漢方学習のススメ

漢方とアート 8 ~根拠の意味~

想像力は、現実に対する戦いにおける唯一の武器である。ルイス・キャロルが残したこの言葉は、おそらく真理を突く言葉の一つでしょう。医学であろうと文学であろうと、人が織りなしたものには必ず想像性が介入します。想像性を確かなものにするために、科学というエビデンスがあり、また経験というエビデンスがある。

漢方治療の心得 29 ~処方の意図~

歴史上、はじめて世に漢方処方を打ち立てた『傷寒・金匱』。そこに収載される処方郡を「経方」と呼びます。これらの処方こそが、多くの処方の原型になっています。逍遥散の中にも、芎帰調血飲の中にも、一見ゴテゴテした漢方処方であっても、必ず経方から導かれる創作者の意図が潜んでいるのです。

漢方治療の心得 28 ~教育と求道~

教育と求道。両者の本質は、全くの別物です。前に進む人が道を照らし、それを進むのが教育です。一方、真理を追い求めんとする学問という世界には、そもそも道など用意されていません。ただあるのは無限の空間です。その中で、闇に音を響かせたり、ただよう香りをかぎ分けたりして、手探りで歩いていく。だから、求道というのです。

【名医伝】和田東郭先生語録

平成・令和の漢方が、昭和時代の漢方を礎としているならば、昭和漢方の礎は、確実に江戸末期にあります。今回紹介したいのは、江戸末期の漢方家尾台榕堂(おだいようどう)や浅田宗伯(あさだそうはく)、山田正珍(やまだせいちん)や山田業広(やまだぎょうこう)らが称賛した天才。江戸後期の名医「和田東郭(わだとうかく)」についてです。

漢方治療の心得 27 ~森を観る~

森を観るとは、古人の視点に立て、ということです。森を観るためには、現代の常識を捨てなければならないのです。多くのことが分かり、昔のままの医療でいてはいけない現代だからこそ、森を観る視点と、木を見る視点、それを両立させたければいけないという非常に難しい時代に、我々は漢方を学んでいます。

漢方治療の心得 26 ~漢方医学への潜り方~

そもそも漢方医学の世界は、2つの視点から理解することが求められています。一つが「道具(漢方薬)の理解」。そしてもう一つが「病と人との理解」です。この2つの視点を通じて、腕を上げていくにはどうしたら良いのかということを、少し道筋立てて、お話したいと思います。

大塚敬節先生の愛

大塚敬節(おおつかけいせつ)先生。現在の漢方流布の礎(いしずえ)は、先生によって築かれたといっても過言ではありません。当時医療として未成熟だった漢方治療において、その基礎的理論を示さたことも功績の一つと言えるでしょう。「方証相対(ほうしょうそうたい)」と呼ばれる基礎概念。患者さまには各々適応する処方(方)があり、それを体質や症状(証)から判断するという概念です。

【名著紹介】細野史郎先生編著『方証吟味(ほうしょうぎんみ)』

細野史郎先生。日本東洋医学会理事長にまで就任された名医。押しも押されぬ、昭和の大家の一人です。『方証吟味(ほうしょうぎんみ)』には、そんな細野先生の肉声を聞いているような生々しさがあります。漢方を志している方には是非読んでほしい名著です。いくつか読むべき理由があるので、今回はそれを紹介してみたいと思います。

「漢方と精神症状」

自律神経失調症やパニック障害など、精神的な不調を治療する経験を重ねていく中で、少しお話しておいた方が良いかなと思う部分があります。様々な媒体で「漢方は心の症状にも対応できる」と声高々に謳われています。だからこそ、実際のことを、ここでお話したいと思うのです。

漢方治療の心得 25 ~一両の重み~

薬は多量に使うほど効く、というものではありません。しばしば多量に使われることのある石膏であってもそうです。その他、黄連や桂皮、柴胡や紫蘇葉、各種エキス剤などもそう。「少量だけ使うことの妙」があるのです。淡さの意味を知ること。重さや濃さと同様、生きた薬として理解するためにはどうしても必要です。
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