三寒四温

2023年02月22日

漢方坂本コラム

三寒四温さんかんしおん

晩冬の候。

三日寒い日が続いた後、四日暖かい日が続くという、

季節の移ろいを感じる季節になりました。もうすく春がきます。

今年はどうやら花粉の飛散量が多いようで、

すでに鼻炎を起こしている方も多くなっています。

心地よい季節ではあるものの、体調を乱しやすい季節でもある。

毎年この時期は、引き締めてかからなければと、

気持ちに自然と、喝が入ります。

この時期に起こりやすい体調不良にはいくつかあります。

まずは火照り。顔や体が、急激に熱を帯びてくる方が増えてきます。

当薬局では酒さホットフラッシュにて治療中の方がたくさんいらっしゃいますが、

この時期になると悪化される方が多く、特にマスクをしているとほっぺたが真っ赤になると訴えられます。

悪化の理由は、急激な気温の上昇です。

例えば、寒い外から急に暖房の入った部屋に入ると、誰しもが顔に火照りを感じやすくなります。

この血流変化が天候レベルで起こっているのが今の時期です。

前日と今日、朝と昼との気温が急激に変化し過ぎると、どうしても顔が強く火照ってしまいます。

そして次に多いのが、自律神経の乱れです。

特に精神面にその乱れが顕著に現れてきます。

不安感が強くなり、自分でもコントロールできなくなる。

ソワソワして、いてもたってもいられなくなる。

無性にイライラして口調がきつくなってしまう。

寝ようと思ってもなかなか寝付けず、眠りが浅くなってしまうなどなど。

動悸や息苦しさ、ほてりや頭痛などと同時に、これらの精神症状が顕著に現れてきます。

私がそういう目で見ているからかも知れませんが、

街をみてもソワソワ・イライラしている人が多くなる、今の時期にはそんな印象が感じられるものです。

春の火照りや気持ちの乱れ。

漢方では昔からこの現象に着目していて、春は植物の芽吹く時期、故に外界の気が昇発するからそうなるという理屈で説明されています。

そして中医学では肝気がたかぶるといって、この時期によく使われるのが加味逍遙散かみしょうようさんなどの疎肝剤そかんざいです。

しかし私の経験上、この薬だけではなかなか解決ができません。

やはり中医学の理屈から、一歩外に出た考え方が必要なようです。

総じて言えば、いかに血流を安定させることができるのか、という点に帰結するのですが、

とはいえ人それぞれ血流の乱れ方が違いますので、その要所に的確に作用させることが肝要です。

そして養生の実践もとても大切です。

暴飲暴食を避けて、適度に体を動かし、

睡眠時間を十分にとって、寒温をかなえた衣類をまとうこと。

食事・運動・睡眠。当たり前のことですが、これが乱れれば人体は必ず血流を乱します。

また暖かくなって油断して、薄着のまま夕方に体を冷やしてしまったり。

ちょっとした不養生の結果、体調が乱れやすくなる季節です。

春を心地よい季節として過ごしていただくために、今一度養生の実践を行っていきましょう。

年を経る毎に、春の訪れ方が急激になってきているように感じます。

春にどのような過ごし方が必要なのか。

これから先は今まで以上に季節への対応が重要になってくると思います。

梅の花が芽吹き始め、外に出る機会も徐々に増えてくる時期だからこそ、

体調管理を徹底しつつ、春の暖かさを心地よいと思える体にしていきましょう。



■病名別解説:「酒さ・酒さ様皮膚炎・赤ら顔
■病名別解説:「更年期障害
■病名別解説:「自律神経失調症

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