秋に起こりやすい病と悪化しやすい症状

2024年10月31日

漢方坂本コラム

金木犀が香ったのは、先々週くらいでしょうか。

やっときた秋。

とはいえまだカラっと晴れているとは言い難く、

にもかかわらず夜間と朝は、すでに冬の気配を感じさせています。

10月まで引っ張り続けた夏の暑さと湿気。

それが未だに残っています。

さらに湿気が去ったかと思えばすぐに、冷たい風が吹き込むようになる。

でしゃばる夏に自分の出番を奪われ、

待ち構える冬に出番をすぐ取られてしまう。

与えられた一瞬の出番、自分をアピールする限られたチャンス。

スタートから全力疾走する秋。そこに私たちもついていかなければなりません。

湿気が無くなった分、カラっとした気持ち良い空が広がるようになったものの、

その代わりに起こる、急激な寒暖差。

暑い昼と、寒い夜と朝。ここまで気温の差が大きいと、どうしても体にとっては大きな負担になります。

寒暖差が大きくなると、発生しやすい・悪化しやすい病があります。

風邪、胃腸の乱れ、排尿の問題、皮膚の病、アレルギー症状です。

以前のコラムでも説明した通り、どれもこの時期油断することのできない症状です。

確実にご相談が増えてくる。予防も含めて是非頭に入れておいてください。

この時期の風邪は咽から始まります

朝起きると喉がイガイガして痛い。そこから発熱して風邪を引くパターンです。

夜間急激に冷えていく空気を吸い込み続けることで起こります。

咽痛の薬、漢方薬の桔梗湯や大根ハチミツが活躍する季節になってきました。

そして胃腸症状。普段からみぞおちの痛みお腹・下腹部の痛みを起こしやすい人は要注意です。

夜間や朝に体を冷やす、寒くて目を覚ます、これをとにかく避けてください

寝ている最中の冷え込みは容易に内臓を冷やします。お腹に痛みを生じやすい人ならば猶更です。

故にこの時期、胃痛・腹痛・下腹部痛は悪化します過敏性腸症候群月経痛慢性膵炎などで治療中の方は特に気を付けてください。

さらに冷えて調子を崩しやすいのが膀胱です。

感染性の慢性膀胱炎や、間質性膀胱炎この時期、特に悪化しやすい病です。

寒くなってくると如実に下半身が冷えたり、夜間尿が増えたりする方は要注意です。

今まで調子よかったのに急激に寒くなった夜に一回油断しただけで、そこから悪化してしまったという人が毎年必ずこの時期に出てきます。

そして寒暖差といえば酒さ・ほてり

夜間と朝は寒いのに、昼に向かって急激に暑くなる。

そして午後になると部屋がかなり暑い。まだクーラーをつけているご家庭もあるかもしれません。

急激な温度上昇に晒されると酒さは悪化します。また更年期に伴うホットフラッシュも悪化しやすくなります。

自律神経が乱れることで、ほてりと同時に不安感焦りイライラ恐怖感なども出てきます。

顔の赤み・ほてりを持つ方にとっては、一年を通じて最も辛い時期と言えるでしょう。

さらにアレルギー症状である、鼻炎喘息、また皮膚炎など。

いわゆる寒暖差アレルギーを持つ方は、当然ですがこの時期に悪化します。

朝の冷え込みから、起き抜けのクシャミや鼻水が激しくなり、かつ後鼻漏上咽頭炎も悪くなる傾向があります。

さらに冷たい空気を浴びることで起こる寒冷蕁麻疹。毎年この時期から徐々に患者さまが増えてきます。

風邪、胃痛腹痛、

膀胱炎に酒さ・ほてり、

鼻炎や後鼻漏、蕁麻疹。

季節の変わり目はいつもそうです。そこにどう対応していくのか。

今後増えていくであろう患者さまの体調不良を考えて、身が引き締まる思いです。

秋に起こりやすい体調不良。

急激に気候が変われば変わるほど、悪化の傾向も強くなります。

そして急激さという意味では、今年はここ近年にないくらいに強い。

加速していく秋に、どうにかついていきたい所です。

秋の体調不良にてついては、下記のコラムでより詳しく解説しています

体調管理にやや不安のある方は是非お読みください。

養生を実践しながら、楽しめる秋にしていきましょう。



◇養生の実際・秋に起こりやすい症状 〜咽(のど)の痛みとその予防〜
◇養生の実際・秋 ~夜間の冷え込みと悪化しやすい症状~
◇養生の実際・秋から冬 ~自律神経の乱れ・不安・焦り・イライラ~

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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。また当店は漢方相談を専門とした薬局であり、病院・診療所とは異なりますことを補足させていただきます。