「体質」という便利な言葉

漢方治療は「体質改善」ですよ、と良く言うけれど、

「体質を改善する」って、何とも曖昧な表現です。

とても便利な言葉なので、私自身も使うのですが、

一体なにを改善しているというのでしょうか。

はっきり言ってしまいますと、医学的にちゃんとした定義はありません。

ただ「もともと発生しやすかった不快な症状が起こりにくくなる」という現象をもって体質改善と表現していることがほとんどです。

しかし、この仕事を生業にしていると、

確かに人それぞれ「体質」というものを感じる時があります。

病には「流れ」というものがあるのですが、

えとですね、「流れ」とは年齢とともに流れていく病の傾向というか、

この年齢になるとこういう状態に陥りやすいとか、この病にかかりやすいとか、

そういう人それぞれ持っている変化のベクトルのことを「流れ」と言っているのですが、

患者さまを観ていると、「あ、この方は前に見たあの方に近い流れを持っているぞ」という発見がかなりあって、

それを見極めることが出来るようになると、的確な治療が行いやすくなるという現実があるのです。

この感覚を説明する時に、

「体質を改善していきましょう」と言うとなんとなく近しい感じがします。なので便利です。

本当は「流れ」を変化させています。

時に濁流の勢いを削ぎ、時に枯渇した流れを益し、

ある病理という方向性に向かわんとするその勢いを、ただ調節しているだけなのです。