お萩さん

2021年08月08日

漢方坂本コラム

漢方坂本は、今日・明日とお休みをいただいております。

さんざん言っていることですが私は出不精で、

休日といえば、もっぱら家族とゆっくり過ごしています。

しかも最近、お萩(おはぎ)という家族(オスねこ)が増えましたので、

遠くに出かける理由など、何一つなくなりました。

こうしてコラムを書いていると、

さらさらとした猫のしっぽが足にからまります。

床が冷えるかな。クーラーのかけ過ぎに注意しないと。

おかげさまで、穏やかな休日を過ごしております。

お萩の話を少々。

怪我をして我が家に飛び込んできたお萩は、

そのまま私達の家族となり、順調に傷の回復を見せております。

そして獣医の先生の勧めのもと、先日、去勢手術を済ませました。

その時同時に行った検査の結果、FIV抗体が検出。

猫免疫不全ウイルス感染症。

おそらく同居前、野良猫同士の喧嘩によって罹患したようです。

怪我をしていた時点で、何らかの病にかかっている可能性は感じておりました。

ただ、可能性を感じるのと、実際にそうだと分かるのとでは全然違いました。

かなり動揺しました。

獣医の先生曰く、今の時点で保護されたことが、不幸中の幸いだったとのこと。

今はすでに急性期を過ぎ、無症候期に入っていて苦しむ様子はありません。

ただし、かなりはっきりとした陽性反応が出ていたようです。

もしかしたら、進行が早いかもと。この元気な様子が、いつまで続いてくれるのでしょうか。

ただ、

自分でも少し驚くのですが、

この心配は、すぐに覚悟に変わりました。

胸を締め付ける思いは当然あるものの、

上等だ。自分に出来ることをする、と。

力むわけでもなもなく、がむしゃらになるわけでもなく、

ただ、すぐにこの病を調べ、するべきことをしようと気持ちが固まりました。

そうできたのは、おそらく今までお会いしてきた患者さまが、私に教えてきてくれたからです。

当薬局にお越しになられる患者さまは、誰だって前を向いておられます。

治療をあきらめている方は、誰一人としてご来局されていません。

当薬局の入り口をまたいでこられたことこそが、自らの病に勝とうとしている証拠だからです。

改善へと導くためには、そういう気持ちが大切なんだと、

今までたくさんの患者さまから教えていただきました。

どうやら、その経験は私の芯にちゃんと染み込んでいたようです。

お萩にそれを、確認させてもらえました。

さて、どうするか。

猫と人、おそらく根は一緒なのではないかなと。

私には動物を治療した経験があまりありません。

かつ有効な治療法がない病。進行を防ぐ自信は全くありません。

ただ、お萩さん、あなた幸運だぞと。

よくぞ我が家に飛び込んだ。端くれではあるものの、この家のあるじは医療者です。

一年でも長く、一緒にいよう。

家にある漢方をクンクンと匂って、噛んだりするお萩。

この子ならいけるかも知れない。

選んだ漢方をバクっと食べました。

嬉しい。まずは初手、成功です。



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