突然の夏日。
関東ではまだ梅雨が抜けきっていないのにも関わらず、
本日、急に40℃近い真夏日になりました。
一週間前はまだ肌寒い日があったのに、それが嘘のようです。
今年の夏が思いやられる。
近年、私はちょっと夏恐怖症になっています。
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何度もお伝えしていることではありますが、
一昨年、去年と、夏が尋常ではないくらい暑くなりました。
暑いだけならまだしも、気温・湿度ともに高く、
かつ天気が不安定で、気圧も乱れやすかった。
さらに10月まで続く、長い長い夏でした。
それ故、ここ近年夏に体調不良を起こしてしまう方が急増しています。
もともと何らかの病や不調で治療されている患者さまたちが、
同時に夏バテを起こしてしまったり、持病を悪化させてしまったりしています。
体調が安定していた患者さまたちでさえ、
夏にとてつもなく悪化してしまった方が何人かいらっしゃいました。
患者さまへの申し訳なさと、自分自身への悔しさで、
私は夏が、若干トラウマになっています。
とういうわけで、くどいようですが、
とにかく夏に負けないようにするためのポイントをお届けします。
いくつかありますし、それは今までも「養生の実際」でお伝えしているところではありますが、
まずは今の時期から気を付けるべき、知っておくべき大切な養生を、
今回は一つだけお伝えします。
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夏にバテるおおもとの理由は胃腸が疲れることです。
故に元気な胃腸を保つことが、夏に健康でいるための必須条件になります。
もし胃腸が元気であれば、そうそう夏バテは起こしませんが、
夏はさまざまな理由で胃腸を壊しやすい季節でもあります。
夏に胃腸を壊してしまう理由はいくつかあります。
そのうち、今回はその理由の中でも最たるもの、
「水分摂取」について再度説明していきます。
ずばり、水の飲み過ぎは胃腸を壊しますよ、
という話です。
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これから先、熱中症予防対策として、
水分補給のアナウンス、水をたくさん飲め飲めコールが、テレビを中心に繰り広げられます。
水分補給の大切さに関しては、決して間違いではありませんが、
しかし水は飲めば飲むほど体に良いというのは絶対に間違いです。
自分に適した量、そして飲み方を見つけ、それを守ることが大切。
今回はそれを確認していきましょう。
まず「量」です。
基本的に人間の体は、自分に必要な水分量を「のどの渇き」というサインで教えてくれます。
ですから、のどの渇きに従って飲む。これが基本的には正解です。
ただしのどの渇きにもいろいろあります。
例えばずっと話していたりすると、口の中が乾燥します。
そういう時は口の中を潤す程度で済みます。ちょっと口に含むくらいで十分なはずです。
しかし汗をたくさんかいたあとは違います。ぐびぐび飲みたくなるような強い口の渇きが起こります。
その強さの程度に従って飲んでください。口の中が乾燥している程度なのにもかかわらず、水分をぐびぐび大量に飲んでしまう人がけっこういますがそれは間違いです。
のどの渇きに従って飲む。これが基本です。
しかし場合にはよってこののどの渇きを無視して、飲まなければいけない場合もあります。
例えばこれから炎天下の中、暑い場所で作業する場合。今から汗を急激かつ大量にかくことが分かっているというケースです。
そういうときは、汗によって水分を失う前に、つまりのどの渇きを感じる前から、ちびちびと水分を補給しておく必要があります。
多分、テレビのアナウンスではこの状況を言っているのでしょう。
しかしこの状況、日常生活の中でそうそう起こることではないと思います。
この炎天下の中、わざわざ外に出て何かするでしょうか。
これだけ暑い夏ですから、なるべく涼しい場所に身を置いておくべきだし、皆さんそうされていると思います。
その涼しい場所に身を置いているにもかかわらず、熱中症予防といって水分をどんどん飲むことは是非とも止めてください。
熱中症の最大の予防方法は水分摂取ではありません。
暑い場所に行かないこと、です。
極端に暑い日はとにかく外出は控える。
それくらいの気持ちでいた方が、これからの夏は良いと思います。
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また部屋の中で涼しくしている時は、冷たい水を飲むことも避けた方が良いでしょう。
胃腸は冷えるとどんどん疲れていきます。涼しい場所であれば、ぬるい、もしくはあたたかいものを飲むようにしてください。
さらに、涼しい場所に身を置いているのにも関わらず、水分をがぶがぶ飲んでしまうパターンがもう一つあります。
それは甘いジュースを飲みまくっている場合です。
糖分は依存を起こします。夏に甘い飲み物で水分補給をしている人は、水分ではなく糖分に依存することで、がぶがぶ飲んでしまっています。
大変ありがちな水分過剰摂取のパターンですので、是非とも気を付けてください。
ちなみに、のどの渇きを感じる前に水分を補給した方が良いケースがもう一つあります。
お年を召した方、すでにのどの渇きというセンサーが上手く働いてくれないご老人です。
クーラーのかかっていない部屋でも平気で布団をかぶって寝てしまいますので、ご家族がちゃんと見守りながら、水分を補給してあげてください。
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水分摂取の過剰。
水を飲め飲めと言われる夏だからこそ、是非気を付けてください。
水分の過剰摂取から夏バテを起こす典型的なパターンは、
日中に水分を取り過ぎたり、果物を食べ過ぎたりすることで、
お腹が水分でいっぱいになって、ご飯を食べられなくなる。これです。
夏はご飯をちゃんと食べることが大切です。
胃腸は水分だけでは十分に動きません。
動かない胃腸は、それだけでどんどん弱っていきます。
ちゃんとご飯を食べて、胃腸を動かし、消化・吸収・代謝・排泄という機能をちゃんと働かせること。
それを毎日毎日行い続けることが、胃腸活動を維持するための必須条件です。
夏場に水分を補給することは大切です、大切なのですが、
水分でお腹いっぱいにしてしまい、ご飯を食べる余力がなくなると、
人間はすぐに夏バテを起こします。
水分を摂取する際には、ご飯を食べる余力を残しながら飲むことを、是非心がけてください。
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※さらに詳しく↓
◇養生の実際・夏 ~夏の健康維持・知っておくべき養生2選~