■症例:通年性鼻炎

2019年07月06日

漢方坂本コラム

胃腸改善のため通って頂いていた男性から、そのお子様のご相談を受けた。

中学三年生である。
毎年秋から冬・春先まで、鼻炎と鼻づまりが酷いのだという。

市販の葛根湯(かっこんとう)でも飲ませてみようと思うのですが、どうでしょうか?というご質問だった。

15歳、男子。

聞くと、鼻炎だけでなく、時に発熱したり頭痛したりを繰り返しているという。
さらに体形を聞いた。最近急激に身長が伸びているという。細くひょろ長いといった印象、だということだった。

話だけである。その子に会ってもいない。しかし私は葛根湯はやめた方が良いと思った。

そこで、一度会わせていただけませんか、とお願いしたのである。

後日、その男性は息子さんをつれてきてくれた。

そして実際に会ってみて分かった。さらに体調を詳しく聞いて確信した。
この男子の鼻炎は、単に鼻だけの問題ではなかったのである。

小学生・中学生という時期において、人は急激に身長が伸びる。

そして、その形の変化の急激さは、人生において異常事態ともいえるスピードである。

この時、人は自分の形を作るために、材料を多く必要とする。
ではその材料はどこから来るのか。

間違いなく、食事、である。

この子は普段から食欲にムラがあった。
そして発熱とともに鼻炎し体調が悪くなる際、必ず食欲が下がり、しかもひどく体がだるくなった。

これは胃腸の弱りによる、材料の供給不足である。

たくさん食べさせなければいけない、という問題ではない。
体を形作る食事という材料を、しっかり供給できる胃腸を作らなければならないという状態である。

つまり、くしくもこの男の子とお父さまは、ともに胃腸が弱かったことになる。

私は断じてお腹に力をつける薬を出した。

飲んで5日で鼻水は止まった。そして14日後には発熱・頭痛・咽痛もおさまった。
そして同時に食欲のムラがなくなり、だるさが取れ、肌の乾燥もなくなってきた。

まとまった期間、治療を行った。
そして症状がほとんど消失した現在は、疲れた時だけ服用するようにしてもらっている。

嬉しいご報告があった。
一時止まっていた身長が、また伸び出したそうである。

このままいくと、この男の子はお父さんの身長を超えるんじゃないかな。
私はそんな日がきてくれることを、密かに楽しみにしている。



■病名別解説:「アレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎
■病名別解説:「花粉症
■病名別解説:「副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏

〇その他の参考症例:参考症例

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