漢方治療の心得 14

師匠が最初に教えてくれたもの、

それは風邪(かぜ:感染症)治療でした。

「風邪を上手に治せる人は、慢性病の治し方もうまい。しかし逆はない。」

風邪を治せないのに、慢性病だけを上手に治せるということはあり得ない、という意味です。

「風邪は万病のもと」だと良く言われますが、

この言葉は我々漢方家への訓戒でもあるのです。

風邪の治し方は万病の治療に通ずるのだと。

言い得て妙だと思います。

逆の言い方をすれば、

風邪治療を、万病に応用できるほど知り得ているのか、ということ。

言葉では言われませんでしたが、

師匠がまず最初に風邪治療の講義から始めたその理由は、

私たち生徒の力量を知るためだったのだと思います。

はたして君たちは風邪治療のことをどこまで知っているんだい?と。

教えられつつ、試されていた。

今思えば、恐ろしい勉強会だったなぁと思います。

そのおかげか、

私は「桂枝湯(けいしとう)」を頻用するようになりました。

風邪の基本処方、経方の権与(けんよ:あらゆる処方の創始)と呼ばれています。

わたしは急性病・慢性病問わず使います。

そして実際に素晴らしい効果を発揮する名方です。

使い方にコツがあります。

そして多分、普通は基本処方過ぎてあまり使用されていないのではないかなと思います。

ただ一旦分かると・・。

私と患者さまとを、何回も感動させてくれた処方です。

非常に奥が深い処方で、

当然今でもその奥には到達できていない。

ただ、奥への進み方は分かった気がします。 

それを教えてくれたのは、風邪治療です。