最悪の梅雨入り

2023年06月12日

漢方坂本コラム

最悪の入り方をしました。

梅雨です。

今年の始まり方は、本当にひどい。

5月中に台風発生という時点でおかしいのですが、

その後、例年よりも2週間早い梅雨入り、そしてまた台風が発生しているという異常事態です。

毎年夏になると水害が予測されます。今年は特に多いのではないかと心配になります。

年々乱れが強くなってきている天候の波。

災害が少しでも減ってくれることを願うばかりです。

そして乱れるのは天候だけではありません。

人体もまた然り。天候の乱れは必ず人にも影響を与えます。

東洋医学では人は地球に生かされていると考える、

したがって梅雨に入れば梅雨の体になります。毎年恒例ではありますが、そろそろ梅雨の病が出始めてきます。

梅雨の体調不良。

梅雨になると増えてくる症状があります。

まずは「胃腸の乱れ」

下痢・軟便になりやすくなり、かつすっきり出ず、いつまでも腹や肛門が渋って便が出ないという症状が出てきます。

すでに、ここ数日でそのような症状を訴える方が出てきました。

特に、もともと胃腸の弱りを抱えておられる方では顕著に出ています。

予防はとにかく水分摂取を過剰にしないこと

飲む時もちびちびと飲む。冷たい水ではなく、お湯を飲むようにしてください。

そして果物も気を付けてください。果物は食べ物に見えてその90%は水分で出来ています。

スイカなどがスーパーで出始めました。胃腸の弱い方は、避けていただいた方が無難だと思います。

また「夜の寝方」がとても重要です。

最近は寝る前寝室が暑く、薄着で寝て、朝方寒いと思って布団をかけなおすという人が増えてきます。

実は寝ている間に寒いと思って目覚めた時点で、体の芯は相当に冷えています。

その日一日は腹痛や下痢が起こりやすくなります。特に朝食後や昼食後に腹痛・下痢を起こす場合は、その原因の多くが夜間に体を冷やしていることに起因しています。

ポイントは、夜間急激に体を冷やさないようにすることです。

解決策の一例として、寝る前に寝室をクーラーなどで快適なくらいに冷やしておき、その後クーラーを止めてから、衣類をちゃんと着て、かつ布団もちゃんとかけて、温かい恰好で寝てください。

夜間に急激に冷えることが問題です。したがって寝る前にちゃんと体を冷やさない準備をすることがとても重要です。

暑いと寝れないと思いますので、その場合には思い切って部屋を涼しくしておくのです。そして寝る前と朝の寒暖差を無くし、体を暖かくしながら睡眠をとってください。

次に「だるさ」です。

梅雨時期は、体がだるく、重くなってきます。

熱が体にこもってだるいとおっしゃられる方もいます。これは、気圧・気圧の急激な変化と、外気の湿気により起こるだるさです。

人は常に蒸気のように汗を放出しています。見えはしませんが、皮膚からは常に蒸気が漏れています。

その自然発汗により身体の水分を調節しています。湿度が高まると、この自然発汗がうまくいかなくなります。

すると体が重くなります。そして血液が停滞し、特に筋肉の血流が停滞してきます。

すると筋肉がだるく、あり苦しくなってきます。この現象を東洋医学では「煩疼」と言いますが、梅雨時期ではこのような全身のだるさや重さ、疼きや痺れが起きやすくなってきます。

特に、筋肉量の少ない方や、運動不足がある方ではこれらが起こりやすいものです。

お子さまの起立性調節障害などがこの時期悪化しやすいのもそのためです。

こういう時期だからこそ運動が大切です。一日中家でゴロゴロするのではなく、筋トレなどで無理の無い程度に体を動かし、梅雨を乗り切って頂きたいと思います。

梅雨の養生、これらについては、毎年口うるさくコラムで伝えてきました。

そしてこれも毎年言っているようですが、今年の梅雨は本当にひどいと思います。

梅雨の発生が急激に過ぎるのです。恐らく台風の発生が決め手になっています。

いつも以上に体調の乱れる方が多くなるだろうなと、私自身がかなり覚悟して、梅雨を迎えております。

さらに、体の不調は必ず精神にも影響を与えます。

つまり梅雨による体調不良は、気持ちの乱れも誘発してきます

不安や焦り、イライラや抑うつ、やる気の無さや、神経過敏に至るまで、

すでに自律神経を乱してしまっている方が多くなっています。梅雨時期は不眠にもなりやすく、寝つきが悪かったり、深く眠れなくなってきます。

総じて胃腸を健やかにすること、そして適切な睡眠のとり方を心がけること、

さらに筋肉を適度に動かすこと。いつも申し上げている、食事・睡眠・運動の養生基本三原則です。

今後の天候は、いまいち読めない部分がありますが、

どうにかしのぎ切っていきたいものです。乱れる時期だからこそ、養生の基本をもう一度見直していきましょう。



◇養生の実際・梅雨 ~梅雨の体調不良と守るべき養生~
□梅雨の病 ~梅雨に起こりやすい症状と効果的な漢方薬~

【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら