私の経験上、そもそもこの業界には、
どんなに知識があってもこのことが分かっていなければ漢方の専門家としては認めてもらえない、
そういう暗黙の「常識」があります。
それは常識であると同時に基礎的な「知識」であり、
そして技能に直結する「考え方」でもあります。
しかしそれは今まで誰かが教えてくれるものではなく、
自分で感じ、培っていかなければいけないものでした。
ただ昨今の漢方業界を見ていると、
ちゃんと言葉で知っていく必要があると感じるのです。
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漢方相談薬局を始めた若い薬剤師が、バイトをしないと食べいけない。
そんな話を耳にしました。
漢方を志して漢方薬学科に入っても、実際に漢方の道に入る生徒は少数。
そんな話も耳にしました。
現在、様々な問題を抱えながら、衰退の道を進みつつある漢方。
しかしおそらく、漢方は以下の2つを同時に保つことができれば消滅しないで済みます。
一つはモノ。つまり生薬資源。
もう一つはヒト。質の高い漢方の専門家です。
特に大切なのが後者。
生薬資源はある程度少なくなることは免れません。
しかし生薬の種類が少なくなったとしても、治療の質を落とさないように工夫できる技術と経験とを持った専門家がいれば良い。
つまり漢方が存続していくための方法は今も昔も変わらず、
質の高い漢方の専門家さえいれば、漢方はその歴史を継続することができます。
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まずは知るべき「常識」を理解すること。
それをここでは「漢方リテラシー」と題し、
0話から8話までの計9回にわたってお伝えしていきます。
漢方の道に入るその前提として知っておくべき基礎的なリテラシー。
これから漢方を志す方へ、そしてすでに漢方の道を進まれている方にとっても、
知るべき暗黙の常識を記していく。
そういう場があっても良いのではないかと。
ご参考にしていただければ幸いです。
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漢方リテラシー
【漢方坂本/坂本壮一郎|note】
