漢方の理論は曖昧です。

曖昧だということを理解することから、理論の構築が始まるといっても良いと思う。

では、曖昧なものから手探りで理を掴むにはどうしたら良いのか。

結局のところ、腕前の良し悪しを分けるものは何なのか。

今日のコラムは、そんなマニアックな独り言です。

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多くの先生方にお会いしてきて思うのは、

結局治療者本人が漢方のことをどこまで信じることが出来ているのか、

そんな所で腕前の良し悪しが分かれている気がする。

西洋医学を主体としたこの時代、

どんな治療者でも、もう漢方薬では難しいと思うケースが当然あって、

ただ腕の良い先生は、その限界が非常に高い位置にある。

漢方のことを信じていなければ、そこまで高められないと思うのです。

僕が修行時代、ある先生に「〇〇病は漢方薬では難しいですよね」と質問したら、

「坂本君、それは治せなきゃダメだよ」といわれた経験があります。

一つの処方、一つの生薬、一つ一つの薬の効き目を実感していく中で、

治療者自身が漢方薬を信じることができるようになる。

今ではあの時の自分の発言の青さを、身に染みることができるようになりました。

少しは限界を高められたという自負もある。

しかし名医の限界は、確実にもっと高い位置にあります。

効いた・治ったという経験を拠り所にして、漢方薬を厳しい目で信じることのできている治療者こそが、

腕の良い先生だと、僕は思います。