が弱い人ではこれが如実に起こるようになります。
人参湯は胃腸を温める名方です。温める効果の核は内包する乾姜(乾燥もしくは熱を加えたショウガ)です。エキス顆粒剤で市販されていますし保険でも扱っています。エキス顆粒剤を服用する時は必ず熱い湯に溶かしてから飲むようにしてください。それが効果を発揮するための大切なポイントで、冷たい水などでそのまま飲むと効果は半減します。
お腹が弱い人では夏場に冷たい水を飲むとすぐにお腹を壊してしまう人がいます。猛暑であればあるほど、クーラーや飲食物で冷やされる機会が増えてきます。外出する際には人参湯を常備しておくと安心です。お腹が痛くなりそうだな、冷えそうだなと思った時にすぐ服用できるようにしておいてください。
〇参考コラム
□下痢 ~梅雨時期の下痢に効く漢方薬1~
□下痢 ~梅雨時期の下痢に効く漢方薬2~
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漢方坂本/坂本壮一郎|note