昔ある服飾関係の人が、
「お金を使う時は、その先選択肢が減るような使い方が出来ているかどうかを意識しています」とおっしゃっていたのを聞いて、
なるほどな、それは美しいなと感じました。選択肢が減るとは、この先そのことで悩まなくて済む、ということです。
例えば何でも良いのですが、じゃあフライパンを買おうと思った時に、
選択肢がたくさんあります。素材には鉄やステンレスやアルミがあるし、セラミック加工・フッ素加工・テフロン加工と色々あります。
それぞれ長所があるし、短所もある。さらにサイズ選びまで含めたら本当にたくさんの種類がある。
当然迷います。即ち選択肢の多さは、迷いの多さと同じです。
であるならば、出来れば将来的にこの迷いを減らす方向で買い物をした方が良い。
例えば私はフライパンを買う時は、これかこれを買うことに決めていますと、次買う時に思えること。
今後の買い物で迷うことが無い、そうなれるような買い物が今出来ていれば、
お金を使うほど使い方がシンプルになり、無駄がなくなる。お金の使い方が上手になります。
これが、選択肢が減る買い物が出来ているか、ということです。
この考え方ってそのまま医療にも通じます。
自分自身の健康に費やすお金を、果たして選択肢が減る方向で使えているでしょうか。
病院にかかる、薬局にかかる、鍼灸にかかる、整体にいく、エステにいく、何でもかまいません。
健康にお金を使えば使うほど、迷いは無くなっていますか?
自身の健康に迷い無く、お金を使えるようになっているでしょうか?
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視点を変えます。お金を使う側ではなく、
お金を使っていただく側の視点で考えてみましょう。
お客さん(もしくは患者さん)に、どう上手に使っていただくのかという視点です。
まずお金を使ってもらうためには、何らかの不足や不満が必要です。
○○が無い、○○だと不満、そう自覚するからこそ人は物を買います。
則ちお金を使っていただくためには、現状に不満がある、現状は不足していると認識してもらう必要があります。
さらにそこに、迷いがあると最高です。
どうしようと迷っている人であれば、一つではなく、複数個買ってくれる可能性があるからです。
また現状に迷っているからこそ、専門家にお金を払ってそれを解決しようとしてくれます。
今使っている○○、使いにくいですよね!(不満)。
今年はすごく暑くなります、今の備えで大丈夫ですか?(不足)。
○○で迷っている人は是非ご相談ください(迷い)。
不足と不満、そして迷いの誘発。
今行われているCMは、ほとんどこの手を使っています。
しかし、果たしてそれで良いのでしょうか。
このやり方は、お金を上手に使ってもらうという意味では、真逆だと思うのです。
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お金を使う側と、お金を使ってもらう側とでは、
全く逆の思惑があります。
だからこそお金を使うことが難しくなる。
少なくとも人の健康にかかわる医療では、そういうお金の使い方を誘発するべきではありません。
例えば内臓脂肪を燃やす的な薬のCMとか。
内臓脂肪が燃えるという解釈の妥当性もそうですが、太っていることへの不満を誘発させるようなイメージ。
太っているのは嫌ですよね、この薬で痩せますよと言いたげなCM。
不足不満を誘発させて消費を煽るようなCM。健康食品ならまだしも、医薬品でそれをやるのはどうかと思うのです。
そういうお金を使わせる側の煽りを受けてか、
自分の病や健康に対して上手にお金を使えている人は、実は少ないのではないかと感じます。
情報が多いほど、難しいと思います。それだけ煽りが多いということですから。
だからこそ今の時代は、迷いの無くなる方向でお金を使えているかがとても大切だと思うのです。
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迷い悩む必要のない、お金の使い方が出来ているかどうか。
特に自分自身の病の治療や、健康に使うお金だからこそ、
是非、迷いが無くなる使い方をして欲しいと思います。
そのためには、そういう使わせ方をしてくれる専門家もしくは医療機関に味方になってもらうことです。
ずっと薬を飲みなさいではなく、薬を飲まなくても良い体にしていくような治療を提案してくれる先生。
そしてそうするためには何が大切で、どう選択していくべきかを教えてくれる医療機関。
自分の病とどう向き合えば良いのか、健康を実現させるために惑わされない芯の部分、
お金を使うことでそれをちゃんと教えてくれるならば、きっとお金の使い方は上手になるはずです。
健康に良いとされる商品を無作為に買ってしまったり、
効かない薬を手あたり次第に買って、自己判断で飲んだり止めたりを繰り返したり。
そういう迷いの多いお金を使い方は、健康から遠ざかっていくだけです。
何物にも代えがたい自分の体のことだからこそ、上手なお金の使い方をして欲しい。
そのお金は、迷いの無くなる使い方が出来ていますか。
難しいことですが、意識するだけでも必ず変わってきます。
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