漢方処方解説

【漢方処方解説】大柴胡湯(だいさいことう)

昭和の名医・大塚敬節先生が最も使用した薬は大柴胡湯だったそうです。自律神経失調やホルモンバランスの乱れを始めとして、心療内科・消化器科・婦人科・呼吸器科・耳鼻科・眼科・皮膚科など、様々な領域の病に応用されていたそうです。大柴胡湯は、見極められると様々な病に応用できる薬です。今回はその運用のポイントを述べたいと思います。

【漢方処方解説】呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

頭痛・片頭痛、胃痛・月経痛、下痢、脚気衝心(かっけしょうしん)、心臓性喘息、パニック障害、ホットフラッシュ・酒さ・酒さ様皮膚炎などで用いられることのある呉茱萸湯(ごしゅゆとう)。数多の薬の中でも、呉茱萸は特殊な生薬で、今ではなくてはならない生薬の一つになっています。呉茱萸を使わなければ治らないという病態が存在するからです。

【漢方処方解説】桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

瘀血(おけつ)の名方、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。以前紹介した当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)と並び、婦人の聖薬として頻用され、「瘀血」と呼ばれる血行障害を改善する目的で使用されています。桂枝茯苓丸が改善する血流があるのだとしたら、それは明らかに骨盤内の組織・臓器です。

【漢方処方解説】半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)は、胃腸の弱い方のめまい・頭痛・耳鳴りの薬です。水毒(水分の停滞や偏在)を治す薬として有名で、起立性調節障害やメニエール病などに使われています。胃腸の弱さを回復する六君子湯や、疲労を去り体力を回復させる補中益気湯に、天麻や沢瀉などの頭部や耳部に効果的な生薬を加えています。

【漢方処方解説】柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

柴胡桂枝湯の適応は「風邪」「ニキビ(尋常性ざ瘡)」「婦人科の病:PMS・無月経など」「自律神経失調症」「パニック障害」「胃腸の病:胃痛・腹痛・下痢・便秘・過敏性腸症候群など」と、すべて一見脈絡がありません。今回の解説ではこの処方についてやや深く掘り下げて解説していくとともに、この不思議さの秘密を紐解いていきます。

【漢方処方解説】帰脾湯・加味帰脾湯(きひとう・かみきひとう)

心療内科系の漢方薬として有名な帰脾湯・加味帰脾湯。薬局では「心脾顆粒」という名称でもしばしば販売されています。医療用漢方製剤の添付文章によれば、本方は「虚弱体質で血色の悪い人の貧血・不眠症」に使う薬と記載されています。今回はこの処方の方意をもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

【漢方処方解説】加味逍遙散・逍遥散(かみしょうようさん・しょうようさん)

月経前にイライラする、といえば加味逍遙散。そう想起するほど、本方はPMSに頻用されている有名処方です。ただし当然、PMSにおける全てのイライラにこの処方が効くわけではありません。逍遥散に牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)という身体の興奮や炎症症状を抑える清熱剤を加えたのが加味逍遙散です。

【漢方処方解説】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

婦人科の薬として名高い当帰芍薬散。月経痛・月経困難症や、手足の冷え・浮腫み・めまい・頭痛などを改善していく女性の聖薬です。その適応症は「やせて体力のない虚証(きょしょう)の人。体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるもの」とされています。

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・下編

八味地黄丸、そこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が適応する「腎気」とは何か。この問題に対しては、永い漢方の歴史においても未だに解答は出ていません。今回は八味地黄丸の解説の最後として、未だ考察の段階ではありますが、私自身の見解を一つの案としてご紹介したいと思います。

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・中編

「高齢者の元気をつける薬」と称される八味地黄丸やそこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)ですが、そのような文言では八味地黄丸、牛車腎気丸をちゃんと説明しているとは言えません。八味地黄丸は「うっ血性心不全」のごく初期の状態や「糖尿病」に効果を発揮します。そして排尿障害に対しても効果を発揮します。