◇養生の実際・秋
~夜間の冷え込みと悪化しやすい症状~
<目次>
1、咽の痛み・風邪
2、腹痛・下痢・便秘
3、排尿障害・膀胱炎・間質性膀胱炎
4、顔のほてり・酒さ・酒さ様皮膚炎
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夏から秋へ。
そんな気配が感じられる今日この頃。
皆さま、秋の気配を何で感じますか?
雲の無い、高い空。
金木犀の、華やかな香り。
さまざまな秋の気配がある中で、
一般的には、気温と湿度と、答える方が多いかと思います。
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夏から秋にかけて、当然気温が下がってきます。
この時まず下がるのは、体感としては夜間の気温です。
日中は比較的、暑い日もまだ訪れそうです。
しかし夜や朝は、寒いと感じられる日が徐々に増えてきます。
暑くて寝苦しいというのも問題ですが、
この夜間、急激に冷え込むというもの、体にとっては問題です。
そこから起こる体調不良があるからです。
秋を気持ちよく過ごすためには、
夜の間、いかに体を冷やさないかが重要です。
今回のコラムでは、起こりやすい体調不良を4つ、上げておきたいと思います。
咽の痛み・風邪
夜間に急に寒くなる秋。まず起こりやすいのが、朝方に生じる咽の痛みです。
秋になると、のどがいがらっぽくなる方は多いと思います。
人によっては咳になったり、そこから風邪をひいたりする方もいます。
この理由は、大気が乾燥し始めるというだけでなく、
夜間の急激な冷え込みが、大きな要因として関わっています。
私の経験上、夜間から朝方にかけて急に冷え込んだ日に、咽の痛みを発生させる方が急増します。
これは、夜間に冷たい空気を吸い続けることで、咽の血行状態が悪くなるからだと考えています。
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人体というものは、たとえ冷えたとしても、ゆっくりと冷えるのであればそれほど問題は起こりません。
冷えに対して、それを温めようとする力を発動するからです。
したがって、ゆっくり寒くなれば、誰しもがその冷えに対応して体を温め、その影響を打ち消すよう働くことができます。
しかし、急激に冷えるとなると、話は別です。
人体の温めようとする力が、その急激さに追いつかなくなります。
特に夜間は体の機能が休んでいる時間帯です。そのため、夜間に急激に冷えてくる空気を吸い続けるというのは、咽部の血行状態に深いダメージを与えることになります。
さらに、この血行障害は咽の痛みだけではなく、咽部の免疫機能を下げることで、細菌やウイルスを侵襲させやすくします。
そのため、この時期の咽痛は風邪へと向かっていくことが多く、早期の対応が何よりも大切になります。
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今時期の朝方に、咽の痛みを感じたら、速やかに試して頂きたい養生があります。
冷え込みから来る咽痛は、放っておけば治ることも多いものです。日中血行が良くなってくると、自然と治る場合もたくさんあります。
それと同時に、ご自身での対応を知っておかれたほうが良いと思います。
昼になってもなかなか治らないと感じたら、むしろその前、朝に咽の不調を感じた時点で、
とても簡単な方法ですので、すぐさま試していただくことをお勧めします。
詳細は、過去に書いた以下のコラムをご参照ください。
※◇養生の実際・秋に起こりやすい症状 〜咽(のど)の痛みとその予防〜
腹痛・下痢・便秘
当薬局には、腹痛・下痢・便秘といった排便異常にて治療中の方がたくさんいらっしゃいます。
そしてその多くが、冷やすことでお腹を悪化させます。冷たいものを食べたり飲んだり、体を冷やしたりすることで腹痛が強く起こります。
さらに単に冷えるというよりは、急激に冷やした時のほうが悪化しやすい傾向があります。
つまり、秋は夜間の冷え込みによって、便通異常を悪化させる方が急増してくる時期でもあります。
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体を動かしている日中は、少しばかり寒い思いをしても、体の芯まで冷えるということはなかなかありません。
しかし夜間は別です。寝ている最中は、体を動かしていないため、冷えてくる外気によって体の芯まで容易に冷えていきます。
寝ている時に、寒いと思って目を開け、布団をかけなおして寝る、ということは誰しもが経験する所です。
実はこの時、寒いと思って起きた時点で、体は芯まで冷えきっています。そのあといくら布団をかけて寝たとしても、その日は必ずお腹の調子が悪くなってしまいます。
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夜寝る時の室温が丁度よくても、朝に向かってどんどん冷えてくるのが今時期の気候です。
とにかく体を冷やすような寝かたをしないこと。朝方冷えてくることを見越して、寝巻や寝具を体の冷えないものに早めに変えていきましょう。
事実、この時期になると腹痛・下痢・便秘のお問合せが非常に多くなってきます。
転ばぬ先の杖として、夜間、体を冷やさないようにすることを、是非気を付けてください。
排尿障害・膀胱炎・間質性膀胱炎
各種膀胱炎は、春や秋などの季節の変わり目で悪化しやすい病です。
免疫力の低下や血行障害によって起こるこれらの病は、その発症のメカニズムに冷えが関与することが非常に多く、特に急激に冷える場合に如実に悪化する傾向があります。
そのため季節の代わり目だけでなく、夏場にクーラーで冷やされることでも起こります。とにかく急激に冷えるということが、悪化においてもっとも危惧される状況だと言えるでしょう。
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予防は先で述べたものとほとんど一緒です。夜間、体を冷やさないようにすること、特に下半身を冷やさないように気を付けてください。
腹痛・下痢も同じですが、お腹はそこだけ温めていても、足が冷えているとお腹も冷えます。足で冷やされた血液が、お腹に向かうことで冷えが直撃してしまうからです。
特に脛(すね)を冷やさないようにすることが大切です。ちゃんと足まで布団をかけたり、レッグウォーマーを活用したりと、下半身を冷やさない工夫を心がけてください。
顔のほてり・酒さ・酒さ様皮膚炎
夜間急激に寒くなるこの時期、悪化しやすい病の一つが、顔のほてりや酒さ・酒さ様皮膚炎です。
寒い場所から急に暖房のかかった暖かい部屋に入ると、顔がほてって熱を持ちますが、
この時期は、まさしく同じことが天候レベルで起こります。つまり、朝方から日中に向かって急激に気温が高くなる今時期、顔のほてりや熱感が強く出るようになります。
この時期になると、私はいよいよ来たなと身構える気持ちになります。酒さでお困りの方々が、一様に悪化しやすくなるからです。
夏の時期に安定していた方であっても、比較的容易にほてり出します。この悪化をどの程度に抑えられるのか。少なくとも例年に比べれば楽という状態で推移させるべく、奮闘が始まるという季節です。
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急激な温度変化によって顔が赤くなること自体は病気ではありません。恥ずかしいと顔が赤くなるのと同じ、ある意味生理現象として顔のほてりが生じます。
ただしこの反応が強く起こる方では治療が必要です。的確な薬でほてりにくい体にしていくことと、さらに養生を同時に行うことでほてりにくい体質を目指していきます。
以前のコラムでも示した通り、ほてり治療は薬と養生との両輪が必須となります。また、長く治療を続けられている方ほど、気候に左右されにくい傾向があります。
地道な治療ではありますが、例え今時期にほてりが強くなったとしても気に病む必要はありません。一歩一歩階段を登っていくように、今まで通りの養生を根気よく続けていくことが大切です。
※□酒さ・赤ら顔 〜なぜ温度差でのぼせるのか?ほてり体質者の特徴〜
※□酒さ・赤ら顔 ~ほてり体質者と気をつけるべき生活の養生~
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