民間薬(熊胆・牛黄・まむし・すっぽん)

熊胆・クマノイ

日本では「クマノイ(熊の胃)」として古くから親しまれてきた民間薬です。主に胃薬として使います。クマノイと呼ばれますが、実は熊の「胆のう」です。胆のうの中に入っている結晶を細かく砕いて服用します。胆汁酸代謝物のタウロウルソデオキシコール酸が主成分だと言われています。

熊胆の特徴は何よりもその即効性でしょう。胃痛や胸やけに極めて迅速な効果を発揮します。例えば二日酔い程度の胃もたれやムカつきであれば、小指の先にちょっと乗せる程度の分量で一発で効きます。胃潰瘍や各種胃炎に対しても効果的です。おちょこほどのお湯に溶かして服用します。ただし、びっくりするほど苦いです。この苦さがないと効きません。

頓服薬として用いれば誰でも安心して服用することができる点も優れています。民間薬といえども後世に残すべき非常に良い薬です。胃癌・胃潰瘍・各種胃炎・逆流性食道炎などの胃病の自覚症状の改善のみならず、胆嚢炎や胆石症、膵炎、肝機能低下などに対して用いられます。

熊胆

熊胆 ※お値段は時価のため変動します。お求めの方はお電話にてお尋ねください。

牛黄・牛黄清心元

牛黄

古来より霊薬として称えられてきた高貴薬です。牛黄は牛の胆石(病理的産物)です。これを薬に応用した古人の発想には感嘆するものがあります。動物性生薬として薬効が鋭いと同時に希少性が高く、上級品は世界で争うように購入されています。主に南米産やオーストラリア産の牛黄が流通していますが、上級品はオーストラリア産の牛黄です。

牛黄カプセル

牛黄カプセル(オーストラリア産):3筒(1筒に2カプセル) ※お値段は時価のため変動します。お求めの方はお電話にてお尋ねください。

霊薬と称されるだけあり、非常に幅の広い薬能を発揮します。主として解熱・抗炎症作用を持つことがら熱病(温病)における解熱薬として使用されてきましが、近年では精神の興奮を鎮静させる作用や、血流を促す作用、また末梢神経障害を改善する薬能などが注目されています。すなわち各種精神疾患ならびに、脳梗塞後の後遺症や脳血管障害、またうっ血性心不全や狭心症、さらに肝炎・肝硬変などの消化器疾患にまで薬効を発揮します。これらの薬能はただ言われいる、ということだけではなく、実際に運用して効果的であることが確かに多いのです。

精神や脳・心臓・肝臓といった疾患にだけでなく、実はより手軽に服用することで非常に良い効果を発揮する生薬でもあります。疲労感や動悸・不眠やイライラ・風邪の初期などにおいて、一粒服用するだけでこれらの症状がさっぱりと取れるということがあります。興奮を鎮め、炎症を去り、心身を落ち着けて心臓の負担を減らすという効果が最も発揮されやすいように感じます。特に夏場は心臓への負担が大きくなりますので、ポケットに忍ばせておくと良いと思います。

牛黄清心元(牛黄清心丸)

牛黄製剤として有名な本方は、古くから脳梗塞や心筋梗塞の発作改善薬として使用されてきました。水戸黄門で有名な印籠(いんろう)は旅行中などに薬を入れる箱として持ち運ばれたもので、薬籠(やくろう)ともいいます。その中に入っていたのがこのような牛黄製剤です。旅行中に胸痛や卒倒しそうなめまいを覚えた時に、即座に薬籠から薬を出して服用しました。当時は光圀公のように上流階級の方ではないと持つことができないほどの高貴薬でした。

牛黄清心元

牛黄清心元:蜂蜜で練った丸薬ですので、ある程度柔らかく噛むことができます。一回につき1/4ほどを噛み、味わいながら飲み下してください。 ※お値段についてはお電話にてお尋ねください。

牛黄清心元が牛黄清心元たる薬能を発揮することができるのは、牛黄と同時に「麝香(じゃこう)」を含むからです。「麝香」は牛黄以上に流通が少なく希少価値が高い生薬で、現代においてもなかなか手に入りません。高価なために製剤によっては麝香の香りを竜脳などで代替してるものもあります。「麝香」はジャコウジカの雄の陰嚢です。「開竅(かいきゅう)」という薬能を有し、身体の気血のうっ滞を迅速に開き・通じます。強い香りのある生薬で、やや独特の匂いですが嫌な匂いというわけでもありません。 この強い「開竅(かいきゅう)」作用があるからこそ、気急の病に対して対応することができたのです。

動くと動悸や息切れがするといった心臓に心配のある方や、脳梗塞を経験したことがありその後遺症や脳梗塞の再発が心配な方では、この丸薬を常に携帯しておくと安心です。また気持ちを病みやすく抑うつ的な気持ちになる方、またイライラしやすいという方にもおすすめです。さらに病がなく健康そのものという方でも、人前に出ると緊張するとか、今度大事な仕事があるのに最近疲れがたまっていて集中できないという時があるかと思います。人前に出る時、また大事な用事の前にサッと服用すると、気持ちが落ち着き、集中できるようになります。

まむし胆・まむし姿・まむし油

まむし(蝮)は漢方薬名:「反鼻(はんぴ)」と呼ばれ、毒消しや新陳代謝の賦活薬として昔から親しまれてきました。当薬局では漢方薬をメインとしており、民間薬の数は比較的少ないと思います。しかしまむし製品はその確かな薬能のために多くのお求めがあり、当薬局においても各種取り扱っております。

まむし胆(蝮胆)

まむし胆は、まむしの胆のうです。胆のうの中に含まれている胆汁の結晶には解毒や血圧の降下、また病気の熱を下げる働きがあります。また胆汁は脂肪分の分解吸収に欠かせないもので、かつ腸の蠕動運動を促進させる働きがあります。したがって扁桃腺が腫れやすいという方や、胃腸の機能が悪くすぐ胃もたれしやすいといった方では、このまむし胆が即効性をもって効果を発揮することがあります。

まむし胆
まむし胆

まむし胆:値段相場 3.3g 約8,800円(大きさ:直径約1㎝から2㎝) ※お値段は時価のため変動します。お求めの方はお電話にてお尋ねください。

冬眠を行う蛇や熊などは、栄養分をたっぷりとった後にそれを力強く消化・吸収しなければなりません。したがってこれらの動物の胆汁は非常に強靭な性能を備えています。特に江戸時代の医師、畑黄山は「熊の胆の薬効を知るも、蛇胆の偉効を知らず」といったように、他の動物の胆よりもはるかに強力な解毒作用をもっていることを示唆しています。

繰り返す扁桃腺炎が西洋薬で治せず、さらに漢方でも駆風解毒湯や普済消毒飲を使っても治らないという方が、まむし胆を服用することで綺麗に改善した例もあります。近年では非常に手に入りにくく、希少性が高まってきました。自然の力を借りる東洋医学では仕方ないこととはいえ、このような良薬が徐々になくなっていくことは大変残念なことです。

まむし姿

漢方ではまむしを「反鼻(はんぴ)」といいます。新陳代謝を賦活し、傷口や潰瘍の治りを早める薬能があります。昔からまむしを焼酎漬けにした「まむし酒」は切り傷や虫刺されなどの腫れに塗布する外用剤として用いられてきました。また服用すると傷の治りが早くなるという効き目もあります。お酒にするのは大変ですが、まむしの全形をそのまま粉砕して服用するのも良いでしょう。各種傷口や潰瘍治療、また床ずれや痔疾患・肛門疾患に応用されます。傷の早期治療のみならず、滋養食品として一日スプーン1杯ほどを継続的に服用すれば健康管理に役立ちます。

まむし姿

まむし姿:値段相場 約50g 約3,500円。当薬局にて粉末化することが可能です。 ※お値段は時価のため変動します。お求めの方はお電話にてお尋ねください。

まむし油(軟膏)

まむしの効能をそのまま軟膏へと形を変えたものです。傷口や潰瘍部位に直接塗布することができて便利です。特におすすめなのが「紫雲膏(しうんこう)」と呼ばれる漢方の軟膏との併用です。紫雲膏には肌肉の新生を早める薬能がありますが、まむし油を混ぜて使うとその薬能がさらに高まります。手指の荒れやカカトの荒れ、またイボ痔・切れ痔などにお悩みの方は、一度お試しになってみると良いと思います。


まむし油

まむし油:20g 2,000円

すっぽん(姿・粉末)

広く滋養強壮のための食品として服用されることの多いすっぽんは、疲労感・男性機能不足などを回復するための精力剤として用いられてきました。甲羅ごとすべて粉砕して、粉状にして服用することをお勧め致します。

すっぽん姿

すっぽん姿:約120g 約6,800円(税別) ※お値段は時価のため変動します。お求めの方はお電話にてお尋ねください。

この記事の著者

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※解説の内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

※当店は漢方相談・漢方薬販売を行う薬局であり、病院・診療所ではございません。解説において「治療・漢方治療・改善」といった言葉を使用しておりますが、漢方医学を説明するための便宜上の使用であることを補足させていただきます。

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