漢方治療日記

春の刺激

今年の3月4月と、明らかに悪化したなぁ、、、という病がいくつかあります。まずは消化器症状。胃痛や胃もたれ、下痢や便秘、食欲不振や吐き気など。そして特に悪化したのが、慢性膵炎(もしくはその疑いがある方)を患われている患者さまたちでした。膵臓に負担を持つ方の消化器症状は、急激な冷え込みにより悪化する傾向があります。

漢方治療の経験談「蕁麻疹と寒冷蕁麻疹治療」を通して

蕁麻疹に対してしばしば用いられる処方は「消風散」です。ちょっとした改良が必要ですが、これはこれでちゃんと効いてくれる良い薬です。そして蕁麻疹には寒冷蕁麻疹という病もあります。冷たい刺激によって起こるこの蕁麻疹に対しては、「麻黄附子細辛湯」などがしばしば使われ、効果を発揮します。これらは蕁麻疹治療の基本だと思います。

自律神経失調症の特徴とその厄介さ

自律神経は身体の様々な活動を調節している器官です。自律神経が関与していない部分は無い、と言っても過言ではありません。したがって自律神経の乱れといっても、実に様々な症状が発生します。そして最も弱い部分に症状が出ます。そして何より苦しいのが、身体症状と同時に、精神的にも症状を悪化させるということです。

融通無碍のカラクリ

脾胃気虚を補う基本処方「四君子湯(しくんしとう)」と、湿痰という胃腸の水分代謝からくる吐き気などを止める「二陳湯(にちんとう)」。両者を合わせた構成を持つのが「六君子湯(りっくんしとう)」。効果と名称とが、非常に分かりやすくつながっています。しかし私は、最近この「六君子湯」をほとんど使わなくなりました。

ストーリーを診る

漢方の臨床を始めて十数年が経ちます。患者さまにはお一人お一人全く異なる、壮大なストーリーがあります。現状はただの一部でしかなく、その物語にこそ治療のヒントがあります。そして、これからもその物語は続きます。治療はその物語を、より良い方向へと導くためのもの。西洋医学も東洋医学も、到達しようとしている場所は同じだと思います。

年始のご挨拶

確実に変わっていく地球。それを私たちは、すでに天候の波として感じることができます。人は天に生かされている、そういう着想が根本にある東洋医学ですが、今後の東洋医学は、今までとは違う、新たな局面を迎えているように思います。時代時代で変化を続けてきた漢方、その正道をこれからも継承するべく、今年も精進してまいります。

暮れとピカソとカルテ整理

身になる・腑に落ちる。漢方治療においてはこの感覚が、私はとても大切だと思っています。見て、聞いて、話して、試し、理解する。そういう「経験」を積み重ねる中で、なるほどなと、自身が深く、理解することが「実感」です。実感の無い理解は、ただ知っているだけに過ぎず、その知識は往々として、あまり臨床の役にはたちません。

漢方治療の経験談「起立性調節障害治療」を通して 4

早く治るものと、時間をかけざるを得ないもの。起立性調節障害と認識されている方たちには、実にさまざまな治療の流れが存在します。そして病院ではっきりしないという状態であれば、東洋医学を強くお勧めします。漢方では起立性調節障害であろうとなかろうと、見極めさえ正しく行われれば治療の道筋を作り出すことが出来るからです。

年末の牙

本来11月から12月初旬は、もう少し安定している時期であったはず。にもかかわらず、多くの方が悪化しています。自律神経の乱れと、そこからくる血流障害。特に頭痛・めまい・耳鳴りなど、頭部に起こる症状が甚だしく、さらに胃腸活動の不具合から、不安感・焦燥感などのメンタル面に至るまで、今、苦しんでおられる方がかなり増えています。

恐怖の年末年始・23年版

毎年この時期になると、今後来るであろう大きな波に、私は背筋が凍えます。体調を一気に崩される方が多くなるからです。シンプルに「生活習慣が乱れる」から。特に、食事が乱れ、睡眠時間の確保が出来なくなるから、です。年末に悪化する病がたくさんあることを、ぜひ肝に銘じて。この年末年始をお過ごしくださいませ。