漢方学習のススメ

漢方とアート 1 〜科学よりも芸術に近い〜

「漢方は科学(サイエンス)というよりも芸術(アート)に近い」確か大塚敬節(おおつかけいせつ)先生の著書の中の一節だったと思うのですが、この時目にした「漢方はアートだ」という言葉は、今もなお私の漢方に対する考え方の根幹を形作っています。

『岷山の隠士』

昭和後期の大家である山本巌先生は、数々の名著を残された漢方界の巨頭の一人である。私はある時期山本先生の著書を貪るように読み耽り、その中の一節から今までの自分を一変させる薫陶を受けた。臨床家とは何か、座学と実学の違いとは何か、多くのことを示唆する内容である。かなり長くなるが、この場を借りて是非紹介したいと思う。

漢方治療の心得 4 〜臨床の現実〜

「腎虚(じんきょ)」による腰痛では八味地黄丸(はちみじおうがん)を使います。こう書かれている本があります。いろいろな本を読み進めていくと徐々に八味地黄丸の使い方が分かってきます。分かった気になります。そして八味地黄丸を腰痛に使う。しかし、全く効かない。これが臨床です。

漢方治療の心得 3 〜我慢と焦り〜

病であるならば、患者さまは必ず「我慢」されています。だからこそ治療者も同じように「我慢」しなければいけません。早く治してあげたい、一日でも早く症状を楽にさせてあげたい、そう願い努力しながらも、焦らず我慢すること。その姿勢こそが、結局は最短ルートでの治療を可能にします。

師匠の勉強会

今年の4月から、東京にいる師匠の新しい勉強会に参加させてもらっている。 座学に終始していた20代の頃の私に、臨床のいろは...

個性

西洋医学と東洋医学、両者には多くの違いがあるが、 際立って異なることは、東洋医学ではその方の個性を見極めなければならない...

インフルエンザに麻黄湯が出される理由 2

麻黄湯は決して一律的に使って良い薬ではなく、間違えた使い方をすると逆に悪化させることさえあります。インフルエンザに使うにしても、麻黄湯の使い方に適した状況であるかどうか。その見極めを必ず行う必要があります。 麻黄湯は構成生薬から考えて、「かなり強く発汗を行なおうとしている状態」「かつ強く発汗を行っても大丈夫な状態」に使うべき処方です。

インフルエンザに麻黄湯が出される理由

これからの時期多くなるのが風邪。なかでもインフルエンザは感染の力が強く、流行してしまうので注意が必要です。インフルエンザと診断が決まれば、その時は抗インフルエンザ薬が第一選択ですが、漢方薬を同時に処方する医療機関も増えてきました。特に処方されやすい方剤が「麻黄湯(まおうとう)」です。「麻黄湯」がインフルエンザに有効であるという論文があるからです。この論文があるという根拠。僕は非常に危険だと思います。

漢方治療の心得 2 〜複数の解答〜

昔、父がまだいたころ、 患者さまにご対応し、漢方薬をお出しした私に対して、 父は必ず、「何を出した?」と聞きました。 「...

漢方治療の心得 1 〜先入観〜

治療という真剣勝負の中で、 これがあると失敗する、というものがあります。 先入観。 患者さまと問診をしている中で、 あ、...