いよいよ始まりました。
正確に言えば、少し前からすでに始まっています。
春です。強力な寒暖差の季節。
今年は急激な気圧の波も加わり、
どうにもこうにも、自律神経を強く乱している方が急増しています。
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自分で動かすことの出来ない体の部分を、
勝手に、自動的に、自律して動かしてくれている自律神経は、
体の「恒常性」を保ってくれています。
つまり、外界が大きく変化したとしても、
自分自身が一定の状態に保たれるように働き続けています。
寒いなら、寒さに対応できる体に、
暑いなら、暑さに対応できる体に自らを変化させる。
それを自律神経が行っています。つまり、自律神経は外界に合わせて体を変化させることによって、
体が常に同じ状態でいられるように「対応」しているのです。
自律神経が乱れている方は、
この「対応」が上手くいきません。
特に外界が急激に変化を繰り返している場合、
自律神経の「対応」が追い付かなくなることで、普段よりもずっと強く、自律神経が頑張ってしまいます。
それが一時的な緊張・興奮状態を作り出します。そして様々な症状を発生させます。
もともと自律神経は自分で動かせない体の部分を統括して動かしてくれている神経ですから、
数えきれないほどたくさんのことを同時に行っているわけです。
つまりそれが乱れるということは、たくさんの症状が同時に表れてくるということ。
体にも精神にも、緊張・興奮による症状が表れてくるようになります。
「いったい自分の体に何が起こっているのか、何が何だからわからない」
この感覚が、自律神経失調により起こってきます。
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どのような季節であれ、急激に天候が変化すれば自律神経は乱れやすくなります。
ただし春の自律神経失調は、ちょっと特殊です。
決まって、不安・ソワソワ・焦り・イライラが高まってくるのです。
理由は急激に気温が上がること、そして急激に気圧が下がることとが交互に起こるから。
低気圧とともに雨が降って気温が下がる、そして雨が上がるとまた急激に暖かくなる。
それを繰り返しながら暖かくなっていく春。この気圧と気温の急激なバウンドが自律神経に負担を強いるのです。
東洋医学の基礎では、これを肝気の失調と捉えて、
肝気を疎通する加味逍遙散などが良く推奨されいますがここでは忘れてください。
理由は、加味逍遙散だけでは無理だから、です。
この時期に起こる症状は、そんなに簡単ではありません。
現在、当薬局におかかりになられている患者さまでも、
自分の不安と焦りに、身の置き所のない苦痛を強いられている方がいらっしゃします。
自律神経の乱れを有している患者さまは、
治療の過程において必ず、自分の焦りと勝負しなければいけない期間が訪れます。
それが今、起こっているのです。
不安でどうしようもなくて苦しくて辛いという患者さまから、
ここ数日急に起こった症状が気になってしまい不安で仕方がないとう患者さまから、
今まで安定していたのに急に悪くなり、薬が合わなくなってしまったのではないかと不安になった患者さまから、
お問い合わせが急増しています。
患者さまから直接お話を伺うなかで、その尋常ではない辛さは想像して余りあります。
相当辛いんだと思います。皆さんのお声からそれを感じます。
ただそれでも私は、前から想定されていたことが起こっているのだと認識しています。
自律神経治療において、
波を打たずに治る患者さまはいないからです。
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必ず波を打つ。
天気が乱れた時、どうしても養生が不足してしまったとき、
ストレスが重なってしまったとき、女性ならば月経に関連して、
必ず波を打ちながら治っていきます。そういう治り方をします。
だからたとえ大きな波が来ようとも、今回は大丈夫です。
天候が安定すれば、また必ず落ち着いてきます。
不安で焦って身の置き所がない時ほど、
気になることに神経を使って不安で辛いという時ほど、
人は何かを決断したくなります。すぐに解決したくなります。
でもそこで一息。
今はどう考えても冷静に判断しにくい時。そんな時の決断は、だいたい失敗します。
焦りとの勝負は、ただ何もせず、時間が過ぎることを待つだけで良いのです。それだけで勝てます。
だから、まずは一息。
今起こっている症状は、何か頑張らないと治らない症状ではありません。
むしろ逆です。
頑張り過ぎているから、起こっている症状なのです。
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焦っている時に何もしないというのは、とても難しいことです。
ただ頭で理解しておくことが大切です。今は時間さえ経てば、頑張らない方が、良くなるんだということを。
それにしても、ちょっとびっくりしています。
今回の春です。ここまで急激な自律神経の乱れは今まで無かったと思います。
本当は心地よい季節であるはずなのに。
今日の夜、また寒くなるんですって。
暖かくなるならなって欲しい。早くちゃんと、暖かくなって欲しいです。
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