養生の回覧板

脱力の領域

『黄帝内経』という東洋医学の聖書には、歴や天候を見て、それに則した活動を行いなさいと書いてあります。寒ければちゃんと着て、熱ければ日をよけて、太陽が出ていれば活動し、太陽が沈めば早めに寝る。当たり前のことですが、それが大切で、則ち単に当たり前のことをしていれば、人はそもそも病みにくいということです。

今年の春は恐らく厳しい

急激に暖かくなる、そしてまた急激に寒くなる。この寒暖の落差、急激なアップダウン、それこそが人体の血流に負担をかけます。血流は自律神経がコントロールしていますから、それによって自律神経も乱れてきます。多いのが不眠です。また動悸など、心肺への影響。便秘や下痢のほか、不安感や焦りといったメンタル面での乱れも出てきています。

年末の牙

本来11月から12月初旬は、もう少し安定している時期であったはず。にもかかわらず、多くの方が悪化しています。自律神経の乱れと、そこからくる血流障害。特に頭痛・めまい・耳鳴りなど、頭部に起こる症状が甚だしく、さらに胃腸活動の不具合から、不安感・焦燥感などのメンタル面に至るまで、今、苦しんでおられる方がかなり増えています。

恐怖の年末年始・23年版

毎年この時期になると、今後来るであろう大きな波に、私は背筋が凍えます。体調を一気に崩される方が多くなるからです。シンプルに「生活習慣が乱れる」から。特に、食事が乱れ、睡眠時間の確保が出来なくなるから、です。年末に悪化する病がたくさんあることを、ぜひ肝に銘じて。この年末年始をお過ごしくださいませ。

未来への投資

治療には、辛さが伴います。当薬局の漢方治療では、特にそうかもしれません。煎じ薬を毎日煎じ、食事・睡眠などの養生を指導され、良くなったと感じてもまた波を打ち、保険治療と比べれば決して安い金額ではありません。しかし、治療には終わりがあるべきだです。そう想いながら、なるべく最短での道のりを模索しつつ、治療に臨んでいます。

信玄公祭りと浮かれた心

不安と共にくる、居ても立っても居られないというソワソワ感。古人は経験的に、この時にある生薬を使うことを編み出しました。桂枝加竜骨牡蛎湯とか、柴胡加竜骨牡蠣湯で有名な竜骨牡蛎です。不安からくる「落ち着かなさ」に、確かに効くことが多いのです。多分、浮き上がる感覚を、石と貝(鉱物)の重さで、落ち着けようとしたのだと思います。

秋に先手を打つ

秋の寒暖差にて悪化しやすい症状には、咽の痛み・風邪(上咽頭炎・副鼻腔炎)、腹痛・下痢・便秘、排尿障害・膀胱炎・間質性膀胱炎、顔のほてり・酒さ・酒さ様皮膚炎、自律神経失調が挙げられます。季節というものは、とても不思議です。その時々で、必ず増えてくる症状・病がある。人の体は、自然とともに変化しているのだと如実に感じます。

すでに知っていること

患者さまは、治療が進んでいくと、皆、口をそろえてこうおっしゃいます。何で悪化するのかが分かりやすくなってきた、と。例えば睡眠不足であったり、例えば食事の不摂生であったり。天候であったり、月経であったり、悪化のきっかけを自覚できるようになる。知識ではなく、実感として理解できる。この気付きこそが、病が治るということです。

秋の足音

寒暖差によって、悪化する病がいくつかあります。まずは「酒さ・酒さ様皮膚炎」。顔が赤くなり、火照るという症状、更年期のホットフラッシュも、今時期悪化傾向が出てきます。そして次に多いのが「風邪」です。咽からくる風邪。特に気を付けて頂きたいのが、副鼻腔炎や上咽頭炎などの上気道の慢性炎症にて治療中の方々です。

台風の夏

盆中に大気が荒れることが多くなっています。今後のお盆は、台風と雨というイメージになっていくのかもしれません。そして夏に起こしやすい病もまた然り。今後は形を変えていく可能性があります。通常、夏バテや熱中症が主として危惧される季節ですが、今後はより自律神経の乱れに着目しなければならない季節になっていくような気がします。