漢方坂本コラム

人と腹と

漢方では古くから「腹」の重要性に着目し続けてきました。『傷寒論(しょうかんろん)』に記載されている「腹」という文字の多さや、江戸時代に隆盛を極めた腹診、稲葉文礼(いなばぶんれい)の名著『腹証奇覧(ふくしょうきらん)』の存在。漢方において「腹」とは見るべき体の要であり、生命活動を支える土台として、考えられてきました。

【漢方処方解説】柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

柴胡桂枝湯の適応は「風邪」「ニキビ(尋常性ざ瘡)」「婦人科の病:PMS・無月経など」「自律神経失調症」「パニック障害」「胃腸の病:胃痛・腹痛・下痢・便秘・過敏性腸症候群など」と、すべて一見脈絡がありません。今回の解説ではこの処方についてやや深く掘り下げて解説していくとともに、この不思議さの秘密を紐解いていきます。

人と処方

漢方処方はたとえ同じ名前であっても、効果が同じとは限りません。例えば桂枝湯という有名な処方があります。この処方は、使う先生によって効果の出方が全く異なってきます。例えば半夏厚朴湯は、咽に何かがつまって息苦しいという場合に良く使われる薬ですが、先生によってはこれを胃薬として使います。

□男性更年期障害(LOH症候群) ~漢方薬による対応とその実際~

女性特有の疾患と認識されがちだった更年期障害。実は男性にも起こるということが、今では広く認知されるようになりました。男性が心身の健康を維持するために必要とする男性ホルモン(テストステロン)が、何らかの理由で急激に減少してしまうために心身に不調をきたす病が、男性更年期障害(LOH症候群・加齢性腺機能低下症)です。

天気と抑うつ状態

今回の体調悪化は、7月や8月に起こっていた天候不良とは少々違い、やや独特な様相を、帯びています。頭痛や息苦しさ、胸の詰まりや耳鳴り、不眠といったいつもの症状を伴いつつも、体がとにかくだるい・やる気がおきない、といった「だるさ」が全面に出ている印象があります。そして、「抑うつ状態」を併発しているということです。

漢方とアート 10 ~生きた色~

漢方家は人を観ます。人を観て、症状を把握します。そして、その症状を消し去る方剤を出すことで、病を改善へと導いていくわけですが、その時、私たちが把握する症状は、そもそも非常に曖昧で相対的なものです。患者さまが訴える症状は、患者さまの人柄やその時々の状況、さらに我々受け手の状況によって、常に不安定に揺れ動いているものです。

漢方治療の経験談「子宮筋腫・子宮内膜症治療」を通して

漢方治療では、物理的に大きくなってしまった組織を小さくしていくことは、現実的に言うと難しいという側面があります。しかし、子宮筋腫や子宮内膜症に付随する様々な機能的問題、例えば経血量の過剰や貧血、激しい月経痛やPMS(月経前緊張症)など、これらの側面に対しては、高い効果を発揮することがままあります。

名医の空気

押しも押されぬ昭和の大家、大塚敬節先生。その一番弟子と目された先生に、相見三郎先生がいらっしゃいます。今回お会い出来た先生は、その相見三郎先生のあとを継いで、臨床に当たられた先生。漢方の技は、雑談の中で作られます。漢方家同士が、軽く話をする。なんてことのない、簡単な会話の中で、漢方の技が作られていくのです。

漢方治療の心得 30 ~上手と下手~

昔、臨床を始めて間もない頃、風邪をひいた友人から、何の漢方薬を飲んだらいいのかと相談を受けた。ならばと意気込み、自分が漢方薬を出すから飲んでみてくれないかと、もちかけてみた。友人は、それを快く承諾。今回のコラムは、その一部始終です。理論・理屈で切り回そうとする頭でっかちな自分には、ガツンと響く、そんな経験だった。

混乱させる医学

曖昧なものを、曖昧なまま治療することの出来る医学。あたかもそう見える漢方ですが、実際には、決してそんなことはありません。東洋医学を構成する言葉は、基本的にすべて曖昧です。その曖昧さを、それで良しとしない姿勢が必要です。その努力の積み重ねによって、今日の東洋医学があるといっても過言ではありません。
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