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私は大理石の中に天使を見た。
そして天使が自由になるまで彫り続けた。
-ミケランジェロ-
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漢方は新しい医学です。
古い医学ではありません。
過去の医学というイメージを持たれている人は多いと思いますが、
決してそんなことはありません。
たしかに歴史から学ぶべきものはたくさんあり、それが土台ではあります。
しかし歴史上の知識だけで成り立つことはできません。
なぜならば現代の人間に、現代の病に、効果を発揮できなければ医学として存続することができないからです。
時代が変われば人も病も変わります。
過去の書籍にいくら治し方が載っていたとしても、それはあくまで過去のもの。
今はもう当時の人間はいないし、病も今のものとは違います。
したがって過去から学んだものを、どうやって現代に応用していけるのか。
それが、漢方を医学として成り立たせるための条件です。
だからこそ、漢方は常に新しくアップデートされていかなければなりません。
新しい漢方を創っていかなければならないのです。
各時代の先人たちもそうやって新しい漢方を創り続けきた。
だからこそ今私たちは、現代の医学として漢方を使うことができています。
そう思っているし、それが真実だと思っています。
ただし、少しだけ違う見方をすることをもできます。
未来を創造していくということは必ずしも、
新しい何かを生み出してるわけではないのかも知れません。
私たちの目の前にはすでに、天使は存在していて、
だから私たちがやるべきことはただ、目の前の天使をそのまま掘り起こせばよいだけのこと。
新しい何かを生み出さないといけないという感覚は、
私たちにとって、時に呪縛になりかねない。
いつからか私には、そう思えてきたのです。
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漢方治療における成長。
今まで治せなかった病が治せるようになること。
そして現代の病を治すことが、徐々にできるようになってくること。
そういう漢方の成長を一つ一つ積み重ねていけばいくほど、
私には、何か新しいものを作り出している感覚がなくなってきました。
今までなかった治療方法が明確になってくればくるほど、
それはまるで、新しい治療を生み出しているように見えるかも知れません。
しかしそれは違います。昔の人が知り得なかった何かを作り出しているわけではなく、
ただ単に、目の前にあった答えに気が付けたという感覚なのです。
目の前に解答はすでにあった。しかし私は今までそれに気が付けていなかった。
それが経験を重ねるうちに、そこに気が付けるようになった。
成長の正体は、おそらくこれです。
治療方法にはっきりとコツが見いだせた時の印象は、
「そういうことだったのか、、、」という感覚なのです。
ミケランジェロは言います。
彫刻は石の中にすでに存在していると。
だから私は余分な部分を取り除くだけなのだと。
目の前の石の中に、他の人では気が付けない解答がすでにあって、
それに気が付けたからこそ、美しい天使を削り出すことができる。
これと同じです。すごく分かる気がするのです。
おそらく周りの人からみたら、ミケランジェロが天使を新しく生み出しているようにしか見えないと思います。
しかし違うのです。本人からしたら、生み出している感覚ではなく、
あくまで既にそこにある解答を、日の当たる場所に掘り出しているだけに過ぎません。
19世紀を代表するフランスの彫刻家、オーギュスト・ロダンにも同じような逸話があります。
彼は彫刻を削る時、石の周りから形を整えていくような作り方をしなかっといいます。
いきなり細部から彫り出していったそうです。
石の中に、すでに解答が見えていたのです。
この神業ともいえる手法を知った時、
私は何となく、自分のやっていることに落とし込める感覚がありました。
すでに目の前に解答はあるのだと。
そしてそれに気が付けたからこそ、納得と実感とを伴う方法論が培われたのだと。
私は決して、新しいものを生み出していたわけではなく、
ただ何回も何回も見ているうちに、気が付けなかったものに気が付けるようになっただけ。
人は多くのものを今まで創造し、作り上げてきたけれども、
多分その一つ一つは、目の前にすでにあった解答に、
気が付けたと言うことに過ぎないのではないかと思うのです。
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解答は常に目の前にある。
解答のある場所は「今」であって、決して未来ではない。
そうだと気が付いた時、私はすこし肩の力が抜けました。
私が気が付かなかっただけで、
答えはずっと私の近くにいてくれたのだと。
考え続けてよかった。
そう、思えました。
0から1を作り出す。
それって、多くのケースで勘違いしている気がします。
人は必ずしも、0から1を作らなくてもいい。
ただ、目の前に既に享受されている答えに気が付くことに、
ただ目の前のことに、
集中していれば良いだけだと感じたのです。
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漢方坂本/坂本壮一郎|note