探るべき可能性

2020年05月28日

漢方坂本コラム

昨日、またお一人、当薬局での治療を卒業されました。

起立性調節障害にて体調を崩されていた男の子。

頭痛などの諸症状がほぼ消失し、朝の起床にも全く問題が無くなりました。

安心しました。比較的短期間にて回復されたこともまた、とても嬉しかったです。

「もう大丈夫ですよ」、そう言って治療を終了できた時、

私はいつも、初めてご来局された時のことを思い出します。

初めてお会いした患者さまとそのお母さまは、とても不安な面持ちでした。

それまで行っていた西洋医学的治療では芳しい効果があがらず、

そのためメンタルに原因があるのではないかと、疑われていたそうです。

私はメンタルの治療など一切行わなかった。

明らかにお体に不調があったからです。

こういう経験を重ねていると、どうしても思ってしまいます。

何かにつけて病を、「心」に結び付け過ぎなのではないかと。

心の病というのは確かにあって、

その治療が患者さまを救うことも、沢山あることは事実です。

そして心の病とその構造は、未だに分からないことが多い。

だからこそ「その可能性がある」という理由で、心の病と指摘されやすいのかも知れません。

しかし慎重になりたい。

患者さまの不安を考えれば、我々治療者こそが慎重になりたい。

西洋医学にて治療が難しくても、この日本には鍼灸や漢方など、様々な病の捉え方があります。

それに生活の養生を見直すという指摘もある。

心の病と指摘する前に、探るべき可能性は沢山あると思うのです。

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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。また当店は漢方相談を専門とした薬局であり、病院・診療所とは異なりますことを補足させていただきます。