参考症例

■症例:PMS(月経前緊張症)・産後の不調

PMSに常用される名方・加味逍遙散(かみしょうようさん)。体力中等度から虚弱な方に使う処方。さらに比較的胃腸が弱く、イライラなどの興奮性の強いPMSに使う代表方剤である。しかし、今回の患者さまには、これではない。漢方では体格や腹、脈や舌などからその方の充実度を明らかにし、それを「虚実」と見立てて処方を選用する。

■症例:脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)

原因不明とされる病、脂漏性皮膚炎。マラセチアという菌が関与するとはされているものの、誰の皮膚にでもいるこの菌が、なぜ人によって悪さを起こすのか、未だにその理由は分かっていない。ただし臨床を経験していると、発症している方は皮膚のみならず、身体に何らかの不調を抱えている方が多い。

■症例:無月経

無月経の治療は、基本的に時間がかかることが多い。また月経がきはじめると、体もそのタイミングで不調の波を打つようになる。患者さまの場合もそうだった。治療途中で、思いのほか強い月経前後の症状が出現してきたが、血流を良くすることで無月経も、ジストニアも、疲労倦怠感も、結局のところ一緒に改善していった。

■症例:頭痛・めまい・冷え性

漢方には様々な尺度がある。その一つが寒熱。漢方治療における基本中の基本である。しかし時に、この尺度では人体を測ることができない。「体が求めているものは、何か」身体には必ず、その時に「欲する」何かがある。そんな視点で出した私の処方は、ゆっくり・じっくりといった治療が必要となる起立性調節障害において、著効を示した。

■症例:起立性調節障害(OD)

漢方には、「痰飲」を去るための方剤が数多く用意されている。有名どころでいえば「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」や「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」。両者ともに、起立性調節障害治療に頻用されている処方である。しかし、今回はこれらの処方では改善が難しい。

■症例:蕁麻疹(じんましん)

22歳。色白にて細身の女性。蕁麻疹の治療をお求めになり、当薬局にご来局された。今回のケースは「生薬一味の妙」を痛感する、貴重な経験だった。学問としての基礎は時として無力である。基礎を捨て、思考を跳躍させる。長く臨床に携わっていると、そういうことが必要な瞬間が往々としてある。

■症例:片頭痛

片頭痛。今までは病院で出された鎮痛薬で何とかしのいでいた。しかし今年の夏ぐらいから全く効かなくなってしまった。面色青白く、線の細いからだ。特に足首が常に冷えていた。明らかに冷えに属する頭痛である。「温めなければこの頭痛は取れない」。治療方針をそう断じて、細部を詰めるべく、お体の状態を詳しく伺った。

■症例:更年期障害(ホットフラッシュ)

ある時、突然動悸が起こり、それに伴い多量の汗が噴き出すようになった。更年期障害に伴うホットフラッシュ。そう診断され、病院にて治療を行うも改善をみない。更年期を過ぎても症状が治まらないというケースでは、更年期障害という枠組みだければ語れない、より深く刻まれた体調不良が介在している。

■症例:不眠・不安感

見るからに痩身の女性である。目を充血させながら、穏やかながらも焦りを孕んだ口調で不眠・不安感の症状を説明してくれた。年齢を加味しても、明らかにオーバーワークによる自律神経の乱れである。さらに、詳しく確認しなければいけないことがあった。それは、胃気(いき)。人体が生きるために持つ「食べる力」。

■症例:脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)

皮膚病に悩まれる患者さまからのご相談を受けた。脂漏性皮膚炎。当薬局でも問い合わせの多い、未だ原因不明の皮膚疾患である。マラセチアと呼ばれる真菌の関与が疑われているものの、その根本的な原因は分かっていない。頭皮や面部などの毛の生える部位に、異常な鱗屑(りんせつ:皮膚から剥がれ落ちるフケ)を生じる。