参考症例

■症例:過換気症候群

39歳、男性。過換気症候群。何度病院に通うも問題ないと言われていた症状が悪化し救急搬送された病院で、こう診断された。クリエイティブかつ斬新な技術を持つ西洋医学をもってしても、問題を見つけられないケースが存在する。だからそれを補うべく、漢方家は体の中を「想像」する手法を磨き上げた。この患者さまの症状は、心中・心下の積気。古人が「中脘(ちゅうかん)の結聚」と呼んだ病態である。

■症例:蕁麻疹(じんましん)

40代、女性。皮膚科で消風散(しょうふうさん)の顆粒を出してもらった。炎症が引かないため、その後、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)が追加された。患者さまの体調を詳しく伺う。なるほど方向性は正しい。しかし工夫が足りなかった。私は消風散と黄連解毒湯を出した。同じく顆粒剤である。ただし一工夫を加えた。それは経験から得たコツだった。患者さまの蕁麻疹は、飲み始めて一週間ほどで起きなくなった。

■症例:過呼吸

15歳の女の子。過呼吸で来院された。選択した漢方薬で、調子は日に日に良くなっていった。しかしある時、異常事態が起きた。足が動かなくなったのだ。病院では首を傾げられた。脳も、整形外科的にも、問題はなかった。私は沈思の末、思う所があった。それは師匠の教えであり、江戸名医の口訣でもあった。ただ一点だけ、今まで服用していた薬を私は変化させた。そして、薬を出して3日後、松葉杖無しで普通に歩いてくる笑顔の彼女がいた。

■症例:咳喘息

17歳。大学受験を控えた高校生。体調を詳しく伺う。何よりも顕著なのは疲労感だった。なるほど、、咳が治りきらないはずである。不安定な体の上に、睡眠不足や過剰な集中を継続させてしまったのであろう。残存する咳は、身体の悲鳴、そのものだった。私は活動しっぱなしのエンジンを落ち着かせる薬方を出した。服用後から明らかに咳が引き始めた。日中の疲労感が減り、夜も熟睡できるようになったという。

■症例:体調不良

87歳、女性。患者さまはほとんど話さず、見かねた息子さんが、様態を話し出した。この患者さまの体力は、実は何も話せないほどに底を突く気配を見せていた。私は、最も「虚」に用いるべき薬方を出した。服用して一週間で、身体が温まり咳が止まったという。私はむしろ、素早い変化をより穏やかに進むよう配慮した。体力の無い方ほど、早い変化によって体に負担をかけるべきではないからである。その後、患者さまは日に日に良くなられた。

■症例:メニエール病

70歳、女性。メニエール病。病院では水をたくさん飲みなさい、と指導され、患者さまは、とにかく水を飲んだ。そして、めまいは逆に悪化した。水を巡らす力の弱り。まずはその力をつけないと、いくら飲んでも巡ることができない状態である。私は、水の滞りを解除する薬を出した。そして同時に、水分摂取の量を減らすよう、説明した。3日後、今までにないほど、多量のお小水がでる。そしてその後、めまい発作の頻度が明らかに減っていった。

■症例:頭痛

40代前半の女性。主訴は疲労感と頭痛。これら一つ一つの症状は、お体の状態を知る上で大切な情報である。しかし様々な症状に気を取られると、体の声は聞こえなくなる。考えるべきことは、今患者さまの体がいったい何を欲しているのか。私は漢方の胃薬をお出しした。そして3日後、あきらかな熟睡感を感じる。同時に目覚めた時の胃もたれが消え、上半身のほてりを感じなくなった。その後、頭痛は急速に終息していった。

症例報告10回目を迎えて

漢方治療というものが、実際にどのようなものなのか、 治療者からの視点で紹介する症例シリーズも今回で10回目を迎えました...

■症例:ニキビ(尋常性ざ瘡)

25歳、女性。漢方治療は皮膚の病であったとしても、体の状態を確認させてもらう必要がある。際立っていたのは手足の冷えと月経痛、そして胃の弱さ。ニキビを治そうとする力自体が弱っているタイプである。適応処方は明確だった。しかし、ニキビを撲滅していくとなるとそれだけでは絶対に不十分である。生活の悪化要因をどのように取り除いていけるのか。それが的確な処方決定と同等のウェイトで、必ず大切になってくる。

■症例:産後の不調・むずむず足

内容とは裏腹に、元気いっぱいで症状を教えてくれる患者さま。お体の様子を東洋医学的に把握しようとしていた私には、そのご様子から、ある病態が着想できた。頑張りすぎだよ、そろそろしっかり休もう、患者さまのお体に必要なのは、そういうシグナルだったのである。私は身体の興奮を解除する薬方を出した。先ず感じられたのは、お小水量の改善と、熟睡感。2か月後には足の冷えと浮腫みが取れるのと同時に、むずむず足は消失していた。
タイトルとURLをコピーしました