昨今、漢方治療が見直されている中、
それに伴い、漢方治療に興味をもたれる方も増えてきています。
そして漢方治療を受けてみたいとお考えの患者さまにとって悩ましいのが、
どの医療機関を選んだら良いのか、という事でしょう。
正直この点について、的確に解答することは実は難しいものです。
というのも、漢方治療は各先生方によって全く異なる考え方があるからです。
腕の良い先生を選びたい所ではありますが、先生によって考え方が異なって当たり前の医学です。
であるが故に、どの医療機関が良いとは、はっきりとは言えない側面があります。
そこで今回、私見ではありますが、漢方専門の医療機関の選び方、そのコツを端的にお伝えしていきます。
客観的に見た時に、医療機関だからこそ見える部分というものをお話し出来ればと思っております。
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まず第一に、私見では「腕」もそうですが、むしろご自身との「相性」を重視してもらった方が良いと感じます。
場所的に通いやすいとか、話がしやすいとか。
説明が分かりやすいというのも重要です。また安心感を与えてくれるというのも重要です。
何となくの雰囲気で構いません。全て感覚的なものかも知れません。しかし治療においてこれらは非常に大切で、時に治療者の熟練度以上に先生との「相性」は改善の可能性を大きく広げてくれるものです。
疾患の治療経験や、漢方の精通し具合、また腕などはもちろん大切です。しかし、私はその前にこの「相性の良さ」があるべきだと思っています。
何故ならば、そうでなければ治療を続けることが難しいからです。多くの漢方治療は、治療の過程において症状が良くなったり悪くなったりの波を繰り返します。即効性を持って治すことのできる場合ももちろんありますが、やはり続けていく時の安心感は重視して然るべきです。
そして相性が良いと感じたならば、おそらくその先生も患者のことを快く思っているものです。多少の経験不足があっても必ず親身になってくれます。どうにかして治してあげたいと思う先生の気持ちこそが、患者さまの病を治すための原動力です。
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また他にも目安にした方が良いというものがあります。各医療機関の「意図」です。
医療機関にはそれぞれ目的があります。どのような方に来て欲しいのか、そういう意図が必ずあるものです。
その意図と、自分の求めているものとが合致しているかどうか。これがとても大切なことだと思います。
漢方専門の医療機関の意図には、大きく分けると2つあります。
ひとつは、間口を広くして、多くの方に漢方を知ってもらいたい、経験してもらいたいという意図。
そしてもう一つは、辛い症状がどこにいっても治らないような、そういう方にとっての受け皿になりたいという意図。
当然どの医療機関でも両方の意図を兼ねているものです。ただし、その軸足はどちらかに置かれていることが多いものです。
そしてどちらの性質が強いのか、それによってご提供できる医療が当然のことながら異なってきます。
例えば、間口を広くとる医療機関であれば、多くの患者さまを受け入れるために診療・相談時間は短くせざるを得ません。
逆に治療に特化する医療機関であれば、一人に時間を割く代わりに一日に引き受ける人数を制限せざるを得ません。
漢方を試してみたいという方であれば、間口を広く取り、たくさんの患者さまにご対応できる医療機関であれば手軽に漢方を始めることができます。
また散々漢方を試してもダメだったという方であれば、むしろ間口が多少狭くても深い治療を行なってくれる医療機関に足を運ぶべきです。
漢方治療を受けても芳しくなかったという方の多くは、今まで通っていた医療機関とお求めにっている医療との意図の差が大きいように感じます。
患者さまご自身がどのような目的をもって治療をお求めになっているのか、まずはそこを明確にして医療機関を選択することが重要だと思います。
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ただし、各医療機関がどのような意図を持っているのかを知ることはなかなか難しいものです。
まずHPを観てみることをお勧めします。ただ見るだけではなく、どういう患者さまに来てほしいのか、その意図を読み取るようにしてもらうと良いと思います。
それでも難しい場合も当然あると思います。その時は直接電話をしてみましょう。例えば、最近漢方が気になるので試してみたいとか、複数の医療機関にかかっていたが治らなかったとか、ご自身が漢方治療を受けてみたいと思ったそのきっかけを、そのまま素直にお話しすることをお勧めいたします。
そしてここが一番重要なことですが、ネットで見たり読んだりした情報よりも、友人や家族など、人から直接聞いた意見を是非参考にしてください。
HPでもある程度その医療機関の雰囲気は分かります。しかし、やはり直接経験した人の意見というのは、何よりも信憑性が高いものです。
明るい雰囲気でたくさんの人来ていたから、きっと漢方を試してみるならあそこが良いよとか。
先生が話をすごく良く効いてくれて、知識も豊富そうだったから、辛いならあそこにいってみてごらん、とか。
知人であれば、自分の意図を汲み取ってお話ししてくれると思います。ネット情報に惑わされ過ぎないというもの、とても大切なことだと感じます。
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患者さまは人それぞれ、求めている医療が違います。
特に漢方治療はその差が大きいと思います。体調管理から病の治療まで、幅広い医療を提供できるポテンシャルがあるからです。
そのため大切なことは、ご自身に合った医療機関をどのように選ぶのか、ということだと思います。
ポイントは、「相性」と「意図」、そして「人から直接聞いた口コミ」です。
当然といえば当然のことですが、さまざまな情報を得られる現代、だからこそ大切にして欲しい3つのポイントです。
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