漢方坂本コラム

融通無碍のカラクリ

脾胃気虚を補う基本処方「四君子湯(しくんしとう)」と、湿痰という胃腸の水分代謝からくる吐き気などを止める「二陳湯(にちんとう)」。両者を合わせた構成を持つのが「六君子湯(りっくんしとう)」。効果と名称とが、非常に分かりやすくつながっています。しかし私は、最近この「六君子湯」をほとんど使わなくなりました。

◇養生の実際・冬 ~冬場の脱水?・暖房器具に注意!~

冬でも、急激に脱水を起こしてしまうケースがあります。特にお年を召した方や、起立性調節障害などを患われているお子さまなど。頭痛やめまい、だるさや浮腫み、動悸や息苦しさ、また不眠や下痢や腹痛を起こす方もいらっしゃいます。寒い冬に暖房は必須です。ただし、寝ている間も暖房をかけ続けることは避けましょう。

【漢方処方解説】大柴胡湯(だいさいことう)

昭和の名医・大塚敬節先生が最も使用した薬は大柴胡湯だったそうです。自律神経失調やホルモンバランスの乱れを始めとして、心療内科・消化器科・婦人科・呼吸器科・耳鼻科・眼科・皮膚科など、様々な領域の病に応用されていたそうです。大柴胡湯は、見極められると様々な病に応用できる薬です。今回はその運用のポイントを述べたいと思います。

ストーリーを診る

漢方の臨床を始めて十数年が経ちます。患者さまにはお一人お一人全く異なる、壮大なストーリーがあります。現状はただの一部でしかなく、その物語にこそ治療のヒントがあります。そして、これからもその物語は続きます。治療はその物語を、より良い方向へと導くためのもの。西洋医学も東洋医学も、到達しようとしている場所は同じだと思います。

年始のご挨拶

確実に変わっていく地球。それを私たちは、すでに天候の波として感じることができます。人は天に生かされている、そういう着想が根本にある東洋医学ですが、今後の東洋医学は、今までとは違う、新たな局面を迎えているように思います。時代時代で変化を続けてきた漢方、その正道をこれからも継承するべく、今年も精進してまいります。

今年一年の感謝を込めて

お一人お一人の患者さまに起こる、さまざまな体調変化。そこにご対応しながら、いかに症状を安定させていくか。やはり天候の影響が強い気がします。年を重ねるごとに荒れる空。来年はできるだけ安定してくれることを願うばかりです。今年、当薬局を頼っていただいた患者さまたちに、深く、深く、感謝いたします。

暮れとピカソとカルテ整理

身になる・腑に落ちる。漢方治療においてはこの感覚が、私はとても大切だと思っています。見て、聞いて、話して、試し、理解する。そういう「経験」を積み重ねる中で、なるほどなと、自身が深く、理解することが「実感」です。実感の無い理解は、ただ知っているだけに過ぎず、その知識は往々として、あまり臨床の役にはたちません。

漢方治療の経験談「起立性調節障害治療」を通して 4

早く治るものと、時間をかけざるを得ないもの。起立性調節障害と認識されている方たちには、実にさまざまな治療の流れが存在します。そして病院ではっきりしないという状態であれば、東洋医学を強くお勧めします。漢方では起立性調節障害であろうとなかろうと、見極めさえ正しく行われれば治療の道筋を作り出すことが出来るからです。

知識を欲する全ての方へ

医学の中でも正しさを求めることが特に難しい漢方の世界。なるべく率直に、ありのままに。私が知り得た情報や漢方の世界観をそのまま表現した辞書。そうやって作ったのが、このHPです。患者さまや学生さん、医療関係者の方々など、漢方にご興味のある全ての方に、見てもらえる情報源を作るというのが、このHPの本来の目的です。

年末の牙

本来11月から12月初旬は、もう少し安定している時期であったはず。にもかかわらず、多くの方が悪化しています。自律神経の乱れと、そこからくる血流障害。特に頭痛・めまい・耳鳴りなど、頭部に起こる症状が甚だしく、さらに胃腸活動の不具合から、不安感・焦燥感などのメンタル面に至るまで、今、苦しんでおられる方がかなり増えています。