パニック障害・不安障害について

精神疾患の中でも漢方治療のお求めの多いものが不安障害です。特にパニック障害や社会不安障害は、当薬局でも多くの患者様が来局されます。精神的な不調を漢方薬で治療するというと、本当に治るのかと疑問に思う方も多いと思います。そこで、ここでは漢方薬を以てどのように治療できるのかということを、私が実際に見てきた・学んできた経験から解説していきたいと思います。

パニック障害・不安障害について

不安障害は不安感とそれに伴う身体症状を現す病の総称として位置づけられています。不安という感情やそれに伴ってドキドキするといった身体症状は誰しもが感じるものです。しかし不安障害の場合は、それが日常生活に支障をきたすレベルで発生します。突然動悸やめまい・息苦しさに襲われ、死ぬんじゃないかと思うほどの恐怖を感じるといった症状をパニック発作といいます。この症状はあまりの恐怖のために、病院に緊急搬送されるという方もいます。しかし症状はすぐに消失し、検査でも異常は見つかりません。パニック発作を経験した人は、次にいつ起こるかもしれないという恐怖を抱え(予期不安)、特に乗り物などの閉鎖された空間や人込みの中などで不安が誘発される傾向があります(広場恐怖)。

このようなパニック発作・予期不安・広場恐怖を三大症状とする不安障害を、パニック障害といいます。また何らかの状況で自分が起こす行動に強い恐怖感を感じるものを社会不安障害といい、人と話すのが怖いといった対人恐怖や、極度のあがり症で赤面してしまうのではないかと不安感を覚える赤面恐怖などがあります。どのような場合であっても、恐怖や不安といった精神症状とともに、動悸や息苦しさ・頭から血の気が引く感じ・めまいや吐き気・赤面や手の震えなど、身体症状を伴うことが多いものです。

●現行治療と問題点
不安障害の原因はまだはっきりとはわかっていません。そのため、恐怖や不安といった感覚を制御する脳に直接働きかける薬物(SSRIなどの抗うつ薬や、ベンゾジアゼピン系などの抗不安薬)を用いて治療する場合があります。これらの薬は不安を感じにくくする、制御しやすくするという効果があります。ただし副作用の問題や連用による依存など、解決しなければいけない問題点も多く備えています。

パニック障害・不安障害と漢方

不安障害に対する漢方治療は、西洋医学的な視点とはまったくことなる考え方によって行われます。過剰な不安を脳の問題としてではなく、あくまで体の問題としてアプローチしていきます。未だ原因がわかっていない疾患ではありますが、東洋医学的に見ると体の方に明らかな原因が見て取れる場合が多いのです。この原因把握の手法は、漢方が体の細部ではなく、全体を把握しようとしてきた医学だからこそ培われた方法です。

例えば、胃がもたれている方が胃薬を飲んだとします。そしたら胃がスッキリすると同時に、気持ちも楽になって、その日は深く眠れるようになった。こういう日常に転がっているような経験から、胃と精神との関連を見出していったわけです。そういう気づきのようなものが長い歴史の中で蓄積され、精神を落ち着けるための要所と呼べるようなものがいくつか見つかってきました。そして漢方薬はこういった体の要所を正すことで、不安感やパニックをスッと落ち着かせるという効果を発揮します。

●不安を感じても症状が出ない状態へ
したがって漢方治療の目的は、不安を感じさせなくする人を作るということではありません。本来不安という感覚は生命維持にとって必要なものです。もし不安を感じたとしても、動悸や息苦しさが起こらなくなるという体の状況を作り上げるのが漢方治療です。そして体にそのような症状が起こらなくなってくれば、自ずと不安を感じなくてすむようになっていきます。

使用されやすい漢方処方

①茯苓甘草湯(ぶくりょうかんぞうとう)
②逍遥散(しょうようさん)
③半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
④分心気飲(ぶんしんきいん)
⑤柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
⑥桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
⑦柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
⑧甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)
⑨温胆湯(うんたんとう)
※薬局製剤以外の処方も含む

①茯苓甘草湯(傷寒論)苓桂朮甘湯(傷寒論)

 胸に鼓動を感じる症候を漢方では「悸」という。動悸は通常胸で感じるものだが、悸には心中・心下・臍下(さいか)の別がある。自律神経が緊張・興奮状態に陥ると、下から胸に突き上げてくるような拍動を感じることがある。これを古人は「気上衝」と表現した。そして動悸を打ちかたを細かく尋ねると、胸(心中)ばかりでなく、胃部(心下)であったり、下腹部(臍下)であったりすることは実際にある。一言に動悸といっても漢方ではこのように詳しく弁別し、病態の違いを明らかにしてきた。
 心臓神経症における動悸は「心下悸」に属するものが多い。茯苓甘草湯はその適応処方の代表である。動悸と同時に手足がサーっと冷える(厥冷)という症状が目標。突発的に動悸や胸の圧迫感を感じて息苦しく、血の気が引いて手が冷たくなる者。上半身の血行循環が悪くなり、めまい感や吐き気、手や腕のしびれや震えを感じる方もいる。心臓に器質的な問題のない心臓神経症やパニック障害において運用する場が多い。ある種の自律神経の過緊張状態に適合し、緊張による胸部の塞がりを開く薬能を持つ。本方を基にした処方に瀉脾湯(しゃひとう)がある。瀉脾湯に関しては浅田の口訣が正鵠を射ていて、現代でも充分に運用の場を想起させることができる。
茯苓甘草湯:「構成」
桂皮(けいひ):甘草(かんぞう):生姜(しょうきょう):茯苓(ぶくりょう):

②逍遥散(太平恵民和剤局方)

 加味逍遥散というPMSや更年期障害で有名な処方の原型。ただし不安障害において重要なのは、加味逍遥散ではなくあくまで逍遥散である。イライラや様々な精神症状を訴えるといった目標が掲げられることが多いものの、本方の本質はそこではない。漢方でいうところの胃気を和す方剤であるという点が重要である。胃気とは生命活動にとって不可欠な消化機能を指し、特に食事を最初に貯める胃活動を指していることが多い。胃気が乱れ、食事が下っていきにくい時、人はみぞおちから上方へと気を詰まらせる。そして胸部や肩背に自律神経の乱れを生じやすくなる。本方の骨格は胃薬であり、胃気を和すことで上に滞った気を散らす薬能を持つ。
 パニック障害のように発作的な症状を胸部に生じる疾患では、胃気を和すという手法が一つのポイントになる。「胃気不和」に対応する薬方は本方だけではない。したがってどのように症状を発生させているかによって方剤を使い分ける必要がある。また「胃気不和」を解除する薬能は、煎じ薬とエキス顆粒剤とでは雲泥の差がある。最も違うのは即効性で、そのため不安障害では煎じ薬の服用をお勧めしている。さらに即効性を出すためには煎じ方にもコツがいる。漢方薬は細かい配慮がその効果を大きく変えることが少なくない。
逍遥散:「構成」
当帰(とうき):芍薬(しゃくやく):白朮(びゃくじゅつ):茯苓(ぶくりょう):柴胡(さいこ):甘草(かんぞう):生姜(しょうきょう):薄荷(はっか):

③半夏厚朴湯(金匱要略)

 心療内科領域・精神科領域に用いられる方剤として有名。最も有名な適応は「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれる咽に何か詰まったようで苦しいという症状である。おそらく昭和に大塚敬節先生が頻用していたことをきっかけに、広く用いられるようになったのではないかと思う。自律神経失調症や不安障害・パニック障害において、咽もとの苦しさを伴う者に頻用される。しかし私見では的確に運用することは実は難しい処方なのではないかと思う。少なくとも、精神疾患に対して単独かつ一律的に運用しても効果が上がることは少ない。
 本方は梅核気を絶対目標とする処方ではなく、身体に備わるある種の緊張感を去る薬方である。特に胸部(胃から肺)の緊張による動悸・息苦しさ・胸がつまって苦しくなるなどの症状に対して効果を発揮しやすい。不安感や焦り、過剰な几帳面さやイライラ、時に抑うつ状態などの精神症状に適応するが、こういった精神症状の中にも緊張感を含んでいることが目標になる。重く抑うつされた緊張感というか、底の方で反発しようとしている緊張感というか、そのような印象の精神症状を厚朴で緩め、紫蘇葉で発散させる方剤である。本方を単独で用いて著効させるやり方よりも、他剤に合方して用いることが多い。
半夏厚朴湯:「構成」
半夏(はんげ):生姜(しょうきょう):茯苓(ぶくりょう):厚朴(こうぼく):紫蘇葉(しそよう)

④分心気飲(太平恵民和剤局方)

 本方は気剤の総司と称され、心胸間に詰まった気を分け散らすという意味を以て分心気飲という。胃や肺は自律神経の乱れによる過剰な興奮や緊張をしずめるための要所である。気持ちが沈んだ時や恐ろしい思いをした時に、人は胸に手を当てる。また食べ過ぎた時など胃がつまっている状態をきっかけに、自律神経が乱れて予期不安やパニック発作が生じるということは臨床的に良くあることである。本方や逍遥散・半夏厚朴湯といった処方は簡単に言えば胃薬であり、消化管の機能を改善することで胸部に起こる自律神経の乱れを取り去る方剤である。
 本方は多種類の生薬を少量ずつ配合しているという点が一つの特徴になっている。一般的には少数の生薬によって構成されている方剤は切れ味が良く(効き目が早い)、多種類の生薬で構成されているほど的(まと)が広い(多くの症状に広く適応する)と言われている。少数生薬で構成されている処方と比べると、本方は確かに様々な症状を包括して治療する時に用いられる傾向がある。ただしこの辺りの運用は各先生方の経験による所が大きい。各先生によって運用にクセのようなものがあり、特に精神症状の改善を目的とする場合ではそのクセが出やすいと感じている。
分心気飲:「構成」
桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):桑白皮(そうはくひ):大腹皮(だいふくひ):青皮(せいひ):陳皮(ちんぴ):羌活(きょうかつ):半夏(はんげ):茯苓(ぶくりょう):木通(もくつう):燈心草(とうしんそう):紫蘇葉(しそよう):

⑤柴胡加竜骨牡蛎湯(傷寒論)

 自律神経の過敏・興奮状態に適応する処方。自律神経失調症のみならず、動悸・呼吸のしづらさ・胸苦しさを主とする心臓神経症や不安障害にも運用する場が多い。自分でもどうしてしまったんだろうと感じるほどに、心身ともに強い過敏状態に陥ってしまったときに用いる方剤である。一つのことが気になりだすと止まらず、焦り、不安になっていてもたってもいられなくなる。少しのことで驚きやすく、動悸して息苦しい。小さな物音が気になって眠れない。横になっても身の置き所がなく、手足がはばったく重い。甚だしいと手足に力が入って上手く動かせず、胸脇部が苦しく体をよじって伸ばしたくなると訴える。動悸や息苦しさ以外にも、頭痛・耳鳴り・めまい・不眠・不安感・焦燥感・イライラなど様々な症状を出現させる病態に適応する。実はそのまま服用してもあまり効果がない。上手く使うには合方も含めてコツがいる処方である。体格充実した者に適応するという解説もあるが、私見では体格は関係ない。とにかく「胸満煩驚(きょうまんはんきょう)」という病態に陥っているかどうかが運用のカギとなる。
柴胡加竜骨牡蛎湯:「構成」
柴胡(さいこ):半夏(はんげ):人参(にんじん):黄芩(おうごん):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):桂皮(けいひ):茯苓(ぶくりょう):竜骨(りゅうこつ):牡蛎(ぼれい):大黄(だいおう):

⑥桂枝加竜骨牡蛎湯(傷寒論)

 柴胡加竜骨牡蛎湯と同じように自律神経の過敏・興奮状態に適応する処方。心臓神経症や不安障害にも運用することが多い。動悸や胸苦しさ・耳鳴りやフワフワ浮くようなめまい・不安と焦りが強くじっとしていられない・寝つきが悪くて眠りが浅く、夢を見やすいなど。適応症候だけを並べれば柴胡加竜骨牡蛎湯と類似しているが、両者では運用に明らかな違いがある。
 本方適応の主眼は「虚労(きょろう)」である。自律神経の乱れを伴う一種の疲労状態で、本方は虚を補い疲労を回復させながら自律神経の安定を図る。柴胡加竜骨牡蛎湯の主眼は「胸満煩驚」である。あくまで強い自律神経の過敏さに適応する。両者の違いを虚・実と解説するものも多いが、体格の大小や正気の虚実によってのみ判断できるものではない。桂枝加竜骨牡蛎湯の虚は「虚労」の虚であり、柴胡加竜骨牡蛎湯の実は過敏・興奮状態の極まりを指す。
 総じて竜骨牡蛎剤の目標は、自律神経の不安定さである。精神症状としては不安や焦り、落ち着きのなさというのが最大の目標になる。その他、ソワソワする、フワフワする、不安で恐ろしい、居ても立っても居られない、一つの場所でじっとしていられないなど。上に浮揺する陽気を、竜骨牡蛎の重みで鎮めるのである。
桂枝加竜骨牡蛎湯:「構成」
桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):竜骨(りゅうこつ):牡蛎(ぼれい):

⑦柴胡桂枝湯(傷寒論)

 小柴胡湯と桂枝湯との合方。本方も「心下支結」と呼ばれる胃部(みぞおち)症状を改善することで、自律神経の乱れを平定させる薬能を持つ。本方は加減することによって非常に広い精神症状を包括して治療することのできる方剤でもある。桂枝湯の方意・四逆散の方意を含むだけでなく、咽部の症状に用いられる半夏散及湯や胃薬である小半夏湯、また茯苓を加えれば苓桂剤の方意を持つことになる。大塚敬節先生の弟子であられた相見三郎先生は、本方の運用に非常に長け、多くの精神障害をほとんど柴胡桂枝湯一本で切り回しておられたとのことである。ただし相見先生の用いる柴胡桂枝湯は、人によって異なる加減が常に細かく施されていた。まさに本方の運用を掌上に把握されていたのであろう。
柴胡桂枝湯:「構成」
柴胡(さいこ):半夏(はんげ):黄芩(おうごん):人参(にんじん):甘草(かんぞう):大棗(たいそう):生姜(しょうきょう):桂枝(けいし):芍薬(しゃくやく):

⑧甘草瀉心湯(金匱要略)

 「心下痞硬」という胃の詰まりを中心に胃腸症状を改善する本方は、同時に「孤惑(こわく)」という精神症状を改善するための薬方でもある。イライラしつつも不安感を伴い、目を閉じようとしても興奮して眠れない。半夏瀉心湯中の甘草を増量した処方であるが、黄連・黄芩でカバーできない興奮を甘草の甘味を以て落ち着けるという処方である。
 本方は胃気を和すことで興奮を落ち着けることを主とし、黄連・黄芩にて「心火」と呼ばれる興奮の火を沈静化させる薬能を持つ。さらに小半夏湯の方意を持ち、「痰飲」を治すことで水分代謝の失調を伴う独特な精神症状にも対応する薬能を持っている。精神症状の改善に積極的に用いられている傾向はそれほどない。しかし柴胡剤や気剤といった常道だけで解決できない自律神経失調は確かにあり、常に頭に入れておかなければならない方剤である。
甘草瀉心湯:「構成」
半夏(はんげ):乾姜(かんきょう):黄芩(おうごん): 竹節人参(にんじん):大棗(たいそう):甘草(かんぞう):黄連(おおれん):

⑨温胆湯(三因極一病証方論)

 駆痰剤として「痰熱内擾(たんねつないゆう)」という病態に運用される方剤。「痰熱内擾」とは胃・胆で発生した水分(痰)が上逆して精神を乱す、と中医学では説明されているが非常に分かりにくい。シンプルに言えばある腫の胃薬で、甘草瀉心湯のように胃気を和すことで身体の興奮を鎮める薬方。平素から食欲あり、便秘しやすく不眠に陥り、情緒が不安定になって物音に驚きやすくなるもの。めまいを起こすものもいる。黄連や酸棗仁を加えることが多い。胃気を和す薬方の適応者に総じて言えることだが、精神症状を前面に訴える方では胃と精神状態とが関連しているとは思っていないため、胃の不調を自分からはあまり訴えない。しかしよくよく聞くと、平素から胃もたれを生じやすかったり、明らかな食生活の乱れが介在している場合が多い。
 本方はどこまでも体質的な処方で、適応する者には壮年期に動脈硬化による高血圧や脳血管障害などを起こしたりする傾向がある。本来は飲水(飲み水)が身体内に貯留することで起こる飲病(痰飲病)の流れの中で生じる病態。継続する興奮は上部に熱を持たせ、貯留した陰液の消耗を招いて血脈の不利を起こす。竹筎温胆湯や釣藤散の祖方であり、あまり頻用されてはいないが重要な方剤である。
温胆湯:「構成」
半夏(はんげ):茯苓(ぶくりょう):生姜(しょうきょう):陳皮(ちんぴ):枳実(きじつ):甘草(かんぞう):竹筎(ちくじょ):

臨床の実際

漢方によるパニック障害・不安障害治療の実際

●発作時にどのような症状が起こるか
不安障害において東洋医学的にお体を把握する場合、最も重要なことは身体的にどのような症状が起こるかということにあります。予期不安を感じ、そこから興奮・緊張が強まっていくにあたって、どのような症状が発現してくるのかを詳しく知る必要があります。動悸は主となる症状の一つですが、動悸と一言に行っても、胸で拍動を感じる人もいれば、みぞおち辺りから突き上げてくるように感じる人、拍動とともに背や肩が強張る人、拍動というよりは胸が締め付けられたように感じる人など、起こる症状は様々です。こういった細かな違いがお体の状態を知る上で非常に重要であり、それによって適合する薬方が変わってきます。すべての病において言えることですが、漢方には特効薬(その病でれば、どのような人でも効く薬)は存在しません。あくまで個人個人の状態に合わせることで、初めて薬能を発揮することができます。

●「からだ」の弱りを見極める
また発作時の症状を詳しく知る理由は2つあります。1つは東洋医学が「からだ」の改善から「こころ」の安定へと効果を及ぼす傾向があるためです。「こころ」の乱れが強まる時に、「からだ」にどのような変調が起こるのかは人によって異なります。それは人によってもともと体のどの部分が弱っているかが違うためです。つまり「こころ」の乱れは、平素より弱っている部分に影響を及ぼしやすく、そのため発作時の状態を知ることによって体がどのように弱っているかを把握することができるのです。漢方はその人が平素から持っている体の弱りを改善していきます。すると不安に感じても、それが体に影響を及ぼしにくくなってきます。そしていつの間にか不安を感じる必要がなくなってくるという改善の仕方をします。患者様の言葉を借りれば、「そういえば、昔は発作が起こっていた状況だったはずなのに、大丈夫だった」という感覚です。

●まずは発作を起こさない状態へと導く
発作時の状態からお体を知っていくもう一つの理由は、治療のスピードを速めるためです。なるべく早く効果を実感してもらうためと言った方が正確かも知れません。不安障害の治療は、基本的に数週間単位で改善するものではありません。少なくとも数か月間の服用は必要になります。(当薬局では即効性をもって効果を実感された場合でも、最低3か月間は服用していただくようご説明しています。)ただし治療に時間がかかる病であっても、最も苦しい発作時の状況を回避する治療から始めれば、その分効果を実感しやすく、腰を落ち着けて服用を続けていきやすくなります。

●治療の過程で生活の養生が分かってくる
また不安障害を完治させるためには、ご自身の生活スタイルを見直すことも重要です。ただし人によって生活のどの部分を気を付ければ良いのかが異なります。先に述べたように、不安障害にて体に不調が生じる原因は、平素からの体の弱りに起因していることが多く、その弱りが人によって異なります。したがって人それぞれで気をつけるべきポイントが異なってきます。その弱りは西洋医学的な検査で把握できるものとは異なるため、多くの方はご自身の体の弱りに気づいていません。そのため先ずは自分のお体を理解していただくことが重要で、それを知った上で生活上気をつけるポイントを知っていただきます。すると最終的には漢方薬を含めたあらゆる薬に頼ることなく、ご自身で体調をコントロールしていけるようになります。治療のスピードを早めていくためにも、これはとても重要なことです。

●抗不安薬・抗うつ薬は自ずと減っていく
不安障害において漢方治療をお求めになる患者様は、抗不安薬や抗うつ薬を止めたい、もしくは服用したくないという方が多いと思います。漢方治療では最終的に漢方を含めた如何なるお薬に頼らなくても、ご自分で体調がコントロールできるようになることを目指します。その際、すでに西洋薬を服用している方では、それらのお薬を急に止めてしまうことはお勧めできません。漢方薬を併用し、養生を続けていくことで体調が良くなれば、自ずと西洋薬の服用回数が減っていきます。西洋薬を減らしていく際には、その薬を出してもらっている医療機関の先生と相談しながら行うことも重要です。また西洋薬は的確に使用されていれば、安全で効果的な薬です。西洋医学と東洋医学とを上手に利用しながら治療していくことも、早期の改善を目指す上で大切なことです。

関連する記事

自律神経失調症
心臓神経症
月経前緊張症(PMS)
更年期障害
多汗症・臭汗症・わきが・すそが

当薬局へのお問い合わせ

当薬局ではご来局の上でご相談をお受けしております。下記「ご相談の流れ」をご参照ください。ご予約の際、漢方薬や病に関するご質問などがありましたら、お気兼ねなくお問い合わせください。

ご相談の流れ

また体調のためにお越しになれない方や、遠方にてお越しになれない方のために、電話やメールでのご相談をお受けしております。下記「遠方相談受付」よりお問い合わせください。

遠方相談受付