漢方のメモ書き

大塚敬節先生の愛

大塚敬節(おおつかけいせつ)先生。現在の漢方流布の礎(いしずえ)は、先生によって築かれたといっても過言ではありません。当時医療として未成熟だった漢方治療において、その基礎的理論を示さたことも功績の一つと言えるでしょう。「方証相対(ほうしょうそうたい)」と呼ばれる基礎概念。患者さまには各々適応する処方(方)があり、それを体質や症状(証)から判断するという概念です。

「漢方と精神症状」

自律神経失調症やパニック障害など、精神的な不調を治療する経験を重ねていく中で、少しお話しておいた方が良いかなと思う部分があります。様々な媒体で「漢方は心の症状にも対応できる」と声高々に謳われています。だからこそ、実際のことを、ここでお話したいと思うのです。

読んで考えて

最近、漢方の書籍を読み直す作業が楽しい。例えば、『古方こほうの薬味』という本。その中に、厚朴(こうぼく)という生薬の働きについて矢数有道(やかずゆうどう)先生の言葉が書いてあります。20代の頃には響かなかった言葉も今読み直すと、桂枝加厚朴杏子湯や、厚朴生姜半夏甘草人参湯といった処方の意図が明確になる。

生きた技

現役の教育者でもある師匠は、現在「Kampo lab collage」という勉強会を開いておられます。私はその初期メンバーの一人。他愛のない話を通して、本当にたくさんの考え方や具体的な技を教えていただきました。皆さんも、自分の師から、たくさんの人柄とその感性とを感じて下さい。

義務教育と、漢方家が持つべき素質。

名医と呼ばれる漢方家であれば、皆一様に「古文・漢文」の大切さを、その意味を理解しているように思えます。臨床において最も必要な知識とは何か、ひいては人生において最も役に立つ知識とは何か、そういうことを理解しているかどうかの問題だと、私は感じるのです。人生で最も大切な能力とは。あなたはどんな能力だと思いますか?

桂枝湯(けいしとう)への思想 2

桂枝湯の深さ。それはそのまま東洋医学の深さと言っても過言ではありません。東洋医学史上、未だに解明し切れていない最大の謎。漢方の正道を進む上で、避けては通れない大きな関門です。ただ張仲景(ちょうちゅうけい)は、確実にヒントを残してくれています。すべては『傷寒論』に載っています。

桂枝湯(けいしとう)への思想 1

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)の類。私が良く使う処方たちである。桂枝湯は「衆方の祖(あらゆる処方のおおもと)」と言われるくらいだから、その加減(改良したもの)となるとそれこそ沢山の処方を包括していることになる。

2種の学問

学問には2種あり、反復可能な事象を扱うものと、そうでないもの。前者は「科学」に代表され、後者は「芸術」に代表される。人はこの2つを常に内包したものである。一般化できない、其の人にしか通用しない正しさ、それを掴むために研鑽された学問が漢方であるとしたら。何となく私には辻褄が合うのです。

当たり前に引かれた線

昭和の名医・中島随証(なかじまずいしょう)先生。癌の患者さまを「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」で治癒せしめたという逸話があります。アレルギー性鼻炎や喘息の治療薬として有名な小青竜湯を癌に使った理由は「肺に水があったから」。当たり前に行われた時の理由は、いつだってシンプルです。

意地悪な先生

患者さまに合った処方をお出しすることが解答だとするならば、その解答へと至る道筋にこそ、症状を改善させるための薬能が宿っています。つまり解答を見つける能力よりもずっと、問題を見つけ、作り出す能力の方が臨床では求められています。修業時代にお会いしてきた「意地悪な」漢方の先生方は、私にそれを教えてくれました。
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