漢方治療日記

2022・甲府より感謝を込めて

自分にこそふさわしい養生、情報に流されない知恵を実感する。そういう価値が、もし体調を崩したからこそ得られるのだとしたら、今、続けて頂いている努力は、きっと価値あるものだと私は思うのです。人と病。病と治療。漢方の道は深く、険しい。その中でも一歩ずつ、治療のコツのようなものが見えてきたような気がします。

そこのけそこのけお馬が通る

東洋医学は生命全体を捉えようとした医学です。聖典『黄帝内経(こうていだいけい)』では、人が病を得るのは、地球の規律に同調していないからだと説いています。自然に生かされている。そういう前提が、東洋医学にはあります。だから、人を治すにも自然を使います。すなわち生薬です。また自然を知るように促します。すなわち季節です。

漢方処方の本音

最近、漢方薬のCMがほんと多いなと思います。「ナイシトール」は防風通聖散、「ラックル顆粒」は牛車腎気丸です。漢方薬には市販薬に向くものと、そうでないものがあります。その辺りをちゃんと見極めて市販し、さらに要点を説明すること。それが出来れば、漢方薬は効かないと、言われることはないのではないかなと思うのです。

しもやけ予防と猫と毛布

しもやけを治していくためには、それ相応の治療が必要になります。例えば駆瘀血剤として有名な桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を服用したとしても、出来上がったしもやけはなかなか治りません。人は、百人いれば百通りの血流状態があります。そこで今回は、簡単にしもやけにならないための養生をお話ししておきます。

漢方治療の経験談「ニキビ・尋常性ざ瘡治療」を通して

ニキビ治療の本質は、薬物治療と生活改善との両立です。ニキビは皮膚の病ですが、からだ全体を診ながらより大きく、「病態の流れ」を把握しなければなりません。ニキビ治療で有名な十味敗毒湯や黄連解毒湯、荊芥連翹湯や清上防風湯などは、ニキビの特効薬ではなく、あくまでこの流れの中の一場面において使う薬です。

人と腹と

漢方では古くから「腹」の重要性に着目し続けてきました。『傷寒論(しょうかんろん)』に記載されている「腹」という文字の多さや、江戸時代に隆盛を極めた腹診、稲葉文礼(いなばぶんれい)の名著『腹証奇覧(ふくしょうきらん)』の存在。漢方において「腹」とは見るべき体の要であり、生命活動を支える土台として、考えられてきました。

人と処方

漢方処方はたとえ同じ名前であっても、効果が同じとは限りません。例えば桂枝湯という有名な処方があります。この処方は、使う先生によって効果の出方が全く異なってきます。例えば半夏厚朴湯は、咽に何かがつまって息苦しいという場合に良く使われる薬ですが、先生によってはこれを胃薬として使います。

天気と抑うつ状態

今回の体調悪化は、7月や8月に起こっていた天候不良とは少々違い、やや独特な様相を、帯びています。頭痛や息苦しさ、胸の詰まりや耳鳴り、不眠といったいつもの症状を伴いつつも、体がとにかくだるい・やる気がおきない、といった「だるさ」が全面に出ている印象があります。そして、「抑うつ状態」を併発しているということです。

漢方治療の経験談「子宮筋腫・子宮内膜症治療」を通して

漢方治療では、物理的に大きくなってしまった組織を小さくしていくことは、現実的に言うと難しいという側面があります。しかし、子宮筋腫や子宮内膜症に付随する様々な機能的問題、例えば経血量の過剰や貧血、激しい月経痛やPMS(月経前緊張症)など、これらの側面に対しては、高い効果を発揮することがままあります。

名医の空気

押しも押されぬ昭和の大家、大塚敬節先生。その一番弟子と目された先生に、相見三郎先生がいらっしゃいます。今回お会い出来た先生は、その相見三郎先生のあとを継いで、臨床に当たられた先生。漢方の技は、雑談の中で作られます。漢方家同士が、軽く話をする。なんてことのない、簡単な会話の中で、漢方の技が作られていくのです。