酷暑だからこそ

2022年07月05日

漢方坂本コラム

夏。

突然の酷暑。

先週は急に暑くなりました。梅雨に気を付けてくださいと言っていたのも束の間、いきなりの梅雨明け宣言です。

なのに今はこの低気圧。梅雨終わったんじゃなかったっけ、、、。

しかも雨があければ、また急に暑くなるのでしょう。

天候の波を抱えたまま移り変わる季節。今年の夏は、厳しそうです。

早速ですが、夏の養生です。毎年恒例のことではありますが、あくまで丁寧に、そしてくどいくらいに。

体調を崩さないために気を付けていただきたいことを、重ね重ね、お伝えしていこうと思います。

梅雨があけたとしても、夏は夏で体調を崩す方がどんどん増えてきます。

夏バテ、食欲の低下、体のだるさや浮腫み、息苦しさや動悸、下痢や胃もたれなどなど。

患者さまをみていると、すでに夏特有の症状がちらほら出始めています。

これらの症状は全て繋がっていて、ある共通した体調の乱れから生じることが多いものです。

夏の体調不良の原因。

それは「冷え」です。

、、、ん?と思われた方、のためにもう一度言いうと、

夏の体調不良の原因は、暑さよりも、まず「冷え」にあります。

実は夏こそが、内臓がしんしんと冷えてくる季節です。

それは夏になると、体がそのように変化してくるから。

冬と夏とでは、体の働き方が変わります。

寒い冬は体温を守るために、体の内側に熱を閉じ込めるように働きます。

しかし夏はその逆、体に熱を籠らせないために、体外へと熱を放散するように働きます。

夏になると、こうやって内臓の熱が外へ外へと失われやすくなります。

体の外側は熱い、しかしお腹は冷えているという現象が、起こりやすくなるのです。

例えば夏場にほてった手をお腹に当ててみてください。

お腹が冷たいと、感じられる方は多いのではないでしょうか。

夏場は内臓が冷えやすい。

このことが、夏に起こる体調不良の原因になり得ます。

冷たい飲み物や食べ物が摂取が増えるため、

内臓の中でも、特に「胃腸」が最も冷えやすくなります。

胃腸は体内最大の筋肉組織です。

そして血流を促す最大の臓器でもあります。

さらに食事からエネルギーを作り出す中枢でもある。

そのため胃腸が冷えると、体の中から血行が悪くなり、エネルギーを作り出せなくなります。

これが夏場に起こる食欲不振や疲労、浮腫みや息切れ、下痢や胃もたれの原因になります。

夏バテの根底には、このような胃腸の冷えが介在しているのです。

夏に体調を悪くさせる方のほどんどが、胃腸に弱りを抱えてくるかたです。

いかに「胃腸」を守るのか。

これが、夏を乗り切るためのポイントになります。

まずは、水分摂取に気を付けましょう。

水はなるべく常温で。ごくごく大量に飲みたくなるところをグッとこらえて、ちびちびとゆっくり補給するようにしてください。

そして果物やアイス・かき氷などの胃腸を冷やす飲食も避けること。

暑ければまずはちゃんと汗を拭いてから、涼しい場所で体を冷やしましょう。

冷たいもので直接胃腸を冷やすのではなく、体を冷ますことです。この時直接クーラーなどの風を受けない方が良いと思います。涼しくした部屋で、ちゃんと休息を取りましょう。

そして涼しい中では、熱い湯を飲む。お腹がじんわりと温まるくらいの熱い湯を飲むことをお勧めします。

これだけでも、夏バテ予防につながるはずです。夏は胃腸を冷やさないということが、とても大切になってきます。

そして胃腸は寝ている間にしか回復しません。

したがって睡眠不足は必ず夏バテを誘発させます。

十分な睡眠を心がけてください。ちゃんと冷やした寝やすい部屋で寝る。

そしてなるべくなら短パンはやめて、長ズボンを履く。寝ている間は空調で冷やし続けないように。もし寝苦しいなら体に直接当たらない角度で風を出し、極々弱めに風量を設定してください。

胃腸の冷えが、夏バテを起こす。

これは私の経験上、確実にそうなると言えることの一つです。

暑い季節だからこそ、その暑さに負けないようにするためには、

内臓を温めておくことが重要なのです。このことは是非知っておいていただきたいと思います。



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