「漢方は科学(サイエンス)というよりも芸術(アート)に近い」

確か大塚敬節(おおつかけいせつ)先生(※)の著書の中の一節だったと思うのですが、

まだ漢方に対してそれほど興味を持っていなかった私は、

この一文を目にした時、ぐいっと漢方の世界に引き込まれました。

そこから約20年、今ではもう漢方の世界にどっぷりと浸かっていますが、

この時目にした「漢方はアートだ」という言葉は、今もなお私の漢方に対する考え方の根幹を形作っています。

医療である以上、それを科学的に把握していく努力は必ず行われなければなりません。

ただしそれと同時に、病態を解釈する時、処方を理解する時、漢方を把握しようとするあらゆる局面で、どうしても芸術的な捉え方が必要とされるという現実があります。

様々な解釈の仕方がある世界ですので、それがすべてでは当然ありません。

ただ少なくとも、アートであるという側面は否定できないのではないかと感じています。



※昭和の大家の一人。北里研究所東洋医学総合研究所初代所長。数々の名著を残し、多くの弟子を輩出した近代漢方界の巨星。漢方薬を保険適用へと導くなど、本国における東洋医学の発展に貢献した業績により1978年に日本医師会より最高優功賞を受賞されている。

漢方とアート 2
漢方とアート 3