漢方学習のススメ

これから漢方を志す方々へ 9

古典はいつ読むの?という疑問について。およそ2000年前に書かれた『傷寒雑病論』や『黄帝内経』などの古典は、漢方を勉強していくにあたって避けては通れない本です。より本格的に勉強する、漢方の専門家になる、という意気込みがあるなら、古典に親しむことは絶対条件だと思います。

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昭和から平成にかけて書かれた本で読むべきものを上げるとするならば、・山本巌(やまもといわお)先生の著書 ・花輪壽彦(はなわとしひこ)先生の著書 を上げさせていただきます。山本先生は中医学と日本伝統医学(漢方)さらに西洋医学という、三つの異なる広い視点を俯瞰しつつも、実践的・本質的な運用を鋭く提示されています。花輪先生は江戸・明治・大正・昭和という漢方の流れが帰結した医学を、現代医学にどう融合していくかという視点を示されています。

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とくに触れておくべき江戸の漢方家とその著作は、・浅田宗伯(あさだそうはく):『勿誤薬室方函口訣』・尾台榕堂(おだいようどう):『類聚方広義』・甲賀通元(こうがつうげん):『古今方彙』この三人と、まずは三冊。 カナ送りしてある本が出ていて読みやすい点、江戸時代の各流派(後世方・古方・折衷)を比較的大成しているという点において、これらが良いと思います。

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さて、次はどのグループに進むべきでしょう。「これから漢方を志す方々へ 3」であげた大まかなグループ構成は、A、傷寒論や金匱要略・黄帝内経などの古典 B、江戸(明治)時代に書かれたもの C、昭和(大正)時代に書かれたもの(昭和の大家)D、昭和後期から平成に書かれたものというものでした。C「昭和の大家」の次は、BとDとへの派生、というのが正直な回答です。

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今回は「昭和の大家」の解説集を読むにあたっての注意点。一つだけ説明します。初学者でもなじみやすい文章ということは、初学者に合わせた文章ということでもあります。つまり大塚敬節先生は、ご自分の考えを殺して本を作成している、という可能性があります。本に書いてあることは学問の導入に必要なのであって、あくまでそれが全てではない、という理解はしておく必要があります。

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昭和の時代の本には、漢方の初学者にとっても分かりやすい解説集が多々あります。まずは大塚敬節先生の著作を主軸に読む(解説集として最もその傾向が強いからです)。そして矢数道明先生や細野史郎先生の著作を読み、後に龍野一雄先生や荒木性次先生の世界に触れる。さらに湯本求真先生の皇漢医学や、森道伯先生の一貫堂医学(矢数格先生が解説されている)へと広がっていく。導入としてふさわしく、かつ知る必要のある時代だと思います。

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漢方の解説書を大まかに分けると、4つに大きく分かれています。A、傷寒論や金匱要略・黄帝内経などの古典 B、江戸(明治)時代に書かれたもの C、昭和(大正)時代に書かれたもの D、昭和後期から平成に書かれたもの と、時代によって分かれる。そして、それぞれに特徴があるのです。まず読むべき本は、Cの「昭和(大正)時代に書かれたもの」です。

これから漢方を志す方々へ 2

これから漢方を志す方々へ向けて。僭越ながら、「本」についてのアドバイスです。まずは「歴史」を勉強できる本を読むべきです。処方の勉強や漢方理論の勉強、古典の読解などはその後で良い。まずは日本と中国の歴史と、できれば今までどのような漢方家がいたか、漢方の流派があったか、ということをザックリとでも知っておいてください。学問は全体を俯瞰する目がとても重要です。

これから漢方を志す方々へ 1

漢方には中医学派とか古方派とか後世方派とか何々先生派とか、本当にたくさんの流派がある。しかし、これらは入り口にしか過ぎないと思うのです。学は重要ですが、学に溺れると人は治せません。臨床家としてやっていくには、結局自分でやり方を見つけていくしかないのですから、とにかく自分の形を作る前に、手当たり次第やってみた方が良いと思います。

虚構

ちょっとだけ難しい話。 漢方はたくさんの言葉によって作られています。 「気」とか「血」とか「陽」とか「陰」とか。 でもあ...