漢方処方解説

【漢方処方解説】温経湯(うんけいとう)

婦人科の薬、温経湯。ただし当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、加味逍遙散などと比べれば、認知度はそれほど高くはないでしょう。「虚弱なタイプの人」とか「比較的体力が低下した人」に使うという解説をよく目にします。しかしこれでは使い方が判然としませんし、何よりも正しくありません。

【漢方処方解説】小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

花粉症治療薬と言えば、小青竜湯。春になると手放せないという方もいらっしゃると思います。鼻炎治療薬として有名な処方ではありますが、決して鼻炎の特効薬というわけではありません。風邪に使ったり気管支喘息に使ったりと、比較的使われる場の多い漢方薬です。今回はこの処方を少しばかり深堀していきたいと思います。

【漢方処方解説】銀翹散(ぎんぎょうさん)

のどの痛みに効く薬、銀翹散。のどの痛みに効くというのは確かにその通りです。ただし、咽の痛みなら何でもよいというわけではありません。銀翹散は比較的最近になって作られた処方で、中国清代に呉鞠通(ごきくつう)によって書かれた『温病条弁(うんびょうじょうべん)』によって初めて世に紹介されました。

【漢方処方解説】抑肝散・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさん・よくかんさんかちんぴはんげ)

イライラする。眠れない。そう聞けば、先ずは抑肝散。病院でも良く処方される処方であり、イライラや不眠を中心として、月経前緊張症や更年期障害、自律神経失調症やパニック障害、ときにパーキンソン病や認知症など、かなり広範囲にわたって応用されている漢方薬です。今回は抑肝散の効かせ方について、簡単に解説していきたいと思います。

【漢方処方解説】半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

半夏瀉心湯。葛根湯ほどではないにしても比較的良く使われます。特に胃腸の薬として有名です。「心下痞硬(しんかひこう)」と呼ばれる胃もたれに良く効きます。六君子湯のように単純に気を補う薬ではありません。また人参湯のように単純に胃腸を温める薬でもありません。この薬には熱を冷ます寒薬と、体を温める温薬とが同時に入っています。

【漢方処方解説】十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)・後編

体力を回復して疲労を去る補剤。その有名処方の一つである十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)。そして本方と同じく補剤として有名なのが補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。十全大補湯は気虚と血虚との両方をカバーして補うことができる薬で、補中益気湯は補気剤として有名。両者の違いは補血作用の有無、ということになりそうです。

【漢方処方解説】十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)・前編

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)の処方には「原型」があります。まず十全大補湯は「八陳湯(はっちんとう)」という処方を原型にしています。さらに「八陳湯」は「四君子湯(しくんしとう)」と「四物湯(しもつとう)」という薬を原型にしています。従って十全大補湯を知るためには、最初に四君子湯と四物湯とを理解する必要があります。

【漢方処方解説】大柴胡湯(だいさいことう)

昭和の名医・大塚敬節先生が最も使用した薬は大柴胡湯だったそうです。自律神経失調やホルモンバランスの乱れを始めとして、心療内科・消化器科・婦人科・呼吸器科・耳鼻科・眼科・皮膚科など、様々な領域の病に応用されていたそうです。大柴胡湯は、見極められると様々な病に応用できる薬です。今回はその運用のポイントを述べたいと思います。

【漢方処方解説】呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

頭痛・片頭痛、胃痛・月経痛、下痢、脚気衝心(かっけしょうしん)、心臓性喘息、パニック障害、ホットフラッシュ・酒さ・酒さ様皮膚炎などで用いられることのある呉茱萸湯(ごしゅゆとう)。数多の薬の中でも、呉茱萸は特殊な生薬で、今ではなくてはならない生薬の一つになっています。呉茱萸を使わなければ治らないという病態が存在するからです。

【漢方処方解説】桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

瘀血(おけつ)の名方、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。以前紹介した当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)と並び、婦人の聖薬として頻用され、「瘀血」と呼ばれる血行障害を改善する目的で使用されています。桂枝茯苓丸が改善する血流があるのだとしたら、それは明らかに骨盤内の組織・臓器です。