漢方治療日記

漢方治療の経験談「パニック障害治療」を通して 2

治療を行うも治らない、一度治っても再発してしまう、なるべく向精神薬は飲みたくないなど、治りにくく、しつこく、かつ常に不安を伴う病。ただ私にとってパニック障害は、決して不治の病という印象ではありません。もちろん程度にもよります。難しい場合もあります。ただし正しい治療によって、比較的回復へと向かっていくことのできる病です。

今までと違う夏

今年の夏は違います。特に多いのが、強い火照りや首コリ肩こり、そしてめまい、さらに同時に起こる不安感やイライラや焦燥感。これは普通であれば春に良く見られる症状です。北に低気圧が発生していますので、その影響もあるでしょう。しかし私はそれだけではないと思っています。強力な寒暖差。気温の差ではなく、室内と室外との差です。

自律神経という安易に使われ過ぎている言葉

結局のところ漢方は、その独特の視点で自律神経を把握している医学です。六経という流れ。陰陽という循環。そういった概念の中に、季節を感じ取り恒常性を維持するべく働いている自律神経が、その機能が、理として内包されているように私には感じられます。

五運六気

健康とは、地球環境・自然との同調により成し得るものだと考えることができます。東洋医学でいう陰陽とは、元をたどればおそらくそういうことです。自らの陰陽を自然界の陰陽に同調させるという考え方。とどのつまり、自らの小さく不安定なバランスを、より雄大で安定した存在が放つバランスに同調させなさいという教えなのです。

梅雨、始まる

今週、全国から体調不良のお問い合わせが、急に増えました。不安感や焦り、だるさ、不眠やめまい、頭痛や浮腫みなど、様々な症状が出現していますが、今回の悪化の波は急激に起こった分、しばらく経てば落ち着いてくると思いますので安心してください。ただ今年は多くの方に、梅雨特有の体調不良が起こってしまうのではないかと危惧しています。

気象病治療の命題

天気が安定すればすぐに良くなる人がいます。しかし逆に、天気が安定したとしても、そのまま体調不良が続いてしまう人もいます。この差が如実に現れます。経験とともにそれが分かってきました。天候の波を受け体調が悪くなった後、天候が安定してもずっと体調不良が続いてしまう状態。私はこれが最も怖い。避けなければなりません。

健康とは何か

人の死亡率は100%、それと同じくらい、年を取って病にかかることはごく当たり前のことです。であるならば、健康とは「病にならない状態」のことではありません。「今後の自分にどんな病が起きやすいのか、その予測が出来ていること」、そして「現在そこに対して的確な配慮ができていること」、これこそが健康な状態だと私は思うのです。

漢方治療の経験談「めまい治療」を通して

漢方治療において、めまいは比較的ありふれた症状です。古くは「目眩(もくげん)」と称され、すでに約2000年前の書物にその治療方法が記されています。めまいに効く漢方薬は沢山あります。苓桂朮甘湯・沢瀉湯・当帰芍薬散・半夏白朮天麻湯・真武湯などなど。問題は、これらの薬では治せないめまいが沢山あるということです。

不安と焦りとの勝負

どのような季節であれ、急激に天候が変化すれば自律神経は乱れやすくなります。ただし春の自律神経失調はちょっと特殊です。決まって、不安・ソワソワ・焦り・イライラが高まってくるのです。理由は急激に気温が上がること、そして急激に気圧が下がることとが交互に起こるから。この気圧と気温の急激なバウンドが自律神経に負担を強いるのです。

養生と我慢とストレスと

我慢は自分の体と向き合うことによって、コントロールすることが可能です。つまり我慢を飼いならす術(すべ)が、人間にはあるのです。私は多くの患者さまに、その方に必要な生活の養生をお願いしています。最初は強い我慢が必要なことであっても、それに慣れてしまえば勝ちです。その時はそれを我慢だとも感じなくなるはずです。