漢方治療について

漢方治療の経験談「頭痛・片頭痛治療」を通して

江戸の名医・吉益東洞は処方解説である『類聚方(るいじゅうほう)』を書いたその8年後に、本草書たる『薬徴(やくちょう)』を書き上げました。漢方治療の到達点は、結局の所一味一味の生薬の理解にある。桂皮・川芎・蒼朮・黄連、人参・当帰・石膏・呉茱萸など、頭痛においてポイントとなる生薬はたくさんあります。

漢方治療の経験談「胆石症治療」を通して

胆のうの炎症がコントロール出来ていない状態、慢性化している状態で、果たして漢方薬が効くのかどうか疑問だと思います。手術しなければならない状況ではなく、未だ手術を検討するべき状態であれば、私の経験上、繰り返す胆嚢炎は漢方薬で安定してくることが多いと感じています。的確な治療を始めると、まずは自覚的な痛みが軽減してきます。

東洋医学とエビデンス

医学にはエビデンスが必要です。しかし、どのような優秀で高度なエビデンスであっても、そこから漏れてしまう人は必ずいらっしゃいます。そういう人たちを支える医療があり、それがもし、医療の深みであるとするならば、漢方は医学に深みを与えることができます。漢方はもうすでに、「正解」が通用しない人たちに施せる医療に成り得ています。

漢方治療の経験談「潰瘍性大腸炎治療」を通して 2

当薬局にご来局される潰瘍性大腸炎の患者さまは、すでに病院にて西洋医学的治療を行われている、もしくは行われたことのある方々です。そして病院にて治療するも、症状のコントロールが難しい、効果が芳しくないとか、副作用が強くて治療を続けていけないとか、このままでは治らないのではないかという不安の中で、漢方の門戸を叩かれます。

2024・台風シーズン

自律神経の乱れが改善してく時、必ずといって良いほど、症状は波を打ちます。外的には気圧・気温・湿度などの外気、精神的なストレス、内的には睡眠や運動や食事、女性であれば月経の影響を受けて変化します。しかし、その乱れが終息しやすくなる、強く乱れなくなる、乱れにくくなるという変化を起こしながら、自律神経失調は治っていきます。

漢方治療の経験談「血管運動性鼻炎治療」を通して

非アレルギー性鼻炎とも呼ばれる血管運動性鼻炎は、鼻粘膜の血管の充血によって起こります。花粉やハウスダストなど、外からのアレルゲンによらずに起こるため、抗ヒスタミン薬が充分に効いてくれないケースが多いものです。しかし私の感覚としては、漢方治療であれば実際に改善していく方のほうが多いという印象さえあります。

限り有る医学

自然や環境への感度が高い人ほど、漢方・東洋医学に注目されている印象がある。確かに有機的な素材は強すぎず、弱すぎない。漢方薬が注目されるのは当然のことだろう。ただ問題は、今後、求められるほどの量を供給し続けていけるのか、ということ。生薬が枯渇し、供給が間に合わなくなる。そしてそれはもう、実際に目の前で起こっている。

漢方治療の経験談「潰瘍性大腸炎治療」を通して

潰瘍性大腸炎。国が定める指定難病。下痢を起こす疾患の中でも、長期的な治療を必要とする厄介な病です。腹痛を伴う下痢を、一日4.5回、多いと10回以上起こし、血便を起こし貧血を伴えば、身体の脱力感・疲労感も相当のものです。指定難病の中でも患者さまの数が多く、当薬局でも今までかなりの数の患者さまからご相談を受けてきました。

東洋医学の科学化

東洋医学は「正しい想像性」により作られた医学です。科学を知らないからこそ、発揮できたとてつもない発想。情報が増えた私たちだからこそ、想像し得ないアイデア。そういう「想像性」こそが漢方の核心。だから私は、もし漢方の科学化を試みるのであれば、この想像性を理解し、想像力に敬意を払う人たちにこそ、行ってほしいのです。

漢方治療の経験談「産後の不調」を通して 2

東洋医学が生まれた漢の時代、その時からすでに、妊娠中・産後の病の治療方法が存在しています。その原典『金匱要略』に割かれた記載が二編に及ぶことからも、古の時代から、妊娠・出産・産後は女性にとって不調を生じやすい時期だと認識されていたことが分かります。産後の不調の多くは、改善することが可能です。