後者は名医

2020年05月30日

漢方坂本コラム

当薬局にお越しになる患者さまは、

すでに他の医療機関にて漢方治療を受けていた方がほとんどです。

見た目の漢方感がどっぷり濃ゆめの薬局ですので、

何となく最後の砦的になっているのかも知れません・・・。

「後者は名医」という言葉があって、

後で診た先生ほど、名医になりやすいという格言?があります。

これは後で診た先生ほど腕が良い、ということではなく、

後で診た先生ほど、その患者さまを治せた時に「どこに行っても治してもらえなかったのにすごい!」と思ってもらいやすいという意味で使われている言葉です。

実際に臨床を経験していると、確かにその傾向はあって、

当薬局にお越しになられた患者さまたちから、非常にうれしいお褒めの言葉を頂けることがあります。

色々な漢方を試してきたけど治らなかった。でも諦めず、先生に相談して本当に良かったです。

漢方家冥利に尽きるというか、そういうお言葉を頂けるだけで「やってきて良かったな・・(涙)」と、本当にうれしく思います。

ただ、これはやはり「後者は名医」ということに過ぎません。

以前受けられていた漢方治療があったからこそ、患者さまを改善へと導くことができたのです。

患者さまが以前受けられていた治療は、正しい薬方を選択する上でとても大切な情報になります。

つまり、もし上手くいかなかった治療だとしても、それは患者さまにとって決して意味のない経験ではないのです。

今まで患者さまと伴に頑張られていた先生がいらっしゃっるからこそ、

その経験が次の先生への大きなヒントとなって、より正確な治療を導くことができます。

そして何よりも、上手くいかなくても決して諦めない者さまの気持ちがあるからこそ、

次の先生の治療を成功へと導くことができるのです。

患者さまの諦めない気持ちと、先生方との治療経験こそが、次にお会いする先生を名医にします。

それが「後者が名医」という言葉の真の意味合いだと、私は思います。

だからもし治療が上手くいかなかったとしても、決して諦める必要はないのです。

もし私が治せなかったとしても、その経験はきっと次の先生へのバトンになります。

そしてもし私が治せたとしても、それは患者さまと先生方との今までの経験があったからこそ、成し得たことなのです。

難しい病であればあるほど、その傾向があると思います。

そういう繋がりの中で、治療は成功へと向かっていくのです。

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