漢方坂本コラム

秋が好き

最近、窓から入ってくる風が心地よい。 適度な冷気を帯びた、湿気を払う風。 秋が好きです。 でもまだまだ暑い日が続きます。...

漢方治療の心得 2 〜複数の解答〜

昔、父がまだいたころ、 患者さまにご対応し、漢方薬をお出しした私に対して、 父は必ず、「何を出した?」と聞きました。 「...

漢方治療の心得 1 〜先入観〜

治療という真剣勝負の中で、 これがあると失敗する、というものがあります。 先入観。 患者さまと問診をしている中で、 あ、...

■症例:不眠

36歳、女性。睡眠導入薬を毎日服用している。それでウトウトとはするが、常に頭は覚醒していて少しの物音で起きてしまう。食欲も、便通も、睡眠も、すべて乱れていた。そしてこれらの原因は、実はすべて同じである。体力の不足。人間が本質的に持つはずの力の弱り。完全に「虚」に属する病態であった。原因が同じである以上、一つの薬で足りる。体力を回復させることで、快食・快眠・快便へと向かわせるのである。

酒さ様皮膚炎

顔が赤くなって恥ずかしいという思いをする方は、多いと思います。程度が軽ければ問題ありませんが、顔がチクチクと痛み、あるいは痒くなり、発疹まで出るということがあります。酒さ様皮膚炎。西洋医学でもなかなか治療の難しい病に属する疾患です。人によって適応する薬方も、そして治療期間も異なってくるため、個人差を重視する東洋医学的解釈をフル動員して治療に臨む必要があります。

私たちが本当にしなければいけないこと

家事の大変さ。 仕事をしながら、夕食を考え、時間以内に作り、片付け、子供を風呂に入れ、寝かし、明日の朝食を考え、髪を乾か...

名医の限界

漢方の理論は曖昧です。 曖昧だということを理解することから、理論の構築が始まるといっても良いと思う。 では、曖昧なものか...

La Feuille

東から上り、西へと沈む太陽。 そういう空間で生まれたあらゆる生命は、 地球の原理の中でこそ、生きていけるように設計されて...

印象

患者さまは、きっと気づいていないと思う。 淡々と話していながらも、実は僕が驚いている事を。 治療をしている中で、人は変わ...

■症例:過換気症候群

39歳、男性。過換気症候群。何度病院に通うも問題ないと言われていた症状が悪化し救急搬送された病院で、こう診断された。クリエイティブかつ斬新な技術を持つ西洋医学をもってしても、問題を見つけられないケースが存在する。だからそれを補うべく、漢方家は体の中を「想像」する手法を磨き上げた。この患者さまの症状は、心中・心下の積気。古人が「中脘(ちゅうかん)の結聚」と呼んだ病態である。