世代交代を想う

2024年06月13日

漢方坂本コラム

最近、この人好きだなーと思う人がいます。

田原総一朗さん。

知っていますかね。若い方はあまり知らないかもしれません。

今更ですが、この人が好きです。

田原さんの発言というよりも、そのお人柄が。

1987年から続く討論番組「朝まで生テレビ」。

この番組の司会者として有名です。

私は夜寝たいので、深夜の番組は見ません。

だから好きになったきっかけはこの番組ではなく、

ゲストとして招かれた他の番組でした。

確かもう御年90歳くらいになられているんじゃないかな。

未だにパワフルで、声もとても大きい。

元気の塊といった様子です。若い時よりも元気かも。

そして長く討論番組をやられたいたのにも関わらず、

この人がいると、全然話が進みません。

例えば、その番組での一コマ。

コメンテイター:「○○したほうが良いと思います」

田原さん:「それじゃあだめじゃないか!」

他のコメンテイター:「どうしてですか?」

田原さん:「なんでだ?!」

なんでだって。。。笑

理由を答えず、むしろその理由を相手に言わせようとする田原さん。

何とも言えない迷討論。正直、とても愛らしいです。

否定しつつ相手の言葉を促すテクニックなのか、

もしくはただ否定したかっただけなのか。

どちらにしても、大変愛らしい。

元気なおじいちゃんの言葉には、根拠のない自信がみなぎっています。

田原総一朗さんは言います。

私は日本を愛している、このままじゃいけない、どうにかしなきゃいけない、と。

だから君たち、若い人たちが頑張らなきゃいけない、と。

元気なおじいちゃんは、未来に希望を持っています。

しかし、じゃあ今の立場をお捨てになって、

若い人に席をゆずったらどうですか?、と問われると、

「嫌だ!!」と言う。

私はまだ求められている!と。自身の引退を全力で否定しています。

田原さんがいると、冷静に考えて討論が進まないし、

田原さん以上に上手に司会を出来る若い方は、沢山いらっしゃると思うんですね。

その方たちが前線で頑張っていくためにも、引退された方がいいのかなぁ。。と。

でも絶対にやめません。

理屈抜きで、多分やめたくないんだと思います。

でも、人間ってそういうものだろうなと思うのです。

老害老害と、すぐに騒がれてしまう世の中ですが、

だとしても、元気でいたい、必要とされていたいというのは、生きていく上で当たり前のことです。

ただ、世代交代という意味では、

難しい問題だと思います。

今、世代交代というワードがしきりに注目されています。

若い人たちが上にいけない、

若い人たちがいなくてお店を閉めるしかない。

上と下とで起こる不具合や摩擦。

それが浮き彫りになっている時代なのかも知れません。

私も父との世代交代を経験しました。

難しかったです。多分、互いに難しかった。

でもいつからか、父は相談を控え、私に譲るようになりました。

その時はまだ、父は十分に元気だったと思います。

あの時の父の心情は、どうだったのだろう。

想像するしかありませんが、少なからず我慢はしていたと思います。

そして結局、父は他界してしまうのですが、

そうして初めて、私は父という人を客観的に観れるようになりました。

私にとって、とても怖い人でしたが、

不思議とその怖さよりも、凄さの方が記憶に残っています。

凄いことをしてきた人なんだなと。

今は、感謝という想いが、

父への気持ちとして、最も大きいと思います。

父を超えることは難しいよと、

以前、ある人に言われたことがあります。

父を超えること、確かに難しいと思います。

しかし今の私には、そういう考えが全くありません。

引き継ぐ・世襲するとは、

先代を超えることではないと思います。

例え先代が身を引いても、他界したとしても、

一緒に作っているという感覚が、私にはあるからです。

今、私がこの仕事を続けていられるのは、

先代が作った基盤があるから。

そのやり方の一部を、私は確かに変えましたが、

変えなかったことも、たくさんあります。

超えるのではなく、一緒に作り続けている。

世代交代とは、そういうことなのではないでしょうか。

代を譲る人は、それを継承していくために譲る。

そして代を受ける人は、それを発展させるために受ける。

目的や方向性は、常に同じところを向いている。

もしそういう世代交代なのであれば、両者、かならず腑に落ちるタイミングがあるはずです。

私は基本的に奪い合いで良いと思っています。

しかし、互いの敬意と、認め合う能力、

そして同一方向を向いている感覚と、そこに少しの愛嬌があれば、

きっと上手くいくと思うのです。

それが難しいことなのも、分かってはいます。

田原総一朗さんなら、きっと若い人が愛着と敬意とをもって、

その席を奪ってくれるでしょう。

だからずっと元気で頑張って欲しいなと。

あとは、ちょっとした運。

田原さんも後世から、

感謝される存在になって欲しいです。



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