梅雨と治療の難しさ

2022年06月22日

漢方坂本コラム

いよいよ梅雨に入り、

この時期特有の体調不良が多くなってきました。

自律神経の乱れや、頭痛・めまい・耳鳴り、

消化器症状の悪化や、倦怠感や皮膚症状に至るまで。

例年のことですので、その対応は経験済みの所です。

ただやはり、難しい側面も多いなと感じています。

今日はその辺りを、ちょっとお話してみようと思います。

上手く伝わるかなと、少し心配なのですが、、。

最近頭の中でぐるぐるぐるぐる考えていることを、

ひとり言のように、つぶやいてみようと思います。

私の経験上、もっともシンプル、かつ短期間に改善していくコツは、

適切な処方をずっと変えずに、突き通すこと。だから、なるべくそうできるよう心掛けています。

ただし病の性質上、どうしても変更を求められるケースや、

逆に的確なタイミングで変更しなければならないケースもあります。

例えば、天候によって大きく症状が波打つ場合。

また、季節によって生じてくる波に対応しなければならない場合。

ただし、だとしても迂闊に変更できないケースがあるのです。

処方を変更することには、危険を伴うからです。

処方を変更するということは、今までの薬では不十分だからそうするわけですが、

それと同時に、今まで効いていた側面を捨てることにもなりかねません。

むやみやたらに変方すると、逆戻りしてしまう。治療では、そういうことが良く起こります。

また、変方は時に治療を混乱させてしまう原因にもなります。

変方ばかりしていると、治療している側でさえ、何をしているのかわけがわからなくなってしまうものです。

処方の変更には、メリットとデメリットとがある。

だからこそ、変方には細心の注意を払わなければなりません。

治療得手の先生は、ここに明確なポイントを持っていらっしゃるんだと思います。

そこの見極めが、やはり未だに難しいのです。

その方に合った処方を選択するということは、ある意味では簡単です。

経験を積んでくれば、飲むとある程度調子良いなと感じられる薬を、誰だって選ぶことができるようになります。

しかし、実際に治されている先生方は、そこから先がうまいのです。

治療の組み立てがうまい。

その薬を押し通すべきなのか、またある段階で違う薬に変更するべきなのか。

さらに変方を見越して薬を出す場合もあります。まずはこの薬でどう反応するのか、その反応次第で、より良い薬を選択する情報を得るのです。

治療は道のりであり、マラソンです。

短距離走のように、その時だけゴールできれば良いというものではありません。

だからこそ、上手に変方を利用する。

また同時に、症状が波打ったとしても恐れずに同じ処方を押し通す。

どのような道を選べば、最短距離でいけるのか。

患者さま一人一人で、この判断が全く異なってきます。

だから、ぐるぐるぐるぐる。

頭の中であーでもないこーでもないと、考えてしまうのですね。

梅雨は特に、この難しさを痛感する季節です。

先を読むということが、とても難しくなります。

常に「先手」を打つことを意識しつつも、

「後の先」を取るべき場合もある。状況に合わせて、絶妙なタイミングで対応しなければなりません。

この辺りが、もっと自然にできるようになれたらなと、、、。

梅雨と格闘する日々が続いています。



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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

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