口癖

2023年09月07日

漢方坂本コラム

今回は、何それ?と思われそうですが、

私の「口癖」を一つ、ご紹介します。

何かを考えている時の、私の口癖。

大声で言うわけではないので、安心してください。

人に聞かれることは滅多にありません。

ただふと、声に出してつぶやいてしまいます。

車を運転している時や、シャワーを浴びている時、

トイレに入っている時や、ただ歩いているだけの時も、

何かを考えている時に、つぶやいてしまう口癖。

それは、

「どこかに必ず、ポイントがある。。。。」

意味不明、ですよね。

カッコつけてるみたいで、恥ずかしいのですが、、

ただこれ、本当です。

ふとした時に、つぶやいてしまいます。

漢方治療には、

残念ながら、決められた「答え」というものが用意されていません。

チャートやパズルのように、解答までの道筋があらかじめ決められていたら、どんなに楽でしょう。

どうしてもその都度都度で、解答の導き方を考えなければなりません。

凡そのフォーマットがあることは確かです。

ただしそのフォーマットも、教科書通りには決していきません。

自分で作り出すしかない。

だから漢方治療は、一つ一つ、たくさんの問題を解決し続けなければ、成功へと到達することができません。

この一つ一つの問題をどう解決していくのか。

日々この作業を行う中で、ある時、分かったことがあります。

それは、答えは「新しく生み出されるものではない」ということ。

すでに知っていたことに、「気が付くもの」です。

0から1を生み出すものではありません。

その解答は、いつだって改めて、気が付くものです。

臨床で、実際に結果が出る解答が導き出せた時、

沸き起こる自分の感動は、常に「そうだったのか」という、気付きです。

うそー!とか、そんなことあるんだ!とか、

そういう感動は、ほとんどありません。

そこがポイントだったのか、と。

すでに知っていたけれど、そこに紐づけすることが出来なかったという感覚です。

人は何らかの問題に直面した時、

その解答は、おおよそ自分の中にすでに用意されています。

そこに気が付くことができないから、問題が解けない。

0から1を生みださなければならない問題なのであれば、

その時点で漢方治療の範疇ではない、そう割り切っても良いくらいです。

そして、自分の中にすでに用意されている何かは、

勉強してきた「知識」というだけではありません。

もっと感覚的なもの。知識というより、実感として感じていたもの。

解答にたどり着いた時の感覚は、「発見」ではなく、

いつだって、「納得」です。

だから私は、

漢方治療において、解答はすでにそこにあるものだと考えています。

患者さまの中にすでにあり、

自分自身の中にすでにあるものです。

患者さまと自分、そして生薬と漢方処方。

私が出すべき解答は、この中にすでに用意されて、必ず存在しているはずです。

そして実際に難しい問題であっても、そこに気が付くことで、結果を示すことができるという事実がある。

ならば、足りないのではなく、

気が付ついていない何かを探す。

すなわち、どこかに必ず、気付きに到達するためのポイントがあります。

私の漢方治療を支えているのは、

どこかに必ずポイントがある、という確信です。

患者さまと私、その中にすでにある。

足りている。

それが、私の沈思黙考のスタイルです。

ただ、たまに出ちゃうんですね。

口からぽろっと。傍から聞けば、脈絡なぞ全くありません。

ただ、この口癖が出る時は、私の状態が良い時です。

必ずポイントはある。

相談中に聞こえてしまったら、お、先生のってるな、と思って、

お願いです、その時は是非、優しくスルーしてください。。。



【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら