脳の働き・体の声

頭だけを使い続けていると、どうなるのか。

歩くのが遅くなるようです、私の場合。最近気が付きました。

一日の後半、一人一人の患者さまに集中し続けていると、頭が妙に冴えてくる瞬間があってそれはそれで良いのだけれどもいざ椅子から立つと妙に歩くのが遅い。多分遅く感じているだけでちゃんと歩けているはずですがなんか頭だけが回っている感じ。いわゆるゾーンってやつでしょうかねこれ。あまり良い兆候ではないかと。

心身一如と言いますが、やはり頭だけ使っているのは良くない。体が伴わないとだめです。日中の運動不足を何とか解消しなければと思っています。体調が悪いわけではないのですがこのままではいけないぞと自分を戒めています。何しようかな、とりあえず車使用禁止。通勤は歩きます。

修業時代にお会いした漢方の先生は、患者さまを一日80人とか100人診ていらっしゃいました。今考えるとすごい事です。とてもじゃないけれどそんな所業わたしには出来ない。どうやって一人一人の患者さまへのパフォーマンスを維持していたのだろう。自分だったら頭使い過ぎて鼻血が出ます。耳から出るかも。おそらく不眠になることは確実かと。

東洋医学はその歴史上あまり「脳」を論じてきませんでした。医学としての致命的欠陥であると解釈されがちですが、同時にそこにこそ東洋医学の思想が垣間見れると思っています。すなわち脳は体の指令を仲介する器に過ぎないということ。脳から積極的に指令を送っているわけではないということです。

体の各部は緻密な連携のもとで働いていますが、その連携を繋ぐ役目を担っているのが脳。脳が活動を先導するのではなくあくまで体が活動を先導しているということ。その方が自然で、その方が生物として美しいということ。そんな思想を東洋医学からは感じるのです。だから脳についてはそれほど論じられていないのではないかと。

でもね、そんなことを頭でぐるぐる考えている私は結局脳に依存している。もっと体の声を聞かなければだめだなぁ、だから歩きます。

歩きながら体の声を聞く。体をコントロールするのではなく、体にコントロールされてみる。人はどんな生物よりも高い思考力を持っていますが、その分カラダとココロが分離しやすい。ちょっと哲学的でしょう。いや宗教的かな。そんなことはありません。物理です。