梅雨入りと夏バテ

2024年06月17日

漢方坂本コラム

今年は去年よりも、梅雨入りが遅いようです。

でもその実感が、私にはありません。

すでに梅雨のような重い湿気を、しばらく前から浴びている気がします。

「梅雨入りが遅い」というよりも、「梅雨が来そうでなかなか来ない」という印象。

気候にメリハリがない。

この状況は、体調不良を誘発させる気候の特徴です。

そもそも人体は、雨が降るならば降り続けてくれた方が楽です。

降ったり止んだりを繰り返す。そういう状況は、人体の血流を乱すと同時に自律神経に負担をかけます。

今年の5月はまさにそうでした。

重い湿気を孕む低気圧が来て、雨が降ったかと思うとまたスカッと晴れる。その繰り返し。

そして台風一号。それほど被害はなかったものの、台風が発生した時、全国的に具合が悪くなる方がたくさんいらっしゃいました。

事実、5月は体調不良を訴える方が増えました。6月に入ってからのほうが楽だという方もいるくらいです。

しかし、私はこの6月も油断は出来ないと思っています。

多分今年の梅雨は、急激にたくさんの雨を降らせる重く濃い低気圧が来ます。

雨が降るならば、降り続けてくれた方が楽。

ただしそれも、当たり前ですが程度によります。

水害が起こるレベルの豪雨、そこまでいなかなくてもザーッと急激に舞い込む重い空気。

そういう濃い雨が降り続けてしまう場合、やはり人体には極端な負担がかかってきます。

また今回の梅雨は、こういった豪雨が断続的・定期的に、短いスパンで繰り返されるという、非常に大きな低気圧の波として生じる可能性があります。

身体へのストレスは、もしかしたら5月の比ではないかも知れません。

確実に体調を崩される方が多くなるはずです。

そして私が怖いのは降る水量もそうですが、それ以上に人体にまとまりつく湿気と、それに伴う急激な冷えです。

腹痛に下痢、便秘、すっきりしない残便感など胃腸症状。さらに強い疲労感やだるさ、人によっては喘息や上咽頭炎の悪化。さらに自律神経が乱れて不安や不眠が誘発され、しかも風邪を引く方も増えてくる。

いわゆる東洋医学でいう所の「湿証」。これが前面に出てくる印象です。

そしてさらに怖いのは、この梅雨が明けたあと。すぐに始まる酷暑の夏。

湿気を含んだまま、急激に気温が上昇します。

まるで服を着たままサウナの中に入るような不快感。

如実に想像できます。おそらく今年の夏は、体調不良を起こす方がたくさん出てくると思います。

5月、梅雨への助走による気圧の強い波。

そこから6月、降水量の多い梅雨と重く濃い低気圧の断続的到来。

さらに低気圧が抜けた瞬間、一気に気温が上昇する7月後半。

この流れ、まさに気象病を誘発させる最悪の条件がそろっています。

まず気を付けていただきたいのが「夏バテ」です。

夏バテは理由があって起こります。それが梅雨からすでに始まっていて、かつ知っていればある程度の予防が出来ることでもあります。

以前、かなり詳しく書いたコラムがあります。下にリンクを貼りますので、是非そちらをご参照ください。

今年の夏は、絶対に夏バテの人が増えます。

もう一度言います。例年にないほどの、夏バテしやすい夏が来ます。

下記のコラムを参照していただき、

その回避の仕方を、是非頭の中に入れておいてください。



◇養生の実際・夏バテ対策編1 ~はじめに~
◇養生の実際・夏バテ対策編2 ~なぜ夏にバテるのか?胃腸の温存と水分摂取~
◇養生の実際・夏バテ対策編3 ~夏バテは胃腸に始まり胃腸に帰結する~
◇養生の実際・夏バテ対策編4 ~寝ることの意味・睡眠と夏バテ~

【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら

※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。また当店は漢方相談を専門とした薬局であり、病院・診療所とは異なりますことを補足させていただきます。