■症例:寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん) 今回の蕁麻疹は、温まれば治る。疑いようのない事実として、まずはそれがある。そして蕁麻疹の色。決して強い赤味ではない、淡い桜色の膨疹。則ち漢方をもって体を温め、血流を促すことが出来れば、この蕁麻疹は消える。ではどうやって体を温めるのか。漢方ではその人に必要な、その人に響く温め方を選択しなければ温まることはない。 2025年09月03日
■症例:月経前の胃痛 その女性が悩まれている症状はかなり広範囲にわたっていた。一番治したい症状は、月経数日前に起こる強烈な胃の痛み。私の使った薬は、一般的に言って月経にまつわる症状を改善する薬ではない。月経痛も腰痛も、改善させる薬だとはどの本にも書いていない。漢方治療の本旨は、どの薬を選ぶかではない。どういう病態かを見極めること。 2025年06月11日
■症例:下痢・しぶり腹 下痢は原始的な症状である。漢方でも約二千年前からその治療法が述べられている。今まで何人もの名医が、下痢の治療を述べてきた。また、しぶり腹、という症状がある。漢方では裏急後重(りきゅうこうじゅう)という。テネスムスとも言われ、便意があっていざトイレに行っても、少ししか出ない。感染性の胃腸炎などで一時的に起こることが多い。 2025年01月14日
■症例:過敏性腸症候群(IBS) 心理的要因(ストレス)が強く影響していると考えられる心身症の一つ、過敏性腸症候群(IBS)。そういう機能的な病には、漢方薬がしばしば選択される。特に桂枝加芍薬湯、半夏瀉心湯、大建中湯に関しては、IBSのガイドラインでも有効性が示唆されている。これらは上手に使えば良く効く薬ではあるが、それでも効かない人は、当然いらっしゃる。 2024年12月17日
■症例:不整脈・心房細動 59歳、男性。持病に不整脈・心房細動がある。今現在西洋薬で治療している最中である。しかし薬を飲み始めてから、めまいとふらつきが起こるようになった。薬による副作用だろうと本人は感じ、病院でもその可能性は否定できないという説明を受けた。西洋薬による副作用を、漢方薬で止めることはできないかというご相談。 2024年09月11日
■症例:鼻炎・血管運動性鼻炎 15歳の男子が、お母さまと一緒にご来局された。中学の頃から、鼻水が止まらなくなった。とにかく体が熱くなり、急激に鼻水が出て止まらなくなるという。急迫的な病態に表れる「煩躁」。熱を捨て、まずは病態をそう捉えてみる。そして煩躁には発生機序があり、石膏剤から始まり、茯苓四逆湯で終わる流れがある。 2024年04月01日
■症例:パニック障害・自律神経失調症 漢方治療は、症状から病態を把握する。一つ一つの症状に効く薬を出す。それが基本。不安感を主とすれば、桂枝加竜骨牡蛎湯や柴胡加竜骨牡蠣湯、また柴胡桂枝乾姜湯や甘麦大棗湯など、それこそ多くの処方が挙げられる。こうやって一つ一つの症状から、処方を結び付けていく。しかしそういう治療では、自律神経の乱れを治すことはできない。 2023年10月06日
■症例:前立腺肥大 患者さまのご紹介で、そのお父さまがご来局された。病院へ行き、前立腺肥大と診断。背景には、おそらく老化現象がある。そういう排尿障害であれば、漢方ではある病態をすぐに想起させる。腎虚。補腎薬、八味地黄丸の適応。通常であれば、この処方を使うことが自然なのかもしれない。しかし、腎虚と単なる老化とは、また違う概念である。 2023年08月10日
■症例:起立性調節障害(OD) 起立性調節障害と診断された女の子。近くの漢方薬局で補気の名方・補中益気湯をもとにした煎じ薬で一旦良くなったが、再発。その処方が間違いだとは言えないが、再発してしまう状況を鑑みると、正しいとも言えない。私が感じたのは「気」ではなく、むしろ「水」だった。水の失調。今回の病では、的確な「治水」が行えるかどうか、それが全てである。 2023年02月17日
■症例:頭痛・胃痛・下痢 主訴は、定期的に起こる頭痛、胃痛、腹痛と下痢。痛みに悩まされる方特有の、眉間にしわを寄せる表情が印象的だった。腸や子宮といった骨盤内臓器の活動・機能が乱れていることは明白だった。今回の治療では、痛みを止めることが絶対条件になる。如何に骨盤内の乱れを改善できるのか。治療方針としては、そこから外れることはないと感じた。 2022年12月08日