秋雨前線が、猛威を奮っています。
急激な気圧の変化。
この夏、最大の波かもしれません。
測ったわけではありませんが、私の感覚では、そう感じます。
感覚というか、患者さまからの問い合わせのが、急増しているのです。
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多くは、体のだるさや浮腫み、気持ちの沈み。
そして頭痛・片頭痛。
そういう形で体調を崩されている方が増えています。
さらに、イライラしたり、顔がほてったり、眠れないという方も多い。
自律神経を乱されている方では、
不安感や焦燥感(ソワソワ感)、動悸や息苦しさ、めまい・立ちくらみなども酷くなっています。
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気圧が変わると、体が変わります。
巨大な空気の重さ、体を圧迫しているその重さが、急激に軽くなることで体の血流が変わります。
身体に備わる自律神経のおかげで、普段私たちはそれを感じることなく生活しています。
しかし疲れていたり、冷えていたり、寝不足があったり、胃腸に負担があったり。
そうすると、軽くなるような・フワッと浮くるような血流の乱れが、全身へと波及して体調を悪くさせるのです。
言うなれば、ジェットコースターに乗って、急激に下降するときのあの感覚です。
体が軽くなることで、血液が上や外側へと膨張してくるような感覚です。
何とも気持ちの悪いあの感覚が、薄く継続してやってくるわけです。
同時に心身ともに興奮状態へと移行する。不安感や焦燥感、イライラが強くなるのも体が急激に変化してくるからです。
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しのぐ時期。
はっきり言ってしまえば、今回の気圧による体調不良を即座に抑え込むことはかなり難しい。
それほど強力な波が、今きています。
しかし、天候は必ず変化していきます。
秋になり、湿気がはらわれ、すがすがしい晴れもようが訪れれば、これらの症状は必ず解消してきます。
最も重要なことは、こういった天候の波に左右されにく体を普段から用意しておくこと。
つまり毎日の養生が大切なのです。転ばぬ先の杖。それを如何に用意しておくかが、非常に大切なのです。
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「天候に左右されない体作り・その1」は、「筋肉をつける」こと。
急激な気圧の変化によって、血行が乱れることで体調不良が起こります。
頭痛もめまいも、耳鳴りも、動悸も、喘息も。部位は違えども起こる状況は一緒。その背景には必ず、血行不良が関わっています。
そして血流を良くする最大の組織は、筋肉です。だから、筋肉が少ない人ほど気圧の変化にやられやすくなります。
とにかく筋肉を鍛えておくこと。
筋肉は一日ではつきません。定期的かつ継続した筋肉トレーニングをちゃんと行う方ほど、天気病・気象病は着実に改善へと向かっていきます。
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「天候に左右されない体作り・その2」は、「充分な睡眠を取る」こと。
つまり寝不足がだめです。
自律神経は、活動と休息とのメリハリによってはじめて安定するからです。
寝不足によって日中もエンジンがかからない、そういうまったりとした状況は血流のうっ滞を促します。
そして血流のメリハリもなくなってくるのです。血流を急激に変化させなければいけない状況であっても、そこに対応することができなくなります。
さらに「寝だめ」は基本的にできません。体はそういう構造をもっていないからです。
どうしても太陽の動きに依存して作られているのが人体です。すなわち、夜間に寝て、日中に活動するという太陽の動きに合わせたメリハリが重要なのです。
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「天候に左右されない体作り・その3」は、「飽食を避ける」ことです。
人体は飽食において、体のメリハリを一時失います。
「メリハリがある」というのは、状況によってすぐ動ける、すぐ休めるということです。
お腹いっぱいまで食べた後というのは、どうしても血流が内臓に集中し続けます。
そのため、すぐ動くこともままならなくなる。飽食というのは、人体があらゆる刺激に対してスキを見せる瞬間なのです。
食事はちゃんと食べなければなりません。しかし、同時にガツンと胃に物を入れ込むという状況も避けなければなりません。
ゆっくりよく噛んで、腹八分目にすること。
普段から飽食の傾向がある方にこそ、天気病・気象病が起こりやすくなります。
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運動不足で寝不足、さらにお腹いっぱいになって苦しい時に、すぐさまジェットコースターに乗ることを想像してみてください。
考えただけで気持ち悪くなりませんか。気圧に左右されやすい体というのは、つまりはそういうことなのです。
「天気病」や「気象病」といった、天候に左右されることで起こる体調不良が最近注目されていますが、
その多くは、普段からの生活に何らかの問題を抱えている方が多いものです。
その問題を解決し、しかるべき養生を行うこと。
気象病は、時にその不調を薬で解決することも必要です。
しかし、薬だけではダメ。かならず養生も必要になってきます。
私の経験では、それが気圧による病です。
そして、しかるべき養生と漢方薬とによって、解決し得る病でもあるのです。
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