インフルエンザに麻黄湯が出されるようになった理由、
それはインフルエンザの患者さまに一律的に麻黄湯を使った場合に、効果的であるという論文が発表されたためです。
ただし麻黄湯は決して一律的に使って良い薬ではなく、間違えた使い方をすると逆に悪化させることさえあります。
インフルエンザに使うにしても、麻黄湯の使い方に適した状況であるかどうか。
その見極めを必ず行う必要があります。
では、麻黄湯とは本来どのような状況に使う薬なのでしょうか。
東洋医学の言葉で説明しても分かりにくいと思いますので、今回はそのあたりをなるべく簡単に説明したいと思います。
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まず麻黄湯は「発汗剤」に属します。
風邪の初期、漢方では身体の体温上昇を適度に促して、結果的に汗をかかせることで解熱へと向かわせます。
それが風邪の初期に身体が行おうとしている活動だからです。
漢方は身体が行おうとしている反応が順調に行われるように助けているわけです。
この時、同じインフルエンザであっても、患者さまによってどの程度発汗に向かおうとしているのかが違います。
また、発汗自体は解熱させるとともに身体を消耗させる行為にもなります。なのでどの程度発汗させて良いかも違います。
つまり漢方では、この発汗のさせ方を患者さまごとに合わせなければなりません。
麻黄湯は構成生薬から考えて、発汗を促す作用にブレーキがありません。
どういうことかと言うと、
➀かなり強く発汗を行なおうとしている状態
➁かつ強く発汗を行っても大丈夫な状態
に使うべき処方です。
➀の状態は、発病の初期・身体の抗病性が強い・侵襲性の強い病原体が入ってきている、という条件が備わっていることで起こります。
また➁の状態は、体に弱さが無い、という条件が必要です。
したがって、発病から時間が経っている・身体に弱りがあり充分な抗病性が備わっていない、という状態では使えない処方なのです。
さて、ここからが本題です。
身体に弱りがあるのか、ないのか、その見極めはどのように行うのでしょうか。
この点を、漢方を出される先生に是非聞いてみてください。
先生によっては「脈」と答えるかも知れません。
また他の先生によっては「年齢」と答えるかも知れません。
実はこの「身体がどの程度充実しているかという尺度」は、おそらく先生方によって解答が異なります。
そして、より具体的に分かりやすい解答を持たれている先生ほど、東洋医学の造詣が深い、ということが言えると思います。