便秘

便秘について

便秘:治る症状

便秘でお悩みの方は多いと思います。排便は一週間に2回か3回あれば特に問題はありませんし、毎日便が出なくても腹が張って苦しいなどの不快感がなければ正常範囲といえます。しかし一週間まったく排便がなかったり、腹が張って苦しかったり、排便があっても便が硬く時間がかかったり、排便時に強い腹痛や残便感を伴ったりといった不快な症状が伴う場合には、放っておかずに治療するべきです。漢方治療によって改善することが多いからです。

●便秘に伴う症状は漢方薬で解決できることが多い
便秘には以下のような症状が伴うことがあります。そして以下の症状は漢方治療によって改善されることの多い症状でもあります。

○腹が張って苦しい
○便が硬くて出にくい
○便を出すまでに時間がかかる
○排便すると肛門が痛い
○排便時に出血する
○排便時に強い腹痛を伴う
〇残便感がありスッキリしない
○やわらかい便が出るがスッキリしない
○便が細く出口でこすられているような感覚がある
○便意をもよおさない
〇強い下剤を使うと腹痛・下痢する
〇下剤や浣腸がないと排便できない
など・・・

このような症状を伴う便秘は非常に不快感が強いものです。にもかかわらず病院にて治療をするというよりは、市販の下剤などを使って何とかしのいでいるという方が多いと思います。便秘は正しく治療すれば改善できる症状です。特に漢方薬では西洋医学的治療に無効なケースであってもしばしば改善へと向かわせることができます。

便秘の種類と漢方治療

便秘は大きく器質性便秘と、機能性便秘とに分類されます。器質性便秘とは大腸癌など何らかの病気によって腸が狭くなったり閉塞したりする状態です。一方、機能性便秘とは大腸の働きが乱れることで生じる便秘をさし、タイプによってさらに「直腸性便秘」・「痙攣性便秘」・「弛緩性便秘」に分類されます。一般的に便秘というと、多くは機能性便秘のことを指しています。機能性便秘のタイプを簡単に解説すると以下のようになります。

「直腸性便秘」
結腸から降りてきた便が直腸に溜まってしまっている便秘。直腸の異常によって起こるもの。大便が直腸に移動し直腸の内圧が高まると、その刺激が骨盤神経を通じて中枢に伝えられ便意が起こる。しかし便意があっても我慢する習慣があったり、排便を長期間下剤に頼ってしまう方では、直腸の排便反射を抑制させてしまう。これが直腸型便秘の原因の大半である。その他骨盤底筋の筋力不足や血流障害によっても発生することがある。直腸は結腸よりも太いため、溜まる便も太くなりやすく、水分の再吸収によって便が硬くなりやすくなる。便意がない上、排便しようとしてもなかなか出ない。

「痙攣性便秘」
大便を作り通過させる大腸の活動が乱れて、便がスムーズに通過できないために起こる便秘。大腸の平滑筋が痙攣をおこすために便の通過が乱れる。排便時の腹痛・便が細くスッキリ出ない・残便感が強い・腹が張って苦しいなどの症状が起こる。ストレスによる緊張など、自律神経の乱れによって発生しやすく、過敏性腸症候群の部分症状として現れることが多い。

「弛緩性便秘」
結腸の活動が弱くなり、大便の通過に時間がかかるために便が硬くなって便秘するもの。大腸の蠕動運動(大便を下にもっていく力)が低下している状態で、筋肉に緊張感が乏しく、弛緩の傾向があり、胃下垂などの内臓下垂を伴っている場合もある。一般的に直腸型と弛緩型は軽症の間は特に苦しむような症状が出ないことが多い。時に一週間便が出なくても平気だという方がいるが、多くはどちらかのタイプに属している。

●どのような便秘かを見極める必要がある
これらの分類は漢方治療を行う上でも重要な分類で、それぞれのタイプによって使用する薬方が異なってきます。またこれらでは区別しきれず、東洋医学的な解釈を以て弁別するべき便秘もあります。漢方薬の下剤は市販されているものも多く、自分で選ばれて使用されている方も多いと思います。しかし市販薬を服用しても上手く出ない、効き目を感じない、排便時の不快感が強いという方では、ぜひ漢方専門の医療機関におかかりになってみてください。適切な漢方薬を服用することができれば、即効性をもって改善することのできる場合も少なくありません。

参考症例

まずは「便秘」に対する漢方治療の実例をご紹介いたします。以下の症例は当薬局にて実際に経験させて頂いたものです。本項の解説と合わせてお読み頂くと、漢方治療がさらにイメージしやすくなると思います。(参考症例は今後も追加予定です。)

症例|年のせいと言われてしまった便秘

毎日当たり前のように出来ていた排便が出来なくなってしまった70代男性。便秘に悩まれ、病院にて検査をしても異常は見つかりませんでした。苦しい便秘を改善するめたの東洋医学的な見立てと治療方針、その具体例をご紹介いたします。

■症例:便秘

症例|生活の中で埋もれやすい月経前の便秘

お忙しい生活を送られ、当たり前のこととして受け止めてきた月経前の便秘・イライラ・不眠・食欲増進。身体のある部分の強い緊張状態がその原因でした。PMSを改善していくために、そして美を維持していくために、漢方治療でどのようにアプローチしていくのか。その具体例を紹介いたします。

■症例:便秘・PMS(月経前緊張症)

症例|息んでも全く出ない・卒倒するような強い便秘

平素より便秘症の65歳女性。息んでも全く出なくなり、強いのぼせと伴に卒倒するような思いを経験してしまいました。強い便秘に対する漢方薬の効能。古典に記されたヒントと伴に、現実的な漢方治療を実例をもってご紹介いたします。

■症例:便秘・顔のほてり

参考コラム

次に「便秘」に対する漢方治療を解説するにあたって、参考にしていただきたいコラムをご紹介いたします。参考症例同様に、本項の解説と合わせてお読み頂くと、漢方治療がさらにイメージしやすくなると思います。

コラム|便秘症 ~自力で排便できるようになるために~

若い方かたお年寄りまで、比較的幅広い年齢層の方が苦しまれている便秘。下剤を飲めば出る、しかし飲まなくても排便できるよう、体質改善を図りたいというお求めを実現させるためには、大きく2つの条件を満たす必要があります。自力で排便できるようになるためのコツと具体的手法をご説明していきます。

□便秘症 ~自力で排便できるようになるために~

コラム|漢方治療の経験談「小児の便秘治療」を通して

多くの方がお悩みになる便秘。その中でもお子さまの便秘症は、決して放っておくべきではありません。小児の便秘は大人の便秘症と比べ物にならないくらい、体に大きな影響を与えることがあります。便秘がお子さまに与える影響を、私自身の臨床経験に基づいて説明いたします。

漢方治療の経験談「小児の便秘治療」を通して

コラム|◆漢方治療概略:「便秘」

便秘に使われる漢方薬にはたくさんの種類があります。ドラッグストアなどで選ぼうを思っても、「どれを試したら良いのか分からない」という声をしばしば拝聴します。そこで、そのような方々に参考にしていただけるよう、漢方治療の概略がいりゃく(細部をはぶいたおおよそのあらまし)を解説していきたいと思います。

◆漢方治療概略:「便秘」・前編
◆漢方治療概略:「便秘」・後編

使用されやすい漢方処方

①大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
 調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
②麻子仁丸(ましにんがん)
 潤腸湯(じゅんちょうとう)
③桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
④四逆散(しぎゃくさん)
 大柴胡湯(だいさいことう)
 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
⑤逍遥散(しょうようさん)
 加味逍遥散(かみしょうようさん)
⑥大建中湯(だいけんちゅうとう)
 解急蜀椒湯(かいきゅうしょくしょうとう)
⑦温脾湯(うんひとう)
 大黄附子湯(だいおうぶしとう)
⑧桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
 通導散(つうどうさん)
⑨補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
 六君子湯(りっくんしとう)
⑩分心気飲(ぶんしんきいん)
 香蘇散(こうそさん)
※薬局製剤以外の処方も含む

①大黄甘草湯(金匱要略)調胃承気湯(傷寒論)

 大黄甘草湯は市販薬としても売られていることの多い、有名な漢方の下剤である。大黄が腸を刺激することによって便通を促し、その強い薬能を甘草によって緩和させながら排便を促すという緩下剤である。習慣性便秘において使いやすい下剤ではあるが、便秘治療という面では力不足であることも多い。
 まず痙攣性便秘・過敏性腸症候群のように腹部の緊張のために便秘しているというケースでは、その緊張を緩める薬能が甘草だけでは足りない。したがってこれらの便秘では本方により腹痛が激しく起きて下痢する、または効果を感じず便が出ないということが多い。また刺激によって排便を促す薬能を持つものの、硬い便を柔らかくする・腸に潤いをつけるという「潤腸」の薬能が弱い。したがって便秘をしやすい体質改善薬としても薬能が不足しているため、あくまで一時的な便秘の頓服薬として使用するべきである。本方に芒硝を加えてやや潤腸の薬能を加えたものが調胃承気湯である。便が硬く出にくいという場合ではこちらの方が良い。ただし調胃承気湯であってもやはり頓服薬としての効能が主体である。慢性的な便秘に悩む方であれば他の一手を用いる必要がある。
大黄甘草湯:「構成」
大黄(だいおう):甘草(かんぞう):
調胃承気湯:「構成」
大黄(だいおう):甘草(かんぞう):芒硝(ぼうしょう):

②麻子仁丸(傷寒論)潤腸湯(万病回春)

 直腸性便秘・習慣性便秘の改善において非常に用いやすい方剤。排便を我慢しているうちに便意自体が起こらなくなって便秘している者、強い下剤を使い続けているうちに刺激がないと便意を感じなくなってしまった者など。これらの方剤は「降気」「通便」「潤燥」の薬能をバランスよく持ち、排便を促す刺激を調節しながら、排便しやすい状態へと腸を導いていくことができる。習慣性便秘の改善薬としてうってつけで、これらの方剤で便通をつけながら生活改善を図ると良い。
 お年寄りの方ではどうしても腸の潤いがなくなり便が硬くなりやすくなる。このようなお年寄りの便秘では、本方を使用することが多い。また「腸燥」は若い人でも起こる。特に「胃気(いき)」が強く食欲旺盛で、食後に上半身から汗をかきやすいという者では「腸燥」が起こりやすい。本方を用いると気持ちよく便が出るようになり、そのうち薬を飲まなくでも排便がスムーズに出るようになる。これらの方剤を使うポイントは「腸燥」がある点と、「胃気」が強い方であるという点。胃腸機能が弱く食欲がないという方では、本方の分量を少なくし、かつ適切な補剤を合方または併用する必要がある。
麻子仁丸:「構成」
麻子仁(ましにん):芍薬(しゃくやく):厚朴(こうぼく):枳実(きじつ):杏仁(きょうにん):大黄(だいおう):
潤腸湯:「構成」
麻子仁(ましにん):地黄(じおう):当帰(とうき):厚朴(こうぼく):枳実(きじつ):杏仁(きょうにん):桃仁(とうにん):黄芩(おうごん):大黄(だいおう):甘草(かんぞう):

➂桂枝加芍薬湯(傷寒論)桂枝加芍薬大黄湯(傷寒論)

 痙攣性便秘治療の代表方剤。便意とともに強い腹痛が起きるも、排便がすっきりせず、何度もトイレに駆け込むといういうような状態に適応する。腹の緊張を去り、自律神経を安定させて、自然な排便へと促す薬能を持つ。一般的に用いられるものは桂枝加芍薬湯だが、これに大黄を加えた桂枝加芍薬大黄湯は、腹中の緊張を緩和させる薬能と、少々刺激を与えて通便を促す薬能とのバランスによって効果を発揮させる方剤。桂枝加芍薬湯を服用し腹痛が無くなるも未だやや大便が出にくいという時に用いる機会がある。
 これらの方剤を用いる時、実際に効果を上げるには分量の調節が重要である。エキス顆粒剤では効能が弱く、通常量よりもずっと多めの量を服用しなければ効かないことが多い。一方煎じ薬では効能がしっかりと出る。エキス剤では効かないのに、煎じ薬に変更すると立ちどころに効果を発揮し出すということは、漢方では良くあることである。特に本方では辛味を感じないと効かない。
桂枝加芍薬湯:「構成」
桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):
桂枝加芍薬大黄湯:「構成」
桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):大黄(だいおう):

④四逆散・大柴胡湯・柴胡桂枝湯(傷寒論)

 これらは桂枝加芍薬湯と同じく、痙攣性便秘に運用される代表方剤である。この3つの処方は四逆散を基本とし「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれる自律神経の緊張状態を緩和させる薬能を持つ。肝鬱は怒気と関連が深く、イライラしやすい・イライラを我慢できないなどといった精神症状を伴うことが多い。これらの方剤はそれぞれ適応する病態に明らかな差がある。その差は「心下(みぞおち)」に現れやすい。詳しくは自律神経失調症にて解説しているのでそちらを参照していただきたい。
 痙攣性便秘における桂枝湯類と四逆散類との適応の違いは、諸々と解説されている所であるが、一般的には「脾虚肝乗(ひきょかんじょう)」と「肝気犯脾(かんきはんひ)」の違いだと言われいる。簡単に言えば、腸が弱いために腹に緊張が乗っかりやすいのが桂枝湯類、強い緊張のために腹が犯されいるのが四逆散類。
四逆散:「構成」
柴胡(さいこ):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):枳実(きじつ)
大柴胡湯:「構成」
柴胡(さいこ):半夏(はんげ):黄芩(おうごん):芍薬(しゃくやく):枳実(きじつ):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):大黄(だいおう):
柴胡桂枝湯:「構成」
柴胡(さいこ):半夏(はんげ):黄芩(おうごん):人参(にんじん):甘草(かんぞう):芍薬(しゃくやく):桂枝(けいし):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):

⑤逍遥散(太平恵民和剤局方)加味逍遥散(薛氏医案)

 四逆散の変方とみなして痙攣性便秘に用いる機会がある。腹中の緊張を去り痛みを緩和させつつ排便をスムーズに促す薬能がある。方中の当帰は婦人科疾患にて頻用され、血中を促す薬能を持つが、同時に腸に潤いをつける生薬でもある。月経前に便秘するという方、月経前になると胸が張り、イライラしやすく、便通が悪くなりすっきり出ないという方に良い。イライラが強くのぼせるといようなら山梔子・牡丹皮を加えて加味逍遥散として運用されることが多い。
 加味逍遥散の通便の効果に関しては様々な本に記載されている。例えば大塚敬節先生曰く、「婦人の患者で、大便が快通せず大黄を用いると、少量与えても腹痛を起こし下痢するものがある。このような患者にこの方を用いると腹痛を起こさないで自然便のような大便が快通する」と。また浅田宗伯曰く、「~又労医の伝に、大便秘結し、朝夕快く通ぜぬと云ふ者、何病によらず此方を用いれば、大便快通して諸病も治すと云ふ」と。
逍遥散:「構成」
柴胡(さいこ):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):当帰(とうき):茯苓(ぶくりょう):白朮(びゃくじゅつ):生姜(しょうきょう):薄荷(はっか):
加味逍遥散:「構成」
柴胡(さいこ):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):当帰(とうき):茯苓(ぶくりょう):白朮(びゃくじゅつ):生姜(しょうきょう):薄荷(はっか):牡丹皮(ぼたんぴ):山梔子(さんしし):

⑥大建中湯(金匱要略)解急蜀椒湯(勿誤薬室方函口訣)

 腸管の活動を是正する薬として有名。浅田宗伯の口訣に「寒気の腹痛を治するに此方にしくはなし」とあるように、腹中に固執した冷えが有りそのために腸が過敏となって便秘を起こすという者によい。目標は腹満。ガスが溜まって腹は張り、ガスが出ると一時的に腹が楽になるという者。小建中湯と合わせた「中建中湯」は昭和の大家、大塚敬節先生の創方。用いやすい処方である。
 大建中湯に附子粳米湯を合わせた処方を解急蜀椒湯という。附子粳米湯は腹中の冷えのために腸活動が停止し、腹が張って勢い良く鳴り、切り裂くような痛みが生じるという腸閉塞のような状態に用いる処方である。このような状況は一刻も早く西洋医学的措置を必要とする段階である。そのためこの方を用いる機会はそれほどない。しかし腸閉塞までいかなくても、日常的に冷えることで腹が動かなくなるという方は実際にいる。そのようなケースで大建中湯や解急蜀椒湯は即効性をもって効果を発揮することが多い。腸閉塞の予防もかねて、冷えて腹が張り便が出なくなるという者はこれらの方剤を長服すると良い。ただし大建中湯はエキス剤では効果が弱い。エキス剤で効かないという方でも、煎じ薬を服用するとあっという間に便が快通するということが良くある。
大建中湯:「構成」
人参(にんじん):山椒(さんしょう):乾姜(かんきょう):膠飴(こうい):
解急蜀椒湯湯:「構成」
人参(にんじん):山椒(さんしょう):乾姜(かんきょう):粳米(こうべい):半夏(はんげ):大棗(たいそう):甘草(かんぞう):附子(ぶし):

⑦温脾湯(普済本事方)大黄附子湯(金匱要略)

 通常漢方にて用いれる下剤には身体の熱を去る薬能がある。しかしこれらの方剤は腹中を強力に温めつつ、大黄にて強く排便を図るという両極端な性質を内在させている。漢方ではこれらを「温下」の剤と呼ぶ。
 通常腹が冷えていることで便通が悪くなっている場合では、桂枝加芍薬湯や大建中湯、またその合方である中建中湯などでことは足りる。ここまで両極端な配剤を必要とするケースは一種独特な状況で、おそらくウイルスや細菌の感染による熱病において、腹中の邪毒を一時的に排出させるための手法として用いられたものと考えられる。今でこそこのような用い方はしないが、大建中湯や中建中湯の温裏剤を用いて効果のない便秘に、次の一手として用いる機会がある。極端な薬能を持つ薬であるため用量の加減は必須であろう。
温脾湯:「構成」
大黄(だいおう):附子(ぶし):乾姜(かんきょう):甘草(かんぞう):桂枝(けいし):厚朴(こうぼく):
大黄附子湯:「構成」
大黄(だいおう):附子(ぶし):

⑧桃核承気湯(傷寒論)通導散(万病回春)

 「瘀血(おけつ)」が絡む便秘というものがある。これらは瘀血に適応する駆瘀血剤として有名。「下法(げほう)」と呼ばれる排便を促すことで血行循環を促し瘀血を去る方剤である。瘀血という概念は未だ明らかになっていない部分が多いものの、一種の血行障害と考えられている。下腹部、特に子宮・膀胱・大腸は豊富な毛細血管によりその活動が維持されている。本方のような駆瘀血剤はこれらの臓器の血行状態を是正する。そして骨盤内の筋活動や神経伝達を回復させ、排便をスムーズに導く効能がある。
 「瘀血」による便秘では、ある時急に便通異常を自覚することがある。そして同時に精神症状を伴うこともある。大便を出そうと思ったら硬く固まって出ず、焦ってどうしようと不安になり、強くいきむと卒倒するような感覚をおぼえて気が狂いそうになるという者。指をつっこんで掻き出したい気持ちに襲われると訴えることもある。桃核承気湯や通導散を服用するとすぐに大便が快通するようになり、気持ちも安定して安心したと言われることが多い。「瘀血」は妊娠・出産を経験した方、婦人科系の疾患にてお腹にメスを入れたことがある方などに起こりやすい傾向がある。
桃核承気湯:「構成」
桂枝(けいし):甘草(かんぞう):桃仁(とうにん):大黄(だいおう):芒硝(ぼうしょう):
通導散:「構成」
当帰(とうき):枳殻(きこく):厚朴(こうぼく):陳皮(ちんぴ):木通(もくつう):紅花(こうか):蘇木(そぼく):甘草(かんぞう):大黄(だいおう):芒硝(ぼうしょう):

⑨補中益気湯(内外傷弁惑論)六君子湯(医学正伝)

 大腸平滑筋の緊張度が弱く、弛緩して力がなく、そのために大便の通過に時間がかかって便が硬くなり便秘を起こす、いわゆる弛緩性便秘の治療方剤として補中益気湯が有名である。補中益気湯は筋肉の緊張度を高めて、下垂した状態をぐっと上に持ち上げるような薬能があると言われ、これを「昇提(しょうてい)」という。腹満などの不快感はそれほどないが、排便と伴に内痔核が脱肛して出っぱなしになったり、もともと疲労感が強くやる気が起きないといった方の便秘に著効することがある。弛緩性の便秘は多くのケースで腸の水分吸収が進むため大便が硬くなる。本方とともに「潤腸」作用のある下剤、すなわち麻子仁丸や潤腸湯を併用すると良い。
 疲労感よりも食欲がない、すぐに胃もたれを起こすといった胃腸機能の弱りが主となっている場合には六君子湯の方が良い。六君子湯は胃薬であると同時に、腸の活動力を鼓舞してスムーズな排便を促す薬でもある。胃と大腸活動とは常に連携していて、胃気の弱りを持つ者では大便の快通が損なわれてくる。便秘といえば下剤と考えがちであるが、六君子湯のような胃薬を上手く運用することで、便通が改善されることは少なくない。胃気の弱りよりも、自律神経的な胃の詰まり感が主となる場合には「気滞」を取ることで便通を促す必要がある。
補中益気湯:「構成」
黄耆(おうぎ):当帰(とうき):人参(にんじん):甘草(かんぞう):白朮(びゃくじゅつ):陳皮(ちんぴ):生姜(しょうきょう):大棗(たいそう):柴胡(さいこ):升麻(しょうま):
六君子湯:「構成」
半夏(はんげ):茯苓(ぶくりょう):生姜(しょうきょう):陳皮(ちんぴ):甘草(かんぞう):白朮(びゃくじゅつ):人参(にんじん):大棗(たいそう):

⑩分心気飲・香蘇散(太平恵民和剤局方)

 自律神経が乱れ、胃部が詰まることで排便が遠くなる症状を「気滞」という。補気しても効かず、温下しても効かず、芍薬・甘草剤で腹中の緊張を緩和しても効かないという便秘に、気剤を以て胃気を開くと便が快通するということがある。抑うつ感や食欲がわかないなど、気力が落ちた印象の精神症状を伴うことが多い。気滞の便秘には分心気飲や香蘇散、また寛快湯などを運用する。
 これらは発散作用がある方剤で、気を下に降ろすというよりは、気を上に散らすという薬能を持つ。したがって大便を下行させなければいけない便秘症では、これらの薬能は逆であるように感じられる。しかしいくら下に行かせても詰まって降りないのなら、一度上げてみる、という治療方法は漢方では良く用いられる所である。気持ちを病んで胸が苦しい、息が詰まったようで食事が入らないといった胃部・胸部の症状を上に発散させ、胸の詰まりを散らす。すると気持ちがさっぱりと上向きになり、同時に腸が動いて排便が促されるという治り方をする。知っておくべき手段の一つである。
分心気飲:「構成」
桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):桑白皮(そうはくひ):大腹皮(だいふくひ):青皮(せいひ):陳皮(ちんぴ):羌活(きょうかつ):半夏(はんげ):茯苓(ぶくりょう):木通(もくつう):燈心草(とうしんそう):紫蘇葉(しそよう):
香蘇散:「構成」
香附子(こうぶし):紫蘇葉(しそよう):生姜(しょうきょう):陳皮(ちんぴ):甘草(かんぞう):

臨床の実際

<漢方による便秘治療の概要>

便秘に対しては様々な市販薬が売られています。自ら手にとって薬を購入できることは簡便で良いことなのですが、それだけでは充分に改善できているとは言えないことが多いと思います。西洋医学においても酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤(便を柔らかくする薬)やセンノシドなどの刺激性下剤(腸を刺激する薬)などを用いて排便を促しますが、排便が安定しない・スッキリ出ない・腹痛がおこる・むしろ下痢になるといった方も少なくありません。

大腸の活動を調節し、人体が本来もっている自然な排便をうながす薬能は、漢方薬が最も優れているのではないかと感じます。市販薬や病院の薬で排便が上手くいかないという方は是非試してみてください。ただし漢方薬なら何でも良いというわけではなく、どのような便秘なのかをしっかり見極めないと効果が現れません。効果が現れないばかりか、下痢になったり症状が悪化したりする場合がありますので、正しく見極めることが非常に重要です。ここでは簡単にその見極めの一旦を解説していこうと思います。

1.大腸平滑筋の緊張が強いための便秘

いわゆる「痙攣性便秘」に属するものです。過敏性腸症候群の症状の一部として発生していることが多く、便秘のみならず下痢を発生させたり、便秘と下痢とを繰り替えすという方もいます。便秘症の中でも特に不快感が強い便秘に属し、以下のような症状を伴うことが一般的です。

〇便意と伴にしぼられるような腹痛を感じる
〇特に市販の下剤で激しい腹痛が起こり下痢をする
〇大便がスッキリ出ない
〇鉛筆の芯のような細い便が少量しか出ない
〇残便感があり何度もトイレに行かなければならない
〇ガスが溜まって腹が張り苦しい
〇緊張すると腹痛が起こり排便がうまくいかなくなる
〇動悸や不眠、不安感や焦りなどが強い

●「甘草」と「芍薬」によって腸管の緊張を取ることが基本
このタイプの便秘は、大腸を刺激するだけの下剤では治すことができません。むしろ緊張している大腸の活動をさらに緊張させ、強い腹痛や腹満、下痢を起こさせることがあります。便秘の原因は大腸平滑筋の緊張です。したがって刺激を与えるのではなく、むしろ緊張を緩和させる治療を行わなければ便秘は治りません。最も頻用される方剤は甘草・芍薬を内包する処方群です。大きく分けて2つに分類されます。四逆散類と桂枝湯類です。

1)四逆散類
四逆散類は四逆散を基本とする処方群で、一般的には大柴胡湯・柴胡桂枝湯・逍遥散などが使われます。「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれる自律神経の過緊張状態に適応する処方で、特に怒気との関連が深く、イライラしやすい・イライラを我慢できないといった精神状態を持つ方に適応しやすい傾向があります。これらの方剤は肝鬱の強さや性質の違いによって薬方を使い分ける必要があり、そこがしっかりと見極められていないと効果が発揮されません。その見極め方には各漢方家によって異なる部分が多いものの、最大の特徴は「心下(みぞおち)」に現れます。

2)桂枝湯類
桂枝加芍薬湯は緊張型便秘に対して第一選択的に用いられる方剤です。腹中の緊張を去り、血行を促すことで本来の大腸活動を取り戻す薬能を持ちます。また桂枝加芍薬大黄湯は、緊張を去りつつも、少しばかりの刺激を大腸に与えることで排便を促す効能を付け加えた方剤です。緊張の緩和と大腸への刺激とのバランスを取ることで薬効を発揮させます。さらにこれらの処方を基本として小建中湯や当帰建中湯なども緊張型便秘に用いられます。これらをエキス顆粒剤にて服用する場合に重要なのは、その分量です。ある程度服用量を増やさないと効果が現れにくいことが多く、その点で薬用量を調節し細かい配慮が可能な煎じ薬と比べて、効果の差が出やすい処方群であると言えます。

●腹中が冷えている場合
大腸の蠕動運動が緊張し乱れている場合、主に上記の芍薬・甘草剤が頻用されますが、腹中に冷えが介在している場合はこれらだけでは効果が現れません。緊張を去るために腹を中から温めるという手法を用いる必要があります。大建中湯や、大建中湯に桂枝加芍薬湯を合わせた中建中湯、さらに温脾湯などが選用されます。

腹にガスが溜まって苦しくてしょうがない。腹が張っているので胃が詰まり、げっぷが出る。食べたものが下に下らず食欲がない。寒い思いをするとこれらの症状が悪化するといった症状を起こしているケースが多いと思います。漢方薬をもって腹の中から温めると、腹の緊張がホッと取れて、気持ちよく便が出るようになります。「温裏(おんり)」と呼ばれるこの手法は漢方特有の治療方法です。この状態では西洋医学的治療が非常に効きにくくなりますので、漢方薬が最も優れた効果を発揮すると思います。

ただし温裏の治療薬もエキス剤ではその効果が非常に弱い印象があります。煎じ薬との最も大きな差は、その即効性です。便通異常は不快感を毎日感じなければならない病ですので、煎じ薬にて集中的に治療することをお勧めいたします。

●「湿証」に属する便秘
漢方では湿証と呼ばれる病態があります。湿気を濃く含んだ環境や野菜や果物・飲料水の過剰摂取などによって発生するこの病態は、イメージで言えば腹の中に未消化の水分が溜まっているような状態です。この病態が頻発する環境は山の中です。陰々とした湿った環境の中で、腹を壊したことがある方は多いと思います。

通常であれば腹に湿気が溜まっていれば下痢をします。下痢をするのですが、この時すっきりと排便することが出来ず、腹が張って苦しく、何回もトイレにいって少しだけ軟便を出すという状態になります。便がスッキリ出ないとう意味で、これも一種の便秘に属します。肛門から水様便を失禁しないように常に肛門に力が入っているような状態で、この場合でもやはり筋肉の過緊張のために便が排出されにくくなります。

蒼朮で湿気を去り、厚朴で緊張を緩める、という手法が用いられます。頻用されるのが平胃散です。平胃散は古くから腹壊しの状態に頻用されている方剤で、名前に胃とありますが便通異常を緩和させる腸の薬です。適応すると比較的即効性をもって排便が回復します。下痢をしにくくなると同時に、形のある便がスッキリと出るようになります。

2.弛緩性便秘に類するもの

大腸の蠕動運動は筋肉により行われます。そしてその緊張度合が弱い場合、つまり筋力が弱く弛緩している場合でも、やはり便秘が起こります。弛緩性便秘では大腸内での便の通過時間が長くなりますので、その分水分の再吸収が進み、便が硬くなります。また便を形成する力も弱い(消化吸収の力も弱い)という場合では、硬い便の後に形のない軟便が排出されるという方もいらっしゃいます。一般的によく使われる処方は人参・黄耆などを内包した補剤です。

●弛緩性便秘の適応方剤
補中益気湯がその代表です。平滑筋の緊張度を高め、消化を促し大便の形成を促すとともに、大便の通過を早めて排便へと促します。ただし、私見では補中益気湯にて大便が促されるタイプの便秘では、疲労感などの全身症状は訴えるものの、排便に関してはそれほど不快感を訴えません。腹が張って苦しい、大便が硬くて出にくいなどの症状が全面に出ている場合では、むしろ桂枝加芍薬湯の変方である小建中湯類を用いた方が効果的なケースが多いと思います。

桂枝加芍薬湯は痙攣性便秘に頻用される処方ですが、その処方構成は緊張感を高める薬能と緊張を緩和させる薬能とのバランスによって成り立っています。したがって弛緩性便秘のように腹に力が入っていないという病態においても使用することのできる優れた方剤です。しかし、桂枝加芍薬湯をそのまま使用して良いかというとそうではなく、病態に合った加減や合方を行う必要があります。具体的には黄耆を加えて黄耆建中湯にしてみたり、さらに当帰を加えて帰耆建中湯にしてみたり、また人参剤を加えたりといった配慮が必要になります。

そもそも緊張と弛緩とは明らかに区別できるものではありません。過剰な弛緩があるからこそ緊張する、つまり弛緩の中に弱い緊張が続いているという状態も少なからず起こります。緊張と弛緩とのバランスを取る桂枝湯類はそういう意味でも非常に臨床に則した処方群で、上手く使うことで広く便通異常に適応させることができます。

●胃の詰まりから便秘が起こるケース
大腸の活動の緩慢さが腹中、つまり大腸部の平滑筋活動の弱さにある場合は上記のような手法が用いられますが、一方で胃・小腸活動が乱れることでも大腸の活動は乱れます。そもそも大腸と胃・小腸とは活動を連携させている臓器です。大腸の蠕動運動は物を食べた時に胃・結腸反射が起こることで促されます。したがって胃活動が何らかの形で弱っている場合には、大腸の活動が緩慢になり大便が出にくくなります。特に精神的なストレスによって胃が詰まったり、食べ過ぎたりといった影響で、大便は容易に出にくくなります。

こういった胃の詰まりによって起こる便秘は「気滞」に属します。各種胃腸機能を是正する漢方薬を以て対応することで便通が良くなります。特に抑うつ感や気持ちの落ち込みといった精神症状を伴っている方では、香蘇散や分心気飲・三和散や六磨湯が用いられます。胃の詰まりが取れると同時に、溜まっていた便が下へと動き出す印象です。また胃薬として有名な六君子湯や半夏瀉心湯などでも大便は出やすくなります。柴胡桂枝湯や大柴胡湯は痙攣性便秘に用いられる処方です。しかしこれらは「心下」といってみぞおち(胃部)の詰まりを解消する方剤でもあります。痙攣性便秘のように腹痛や残便感が強いという場合でなくても、胃の詰まりを目標にこれらの処方を使うと、今までよりも大便が出やすくなったと喜ばれる方が多くいらっしゃいます。便秘は下腹部ばかりにとらわれず、胃の具合も同時に見極めながら治療しなければなりません。

3.習慣性便秘・直腸性便秘などに類するもの

安定した便通は日々の習慣の中で形成されていきます。食事を取り、胃活動によって結腸が反応し、大便が直腸にいってその刺激が骨盤神経を伝わって中枢に送られることで便意を催す。これが排便のメカニズムです。しかし便意を我慢し続けたり、便意を刺激性下剤によってコントロールし続けていると、この正常な反応が中枢に伝わらなくなります。つまり便意が薄く、排便する態勢を整えることができない状態になり、これを習慣性便秘(直腸性便秘)といいます。

●習慣性便秘の改善の仕方
習慣性便秘では、排便の習慣自体を改善していかなければなりません。一種のトレーニングを行う必要があるわけです。朝起きたらゆっくりと朝食を取る。朝食の後に、便意を感じなくてもトイレに座る。食物繊維の多い食事や便通に良い健康食品を利用する。適度な運動を心がけて、睡眠時間を充分に取る。こういった生活習慣をできる限り自分で作り出していくことが非常に重要です。

とはいっても、習慣性便秘に長く悩まれている方では、このような生活を送ってもすぐには便通が回復しません。そのため習慣になりにくい便秘薬を使用しながら治療することをお勧めいたします。便意を強力に催すような刺激の強い下剤を使い続けると、自分では便意を感じることができない状態へと向かってしまいます。したがってまず下剤としての刺激はなるべく少ない薬を選ぶ必要があります。また習慣性便秘では大腸内に大便が長期間止まっているために、大便が硬くなります。漢方では腸管への水分の再吸収が過剰な状態を「腸燥」と呼び、これに対応しながら薬方を選択していくことで大便に潤いを持たせて便を排出しやすくしていきます。つまり腸に潤いを持たせることで強い刺激が無くても排便できる状態へと導いていくのです。

●「潤腸剤」の運用
腸に潤いを持たせ、大腸活動を促し、適度な刺激を与えて大便を排出しやすくする。このような薬能をバランスよく配合しているのが、潤腸湯や麻子仁丸です。これらは習慣性便秘の改善薬として、生活習慣の改善とともに使用する機会の多い処方だと思います。特にご高齢者では身体の陰分(体に潤いを持たせている水分)が自然と減少していきます。「腸燥」の状態が作られやすいため、これらの方剤によって便に潤いを持たせながら排便を促すと、それほど苦しむことなく大便がスッキリ出るようになります。また「腸燥」は若い人でも起こることがあります。私見では胃気が強い方(食欲旺盛で消化力が強い方)に起こる印象があります。特に汗をかきやすい、食後に頭から汗をかきやすいといった方の便秘に非常に効果的です。

●「瘀血」に属する便秘
また「腸燥」は結腸・直腸部の血行障害によっても誘発されます。大腸部は骨盤内に位置し、膀胱や子宮といった毛細血管を豊富に含んだ臓器に囲まれています。そのため骨盤内に血行障害があると、大腸の血行状態が悪くなり活動が行われにくくなると同時に、大腸への刺激に対する神経伝達を緩慢にさせ、さらに排便時に関与する骨盤底筋の活動状態も悪くなります。こういった血行障害を漢方では「瘀血(おけつ)」と呼びます。未だに不明な点が多い病態ですが、おそらくは血行障害からの筋活動失調、神経伝達失調、さらに腸での水分吸収異常が起こり、排便異常・腸燥が発生するものだと思われます。

ある時大便を出そうと思ったら硬く固まって出ず、焦ってどうしようと不安になり、強くいきむと卒倒するような感覚をおぼえて気が狂いそうになり、指をつっこんで掻き出したい気持ちに襲われる。典型的な「瘀血」の便秘です。桃核承気湯や通導散などが用いられます。服用するとすぐに排便が出るようになり、気持ちも安定してぐっすり眠れたと言われます。「瘀血」は妊娠・出産を経験した方、婦人科系の疾患にてお腹にメスを入れたことがある方などに起こりやすい印象があります。便秘治療を行う上では知っておくべき手法の1つです。

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