すでに知っていること

2023年09月30日

漢方坂本コラム

コイヌが生まれた。

9月30日、未明。

日本の南、フィリピンの東で台風14号が発生。

その名も「コイヌ」。

可愛らしいけど、その影響はあまり可愛くない。

地味ぃ~に、体調を乱している方が多くなっています。

9月、彼岸を過ぎてからの寒暖差。

そして、そこに加えて気圧差も伴う状況。

さらに、まるで梅雨のような湿気を帯びた空気が広がっています。

やはり自律神経への影響が強く、

心身共に、皆さんの症状に波が打っています。

ただし今回の影響は、おそらく早々に落ち着いてくるはずです。

コイヌは日本をそれて進みますし、日が進むにつれて、明らかに秋の気配が強まっています。

以前は9月に生まれた台風が過ぎ去ると、

夏の湿気を全部奪って、すがすがしい青空が広がりました。

近年、台風発生のタイミングがズレてきたために、明確な秋への移行が無くなってきたものの、

それでも秋は来る。

あともう少しの辛抱、といった所です。

春・夏・秋・冬。

日本には明確な季節の移ろいがあります。

夏には夏の色があり、

冬には冬の色がある。

誰しもが想像できると思います。確実に、春夏秋冬をイメージできると思います。

おそらくこのイメージは、

私たち日本人のDNAに染みついたものです。

知識ではなく、実感として分かるもの。

理解しなくても、すでに知っているもの。

取り立てて説明されなくても、当然のこととして、知っているものです。

私は常々思うのですが、

こういう当然のこととして知っている事にこそ、

病の本質が隠れているように思うのです。

当たり前のようにしていたことや、

疑問を持たずに行っていたこと。

そういう事にこそ、病を解決するためのヒントが隠されています。

治療とは、それを一緒に見つけていくことだと思います。

患者さまは、治療が進んでいくと、

皆、口をそろえてこうおっしゃいます。

何で悪化するのかが分かりやすくなってきた、と。

今まではどんな時でも調子悪かったのが、

治療によって良い日・良い時が徐々に出てくる。

すると何で悪化するのかが、分かりやすくなってくる。

例えば睡眠不足であったり、例えば食事の不摂生であったり。

天候であったり、月経であったり、悪化のきっかけを自覚できるようになる。

すると、普段当たり前のように行っていた事、気にも留めなかった事の、

意味が分かるようになってくる。

睡眠の意味や、食事の大切さ、

天候の巨大なエネルギーや、運動の大切さが分かりやすくなってくる。

これが、治療が進むということだと思います。

知識ではなく、実感として理解できる。

この気付きこそが、病が治るということです。

いつも言っていることの上塗りですね。

何度も何度も同じことを申し上げて、皆さんにとっては耳にタコだと思います。

ただし知ることは、漆塗りと同じ。

何度も何度も、重ねるように。刷り込むように。

一回では染みつきませんので、こうして何度も申し上げている次第です。

でも結局、

今回僕が一番言いたかったのは、「私は常々思うのですが」です。笑

ミステリと言う勿れ。

社会で「当たり前のこと」として流されていることに、常に疑問を持ち続ける主人公、久能整(くのう・ととのう)くんの口癖。

好きなんです。

一度言ってみたかったんですよね。



【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら