漢方坂本コラム

◆漢方治療概略:「疲れ・疲労倦怠感」・前編

疲労倦怠感。誰しもが感じることのある「疲れ」は、漢方治療では最も得意とする症状です。「ちょっとしたことで疲れやすい」「夕方になると体がだるくてしんどい」「寝ても疲れが取れない」「眠りが浅くて寝た気がしない」このような疲労感を感じておられる方が、日々漢方治療をお求めになってご来局されます。

花火散るが如く

誰にでも『傷寒論』は読める。しかし『傷寒論』を完全に読み解いた人は、今までの歴史上、一人もいない。なぜ少陰病に、大承気湯が書かれているのか。例えばなぜ陽明病に、麻黄湯が書かれているのか。『傷寒論』の骨格、六経病とは一体何なのか。『傷寒論』の著者、張仲景(ちょうちゅうけい)。燃え尽きる命を、多く目にしてきた聖医。

真冬のひとり言

どんなに優れた漢方家でも、最初の処方だけで改善するとは思っていません。もちろん改善するための最適解たる処方を出すのですが、名医であればあるほど、その薬が効かなかった時のことを、常に考え続けています。そして二診目の時点で、その処方を変えるのか、変えないのか。治療は道のりである、ということです。

□月経前症候群(PMS) ~基礎だけでは通用しない・漢方独自の見立て~

前回のコラムでは、現在行われている月経前症候群(PMS)治療における問題点として、「気血水」の分類だけで処方を選択するやり方、そして「証」を探すことで処方を決定しようとするやり方の二つを挙げてみました。今回は、実際にどのように考えていくことが正しいのか、その一端を説明していきたいと思います。

□月経前症候群(PMS) ~なぜ効かないのか・現行の漢方治療とその問題点~

当薬局でもかなり多くの月経前症候群(PMS)治療を経験してきました。そして来られる方のほとんどが、すでに何らかの漢方治療を受けられていた方達です。例えば加味逍遥散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の婦人三大処方など。これらの処方は、確かにPMSに効果を発揮することがありますが、実際には改善しないというケースが少なくありません。

新年のご挨拶

有限の資源を扱う漢方治療では、患者さまにお薬をお渡しするまでに、たくさんの方々のお力添えがどうしても必要になります。良質な生薬を作り、育て、流通させ、それらを安定させる努力。農家の方々やメーカーの方々の尽力こそが、日本の東洋医学を支えています。そのおかげで、私たち臨床家や患者さまたちが漢方の恩恵を受けられるのです。

2022・甲府より感謝を込めて

自分にこそふさわしい養生、情報に流されない知恵を実感する。そういう価値が、もし体調を崩したからこそ得られるのだとしたら、今、続けて頂いている努力は、きっと価値あるものだと私は思うのです。人と病。病と治療。漢方の道は深く、険しい。その中でも一歩ずつ、治療のコツのようなものが見えてきたような気がします。

荒ぶる年末

12月に入ってから、精神面、眠り、呼吸・心肺機能、胃腸、顔のほてりやホットフラッシュ、身体の疼痛症状に至るまで。多岐に渡って体調を崩されている方々が増えていますが、毎年元旦は天高く、空が澄み渡ります。そうなれば、これらの症状も落ち着いてくる。食事や運動など、お伝えしている養生を続けていただければ大丈夫です。

そこのけそこのけお馬が通る

東洋医学は生命全体を捉えようとした医学です。聖典『黄帝内経(こうていだいけい)』では、人が病を得るのは、地球の規律に同調していないからだと説いています。自然に生かされている。そういう前提が、東洋医学にはあります。だから、人を治すにも自然を使います。すなわち生薬です。また自然を知るように促します。すなわち季節です。

■症例:頭痛・胃痛・下痢

主訴は、定期的に起こる頭痛、胃痛、腹痛と下痢。痛みに悩まされる方特有の、眉間にしわを寄せる表情が印象的だった。腸や子宮といった骨盤内臓器の活動・機能が乱れていることは明白だった。今回の治療では、痛みを止めることが絶対条件になる。如何に骨盤内の乱れを改善できるのか。治療方針としては、そこから外れることはないと感じた。
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