つらい天候が続いている。

患者さまにとっては、如何ともし難い天候である。

二週間前の週末、台風がきて急激に気圧が変わり、さらに気温がグッと下がった。

そして台風が去った途端、今度は夏日になった。急激な気温上昇を起こしたのが11日、約一週間前である。

そしてここ数日、冷たい雨によって一気に寒くなった。夏から冬へ、たったの7日間で切り替わった。

気温・気圧の極端なアップダウン。自律神経が乱れて当然である。

身体はあたかもジェットコースターに乗っているような心地だろう。もとより不安定さを抱えた方なら尚更である。

先手を打てるかどうか。治療においてはとても大切なことである。

乱れる前に対応する。それが出来れば、治療は早期からスムーズに進む。

しかし「急激な天候の変化」に対しては、先手を打つことが非常に難しい。

何よりも先が読めない。後手に回りながら対応しつつ、虎視眈々と形成逆転の機会を狙っていかなければならない。

天候の落差は、年を追うごとに大きくなっている気がする。

少なくとも10年前はもっと安定していた。爽やかな秋があり、心地よい春が長かった。

今後はどうなってしまうのだろう。より不安定に、より落差が大きくなってしまうのだろうか。

気候に対応し、先手を打つという手法。おそらくこれからの漢方治療のトレンドの一つになっていくはずである。

思えば東洋医学の聖典『黄帝内経(こうていだいけい)』では、天候が人に及ぼす影響を滾々(こんこん)と述べている箇所がある。

いや、箇所があるというよりも『黄帝内経』全体がそうだと言って良い。人と天候との切っても切れない関係を殊更協調し続けているのがこの聖典である。

最初にこの本を読んだ時、本当かいなとほとんど半信半疑だった。

しかし細かい内容はさておき、天候が人に影響を及ぼすこと自体は事実。臨床を通した実感として、それは紛れもなく事実であった。

当たり前のことである。雨の日に頭痛がする、台風が来ると目眩(めまい)がする。経験された方も多いはず。医学的には取り立てて言うことでもないかも知れない。

しかし当たり前の実感にこそ、紛れもない事実がある。

理屈ではなく実感から導き出されたのが東洋医学。だとするならば、今後も続くであろう気候の波に先手を打つカギも、きっと実感にある。

とにかく今は、実感が欲しい。