ゴールデンウイークが明けて、
普通ならば、安定した気候が続くはずの五月。
それなのに、寒かったり、暑かったり、晴れたり、雨が降ったり、
安定とは程遠い、乱れた天候が続いております。
そしてここ最近、台風まで発生。
これが、大きな引き金になった。
案の定、患者さまの体調が大きく乱れていて、
今週は体調不良の電話が鳴りやまない、そんな日もありました。
今回は特に「気持ちの乱れ」を訴えられている方が多く、
常ならざる状況を目の当たりにして、私自身も少々焦りを感じております。
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頭痛にめまい、動悸や息苦しさ、
ほてりや皮膚症状、身体のだるさに至るまで、
天候の不安定さは、さまざまな症状を急激に悪化させます。
そこに「気持ちの乱れ」を強く介在させるという状況。
患者さまにとっては、とても辛い状況だと思います。
不安感が強くなり、同時に居ても立っても居られないという焦りが起こり、
気持ちが前向きになれず、何をやっても「はぁ」とため息をつきたくなり楽しめない。
ずっと同じことを考え続けてしまったり、そのために眠れなくなったり、
症状の悪化が心配で仕方なく、些細なことでも敏感に反応して気持ちが乱れてしまう。
そうなると、今のままの治療で良いのか、本当に良くなるのだろうか、
逆に薬のせいで悪くなってしまっているのではないか、薬や養生を続けていくことが無意味に思えてしまう。
そういう心情が芽生え、不安で負けそうになる。
この五月は、そんな方々からの問い合わせがとても増えています。
五月病といってしまえばそうかもしれませんが、
今回の乱れは、単に五月病と片付けてしまうことができない、もっと強力なものに感じます。
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天候とは不思議なものです。
普段体調の良い方であれば、天候の変化はそれほど気にする事ではありません。
洗濯物が乾きにくいな、と思うくらいでしょう。しかし、普段健康な方であったとしても、天候は必ず体調に影響を与えています。
人間は地球上で生きている限り、必ず気温や気圧の刺激を受けています。
例えば寒い状況と暑い状況とでは、人は体を変えなければ生きていくことができません。
外界の状況に合わせて体を変化させているのです。だからこそ、常に同じ状況でいることができます。
具体的には、人は外界の状況に合わせて血流を変えます。寒いなら寒い時の血流に、気圧が低いなら低い時の血流に変化させています。
これを自律神経が行っています。自分の意志とは自律して働いてくれている神経が、外界の影響を敏感に察知して、気付かないうちに、自然と、変化させているのです。
健康な状態とは、この自律神経がちゃんと働いている状態です。
すなわち、自分では気が付かないうちに、自然と、働いてくれている状態です。
つまり健康な人であれば、自律神経の働きを感じることはありません。
当たり前のように、体の変化を意識することなく生活することができます。
しかし、自律神経が乱れている方では違います。
普段、意識することなく自然と働いてくれている神経が、全面に存在感を表現してきます。
しかも、それを勝手に、こちらの意識にお構いなく表現してくる。
故に、なぜそうなってしまうのかさえも分からない、という状態に陥ることこそが「自律神経の乱れ」なのです。
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晴れている、雨が降っている、寒い、暑い、
この変化は、地球に生きていれば極々当たり前のことです。
この当たり前を意識することなく、当たり前でいさせてくれることこそが「健康」。
普段健康であることを意識することは難しいものですが、意識しないで済むことこそが健康である、ということです。
つまり、逆に言えば健康でない状態とは、「意識せざるを得ない状態」だと言えるでしょう。
普段意識していなかった変化に、体が反応してしまう状態。
今まで当たり前に享受できていた変化だからこそ、何故、急にこんなに調子悪いんだと、不安になって当然だと思います。
ゴールデンウィーク明け、新学期の始まりや人事異動など、環境の変化が目まぐるしい五月。
生活変化のストレスによって、適応が難しくなる状態を一般的には五月病と言ったりします。
しかし、そういう分かりやすいストレスは、「分かりにくいストレス」に比べれば取るに足らないもの。
静かに、気が付かないうちに忍び寄り、かつ強く人体に影響を与える刺激が天候です。
ただ、本当はそれをストレスとは言いたくないのです。
天候とは、人が生きていくために必要なものだからです。
天気があるからこそ、人は生きていける。
生命の糧でもあるからです。
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