口癖 漢方治療には、残念ながら、決められた「答え」というものが用意されていません。どうしてもその都度都度で、解答の導き方を考えなければなりません。凡そのフォーマットがあることは確かですが、教科書通りには決していきません。だから漢方治療は、一つ一つ、たくさんの問題を解決し続けなければ、成功へと到達することができません。 2023年09月07日
現代に生きている私たち 神秘的というイメージ、不思議というイメージ、少なからず東洋医学にはそういう印象がある一方で、今でも残っているものに関しては、どこかで薬として認められている印象もあります。今私たちが目にしているのは、淘汰という何重ものフィルターによって、濾過されてきた薬たちです。 2023年08月29日
後から気が付く なぜ自律神経は、自律して働いてくれているのでしょうか。人間は自分の意志で生きているように見えて、実はそれだけでは生きてはいけません。全自動であらゆる刺激を感知し、そこから然るべき動きを導く自律神経の働き。そういう神秘を宿しているのが人間です。意識の向こう側にこそ、それがあるということです。 2023年06月26日
自分の体を知りたい 漢方治療において、最も治療の難しい人間は「自分」です。漢方家は大抵、自分で漢方薬を服用していますが、人のことは分かっても、自分のことは分かりにくいというのは漢方家のあるあるです。自分への客観的視点を持つことを、かなりシビアにやらなければ、「自分」とはいったいどんな人間なのかを、東洋医学的に把握することが出来ません。 2023年05月18日
休日の朝 食事・運動・睡眠の養生を患者さまにお願いし、みなさん実際にこれを変えようと努力してくれています。本当に凄いことだなと尊敬します。簡単なことではありません。一日の限られた時間の中で、努力を積み重ねることの難しさを今自分自身がしみじみと実感しています。 2023年04月09日
悟りの実験 新しい知識を入れる一方で、本当に大切な知識を見失うことがあります。患者さまから多くの情報を得れば得るほど、情報の波にのまれてしまうことがあります。本当に大切な「当たり前のこと」を、患者さまと共にで見つけていくことが、上手な漢方治療を導く最大のコツだと、私は感じます。 2023年03月17日
花火散るが如く 誰にでも『傷寒論』は読める。しかし『傷寒論』を完全に読み解いた人は、今までの歴史上、一人もいない。なぜ少陰病に、大承気湯が書かれているのか。例えばなぜ陽明病に、麻黄湯が書かれているのか。『傷寒論』の骨格、六経病とは一体何なのか。『傷寒論』の著者、張仲景(ちょうちゅうけい)。燃え尽きる命を、多く目にしてきた聖医。 2023年01月21日
新年のご挨拶 有限の資源を扱う漢方治療では、患者さまにお薬をお渡しするまでに、たくさんの方々のお力添えがどうしても必要になります。良質な生薬を作り、育て、流通させ、それらを安定させる努力。農家の方々やメーカーの方々の尽力こそが、日本の東洋医学を支えています。そのおかげで、私たち臨床家や患者さまたちが漢方の恩恵を受けられるのです。 2023年01月05日
2022・甲府より感謝を込めて 自分にこそふさわしい養生、情報に流されない知恵を実感する。そういう価値が、もし体調を崩したからこそ得られるのだとしたら、今、続けて頂いている努力は、きっと価値あるものだと私は思うのです。人と病。病と治療。漢方の道は深く、険しい。その中でも一歩ずつ、治療のコツのようなものが見えてきたような気がします。 2022年12月31日