■生薬ラテン名
RHEI RHIZOMA
■基原
Rheum palmatum Linné、Rheum tanguticum Maximowicz、Rheum officinale Baillon、Rheum coreanum Nakai 又はそれらの種間雑種(Polygonaceae)の通例、根茎
■配合処方例
桃核承気湯
通導散
大柴胡湯
防風通聖散
など
※生薬の解説は本やネットにいくらでも載っています。基本は大変重要ですので、基礎的な内容を知りたい方はぜひそちらを参照してください。ここではあくまで私の経験からくる「想像・想定」をお話しします。生薬のことを今一歩深く知りたいという方にとって、ご参考になれば幸いです。
大黄(だいおう)
「将軍」、大黄。
漢方の下剤として有名です。
作用の峻烈さから、「将軍」という異名で呼ばれています。
大腸を刺激して活動を促し、通便をいざなう薬です。
私は始め、使うのが怖かった。
作用が強い、下痢をさせてしまうと困ると、臆していたからです。
しかし今では、躊躇なく使います。
必要とあらば胃腸が弱そうな人でも、それなりの配慮を加えて使うことがあります。
当然、大黄は分量が重要です。
少量の大黄を胃薬に混ぜて効かせるということも、普通に行われています。
むしろ同じ下剤でも、芒硝は気を付けなければなりません。
胃腸の弱い人では、とんでもない失敗を起こします。
いわゆる緩下剤である酸化マグネシウムと同様に考えられることがあるようですが、
それとは決して、同等に扱うべきではありません。
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大黄は下剤というだけでは論じられない、奥深い薬能を備えた生薬です。
便通を促すという他にも、重要な作用がたくさんあります。
向精神作用や、血流を促す(駆瘀血)作用があります。
したがって精神疾患や自律神経失調、さらに血流障害においても重要な生薬です。
例えば大黄を使うことで治る不眠があります。
また大黄を使うことで落ち着く精神症状もあります。
ただ、これらの作用は個々別々にあるものではないと考えています。
やはり、大黄が腸を刺激する薬であるという点に、ポイントがあるように思います。
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想うに、
腸は私たちが自覚している以上にさまざまな働きを有しています。
例えば自律神経の中枢の一つであり、血流を促すエンジンであり、
さらに免疫機能に多大な影響を与え、さらにその活動は骨盤内の血流を直接維持しています。
大黄が広い薬能を持つというよりは、腸がさまざまな働きを有していると考えます。
そう捉えると、大黄の様々な作用も納得できます。
人体にとっての腹とは何か。その理解の先に、大黄運用の要が隠されているように思うのです。
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中島随証先生は、たとえ弱い人であっても、
少量の大黄を加えるという治療を行っていたようです。
少しばかり下痢したって良い。この方には大黄が必要だ、という見立て。
やろうとしていることは分かる気がします。
下痢をさせても良いとまでは言いませんが、気持ちの良い便を出させることは確かに重要だと思います。
なぜなら、すっきりと便が出た時の爽快感を思い出してください。
あの心持ちが続くのであれば、イライラやくよくよ、頭痛や吐き気、不眠や疲労感が取れる気がしませんか。
腹が楽だというのは、思っている以上に、体にとって大切なことです。
下腹部たる丹田。昔から言われているこの部位にこそ、
大切な何かがあるという気がします。
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